購入を考えている土地の前に下水管が通っているか、浄化槽を利用しているかは土地購入時にはあまり考えないかもしれません。ただ、浄化槽利用の場合には後々余計な費用がかかる可能性があります。また浄化槽のブロアーなどで騒音を感じるケースもあります。

購入対象の土地が下水道利用可なのか、浄化槽利用なのかは最初に確認しておいた方が無難です。

首都圏でも下水道が通っていないエリアはたくさんあります

今や水洗トイレが当たり前になっている時代ですので、下水道は当たり前にあるものだと考えている方も多いかもしれません。

しかし首都圏であっても未だに下水道が通っていないエリアはたくさんあります。下水道が通っていないエリアで水洗トイレがある家は、地下に浄化槽が埋まっています。

1-3-1-17 トイレのイメージ

水洗トイレがあるからといって、下水道が通っているとは限りません。

浄化槽であっても、通常の使用には問題ありません。ただ、ランニングコストは下水道がある場所よりも浄化槽使用の方が高いかもしれません。

下水道の場合は上水道代に比例した分だけ、下水道使用料金がかかります。浄化槽の場合は定期点検を行うことが法律で義務付けられていて、その管理料は年間で5万円くらいでしょうか。その家庭の水道使用量にもよりますが、浄化槽の方が年間の費用が大きいと思われます。

浄化槽から下水道切り替えの際には多額の費用が発生します

浄化槽使用の場合、大きな費用負担となるのは下水道に切り替えをしなければならない場合です。
浄化槽のエリアは、少しずつ下水道本管へと切り替わっていきます。切り替えの際に、下水道の工事費や負担金、さらには浄化槽の撤去費用などが必要となるケースがあります。

これはその自治体によってかかる費用が大きく異なり、数万円単位で済むこともあれば、百万円単位のお金が必要となるケースもあるようです。この費用はエリアによって大きく異なるため、正確な判断は難しいのですが、将来の危険を避けるという意味では下水道完備エリアを最初から選んだ方が良さそうな気はします。

下水道の有無の確認は東京都23区であれば、ネット上で無料で確認が可能です。

東京都下下水道局 下水道台帳ホームページ

千葉市は、以前は下水道維持課まで行き窓口の端末で検索しなければなりませんでしたが、平成26年10月1日よりインターネットで閲覧できるようになりました。

千葉市下水道台帳システム

出典:千葉市

下水道施設平面図(下水道台帳)案内のページ
(ここから閲覧ページで利用条件に同意すれば、内容を確認できます)

浄化槽利用の土地は騒音を感じられるケースもあります

騒音問題のイメージ

浄化槽の音がうるさいと感じられる方もいます。浄化槽の騒音は夜間でないと感じないこともあります。

事例はそれほど多くありませんが、浄化槽利用の土地の場合、浄化槽で使用しているモーターなどの騒音に悩まされる場合があります。これは浄化槽で使うモーターや、その取り付け状況によって変わってきますので一律には言えません。しかし浄化槽のモーターは夜間に動いていることも多く、低周波音などを発生している可能性もあります。

問題になるケースがそれほど多い訳ではありませんが、気になる方は最初から浄化槽の物件を選ばないようにした方が無難かもしれません。

一般的に売主や売主側の仲介会社に話を聞くと、浄化槽使用の場合でも、特に問題は無いですよ、と言われます。確かに通常の使用は問題ないかもしれませんが、ランニングコスト、切り替えの費用、騒音の問題について教えてくる会社はめったにありません。こちらも自分で注意するか、このような内容を把握している仲介会社に入ってもらうべきです。

ちなみにふくろう不動産では騒音に低周波音などが含まれていないかどうかの調査を別途行っています。詳しくは「6-01.健康配慮型のインスペクションを行っています」のページをご覧ください。この音自体は小さな音ですので、調査は夜間に行うことになります。

下水のますは管理者が修繕費用を負担します

さて、下水道が通っている場合、もう1点注意しなければならないのは公共ますが誰の管理になっているかです。

最近のますは丈夫になっていますのであまり壊れることはありませんが、地震などの影響でます自体が壊れることがあります。その場合、そのますを誰が管理しているかによって修理費を誰が負担するかが異なります。特にコンクリートで作られたますは、時々壊れますので注意が必要です。

私事ですが、昔住んでいた借家の公設ますが壊れ、その周りの土がジメジメして変なにおいがしていたときがありました。そのますは、市の管理でしたので市の負担で修理したのですが、取り換え工事が必要になれば結構な金額になります。誰の管理になるかは自治体によって決まっていますので自分で選ぶことはできませんが、あらかじめ知っておいた方が良いと思います。

誰が管理者なのか、最終的には下水道局などで調べることになりますが、現地を見るだけでもある程度の確率で分かります。

公設ますが道路上にある場合は、ますは自治体の管理です

まず公設ますが敷地内にあるか道路上にあるかです。道路上にある場合は概ね自治体の管理です。しかし自治体の管理だからといって安心ができません。公設ます自体は自治体の管理ですが、敷地からその公設ますまでにつなぐ配管は、個人の管理となっている場合が多いからです。

そして、地震などでその配管が壊れた場合には、個人が修繕しなければなりません。さらにその場合、道路工事も必要になるため、手続きは煩雑になり費用もかかります。下水道にかかる費用と手間という点では、デメリットが大きい方式ではないかと思います。

公設ますが敷地内にある場合でも自治体が管理しているケースがあります

次に公設ますが敷地内にある場合を考えます。実は敷地内に公設ますがあるからといって、必ず個人の管理となっている訳ではありません。敷地内に公設ますがある場合、敷地の境界線上で個人と自治体の管理が分かれる地域と、公設ますまでは自治体の管理で、そこから内側が個人の管理となっている場合があります。

これは、公設ますの上に自治体のマークがあるかどうかで、ある程度判断できます。自治体のマークが無い場合は個人管理、マークがある場合は自治体管理というわけです。

理想的なのは、敷地内に公設ますがあり、自治体の管理となっている方式だと思います。これですと排水管の個人負担分が少なくて済みますし、公設ますから先の部分については、自治体の費用で管理してもらえるからです。

1-3-1-17千葉市汚水ます写真

自治体のマークが入っているますは自治体の管理となっている可能性が高いと思われます。

汚水ます(自治体のマークなし)

自治体のマークのないものは、個人所有となっている可能性が高いと思われます。

こういった下水や公設ますの方式で、その土地の選び方が大きく変わるかどうかは個人の価値観にもよると思いますが、こういったちょっとした内容の積み重ねで、かかる費用にも差がつくこともありますので、一応知っておいた方が良いと思います。

次のページはこちら 「3-01-18.都市ガスかプロパンガスかで何が違いますか?」

この記事では下水道についてのお話をしましたが、土地の価値は下水道だけでなく、他のインフラの状況によっても変わります。その話については「2-03-04.インフラや道路付けによっても不動産の価格は異なります」の記事を参考にしてください。

また上水道については
2-04-08.水道管によっては後から追加費用が発生します
3-01-16.水道管の設置状況も時にはトラブルを起こします
の記事も参考になります。

ふくろう不動産では、上水道や下水道の台帳をチェックしてお客様に報告しています

ふくろう不動産は売買仲介専門の不動産会社です。主に不動産を買いたいというお客様のためのバイヤーズエージェントとして活動しています。土地の上下水道については、ほとんどの会社で確認をしていると思いますが、ふくろう不動産は単に下水道の有無だけではなく、ますの位置や下水道台帳も確認しています。

めったに問題となることはありませんが、上下水道が公的なものではなく、個人の所有物であるケースもあります。そういった際に知らずにその土地を購入するとトラブルとなる可能性もありますので、こういったインフラ関連は必ず調べてお客様に報告するようにしています。

低周波音が計測できる精密騒音計

低周波音も測定できる精密騒音計でチェックするようにしています。

また、騒音や低周波音の被害の危険性が感じられるようであれば、簡易的にですが、その場所で騒音・低周波音の調査も行っています。

当社;ふくろう不動産がどのような会社であるかについては「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。

また、このような内容も含め、不動産について何か分からないことや、相談したいことがありましたら、ふくろう不動産までご連絡ください。ご質問されたからといって、後で当社からしつこい営業の連絡をすることもありません。詳しくはふくろう不動産まで、「お問い合わせフォーム」などでお問い合わせください。

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