敷地の前の道路を外から見ただけでは、その道路が公道なのか私道なのかは分かりません。道路が公道でない場合には、家が建てられないことや自動車の通行ができないなどの危険性があります

不動産会社がきちんとした会社であれば、事前の調査で調べていますが、念のために自分でも調べられるようになっておきましょう。

公道と私道の違いをまずは知っておきましょう

まず公道についてですが、これは国や地方自治体といった公共機関が所有している道路のことです。大半の道路はこれにあたりますので、イメージはしやすいと思います。

そして私道は、個人や企業などが所有している道路のことです。見た目だけでは正確な判断はできず、正式には公図などを利用して確認しなければばりませんが、行き止まりの道路や道幅が4mもない狭い道路の場合は、私道である可能性があります

公道の場合は特に気にするポイントはありません。「3-01-07.道路の幅や状況によって家が建たないこともあります」のページで説明している、道路の幅や接道長さ、道路との高さとの関係のみ気を付ければ問題はないでしょう。

公図の読み方を間違えた事例

公図の読み方を説明しておきながら、先日間違った解釈をするところでした。矢印で示した部分に番号が入っていなかったため公道だと考えていましたが、隣地測量図を見て私道だと発覚しました。よく見てみるとL字型で番号が入っていました。

公道か私道かは公図を見ることで概ね判断できます。概ねと言いますのは、公図を見ても分からないケースや分かりにくいケースがあるからです。

一般的に私道は誰かが所有していますので、公図に番号が入っています。番号が入っている場合は、それなりの率でその道路は私道だったりします。この番号の登記簿を調べ、市や区などの公的な団体が持っていれば公道ですが、個人や民間企業が持っているようであれば私道となります。

逆に番号が入っていないからといって、公道であるとは限らないのが紛らわしいところです。上記の物件を私が担当した際にも、道路上に番号が見当たらなかったので公道だと思っていましたが、実は私道でした。幸い周辺の測量図も合わせて申請しており、測量図に地番が入っていたため気がつくことができました。

市役所の道路局などで確認する際に気がつくこともあります(私道の大半が2項道路や位置指定道路であるためです。道路局の地図ですとそれらの内容が分かります。今回は42条1項2号道路だったため、すぐには気が付きませんでした)。いくつかの調査結果と照らし合わせないと公道かどうかに気がつかないこともあるため、注意が必要です。

前面道路が何であるかは不動産会社の営業マンが確認していますので、通常は聞けば済みます。しかし、不動産会社でも間違って解釈していることがあります(実際に契約書上は公道と記されていたのに、実際には私道だったという例を見たことがあります)。ですので、念のために公図や測量図を見せてもらい、自分でも確認する方が確実です。

私道の場合、建築基準法で認められた道路か否かをチェックします

私道の場合はさらにチェックしなければならないことが増えます。私道には建築基準法で認める道路と認めていない道路の2種類があるからです。

法律のイメージ

建築基準法上で定められた道路と接していなければ、その敷地に建物を建てることができません。

建築基準法で認めていない道路の場合は、道路といってもただの土地を道路として利用しているだけです。建築基準法の第43条第1項ただし書き空地などが、この建築基準法で認めていない道路になります。

この認められていない道路にしか接道していない土地には建物を建てることはできません。仮に現状建物が建っていたとしても、建替えできない土地です。認められた道路に接した土地でなければ、建築確認申請が降りないからです。

さらに、認められていない道路は見た目や現状が道路であっても、その道路を廃止したり、道路の上に工作物を作ったり、人に貸したりすることも許されています。最終的には道路でなくなる可能性も高くあります。ですので、建築基準法で認められていない道路にしか接していない敷地は、住宅地として購入してはいけません

購入を検討している土地に接している道路が私道の場合は、必ず建築基準法で認められている道路であることを確認してください。

建築基準法で認められている私道とは具体的に言いますと、
1.位置指定道路(建築基準法第42条第1項第5号で定めた道路)
2.2項道路(建築基準法第42条第2項で定めたみなし道路)
の2種類でほとんどを占めます。
(例外的に私道であっても42条1項2号、3号、4号道路もあります。これらの道路は市役所などの建築道路課などに確認することになります)

位置指定道路は私道ではありますが、公道に近い条件が満たされています。位置指定道路は道路幅は大概4m以上ありますし、曲がり角には角切りがあります。

また、位置指定を受けた道路は道路上の建築、廃止、変更などに大きな制限がありますし、その道路は所有者の承諾がなくても通行が可能になります。ただし、自動車の通行については、所有者の許諾が必要となるケースもあります。

狭い道

幅が4m無い狭い道は2項道路である可能性が高いです。

2項道路は、道路の幅が4m未満の細い道路です。本来建築基準法で認められる道路というのは幅が4m以上なければなりません。2項道路とは幅が基準を満たしていませんが、道路とみなしてよい、という道路です。

2項道路に接している土地の場合は、現在建物が建っていればそのままその建物を使うことが可能ですが、新たに建物を建てる場合には、道路の中心線から2m分を道路部分として差出し、残った土地内で建物を建てなければなりません

不動産の広告でよく見る、セットバックあり、と書かれている内容の大半はこれです。このような条件があるため、2項道路は場所によって道幅が広かったり狭かったりしています

私道であるがためのデメリットについて把握しておきましょう

私道であっても、位置指定道路や2項道路であれば住宅としての使用は可能ですし、実際に多くの物件が販売されています。

ただし、私道ならではのデメリットがあります。デメリットの代表的なものは、
1.道路のメンテナンスが所有者負担となる
2.所有という概念があるが故のトラブルの可能性がある
です。

1.の道路のメンテナンスについてですが、通常は特に費用がかかることはありません。しかし、地震などで道路自体が、あるいはガス管や水道管に補修が必要となれば、道路の所有者が補修費用を持たなければなりません

地中の配管の補修ともなれば、配管の補修費用に道路の補修費用が加わりますので結構高額の費用となります。かといって、水やガスといったライフラインを修理なしで済ますわけにもいきません。

2.の所有者ならではトラブルというのは分かりにくいかもしれませんが、道路と接している敷地の所有者が、道路の部分も自分の持ち物だと考えることがあるため、道路を私的利用するケースが多くなるということです。

たとえば、前面道路を日常的に駐車スペースとしたり、生け垣を張り出させたり、植栽を道路に置いたりといった内容です。もちろん公道であってもこのようなことをする人はいますが、私道であるが故に、自分の土地上に自分のものを置いて何が悪い、という気持ちが強くなるためなのか、私道の方がこのようなトラブルになる率が高い印象を受けます。

また、私道の所有者が変わるタイミングで、奥の敷地の所有者に対し、自動車の通行を制限するといった可能性もあります。

路上駐車のイメージ

私道だから、という理由だけで決まる訳ではありませんが、私道の道路上に自動車を日常的に停め、自分の土地に車を停めて何が悪い、と考える人もいるようです。

もちろん私道所有者同士や隣接土地の所有者との話し合いや取り決めで、迷惑行為を制限することができますが、あくまでも話し合いでの決まり事ですので、公道と比較すると強制力が弱くなります。強制力が弱いことに加え、前述しました自分の所有物という意識が重なり、道路の私的利用に至るものと思われます。

他の条件が同じであれば、私道隣接地の方が価格は安くなります

もちろんすべての私道でトラブルが起きている訳ではありません。むしろトラブルはごく一部の事例です。しかし、このようなリスクがあるため、公道と接している土地と比べると、他の条件が同じであれば価格は安くなります。安くなっていないとすれば、その分割高だと考えなければなりません。

一般的に売主が不動産会社である場合や売主側の仲介会社である場合は、私道のデメリットについて詳しく教えてくれることはありません。重要事項の説明項目でもありますので、私道である旨の説明はありますが、そのデメリットや将来問題が起きる可能性がある事を話す不動産会社はめったにありません。

ですので、面倒であっても自分で私道のデメリットについて把握するか、このような内容を詳しく教えてくれる買い手側の立場に立った不動産会社を間に入れるべきです。

接している道路が公道か私道かによって、多くの影響がありますので、事前に必ず調べておきましょう。

実際に購入検討をしている土地が私道に接している場合、ではいくら位で土地価格を考えるのかについての判断は簡単ではありません。その私道の権利や許可等がどうなっているのかにも影響を受けますし、私道の所有のされ方によっても危険度は大きく変わるからです。

強いて価格の目安を考えたい場合には路線価を見て考えるという方法があるにはあります。私道の場合は路線価の設定がされていない事も多いのですが、私道であっても路線価が設定されている事もあるため、その数値から時価を予想するというやり方も使ってみましょう。路線価から判断する方法については「2-03-02.土地の値段の判断に迷う時には路線価図を目安にしましょう」の記事を参考にしてください。

私道に接している土地を購入予定だが、何を注意しなければならないかについては「私道に接している土地や戸建住宅を買う場合には、最低2つの許可を確認しましょう」の記事を参考にしてください。

次のページはこちら 「07項.道路の幅や状況によって家が建たないこともある」

私道の注意点について動画で解説しました

このページの私道のデメリットのあたりを、動画でも解説しました。その動画がこちらです。

厳密には正しくない部分があるのですが、分かりやすさを考えて解説しています。よろしければ動画もご確認ください。

ふくろう不動産ではお客様が購入予定の土地についてはきちんとした調査を行います

道路についてのトラブルはそれなりに起こります。ふくろう不動産ではお客様がこのようなトラブルに巻き込まれないようにするために、前面道路の権利関係や状況について詳しく調査しています

もし、問題があるような物件であればその旨お話しし、取引自体をどうするか、価格交渉を行った方が良いかどうかなど、お客様と相談しています。

また、ふくろう不動産では皆様からのご質問やご相談などを随時受け付けています。ご相談などはもちろん無料です。ご相談の連絡をされたからといって、後で当社から営業の連絡がいくこともありません。
詳しくはお問い合わせフォームなどからふくろう不動産までお問い合わせください。

ふくろう不動産は米国式エージェントサービス方式の仲介会社ですので、サイト上で物件の公開をすることはありません(「第1章.米国式エージェントサービスは片手取引の仲介です」参照)。お客様と相談しつつ、物件の善し悪しや注意点を説明した上で、物件のご案内を行うようにしています。

ふくろう不動産がどのような会社なのかについては「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。

このページでお話ししました私道かどうかについても、売主側に道路の権利関係を確認することはもちろん、公図や隣地測量図なども確認し、問題がないかどうかをチェックするようにしています。詳しくはふくろう不動産までお問い合わせください。

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