シロアリ対策は間違った常識がはびこっています

戸建住宅の安全性を考える際には、シロアリ対策を考えない訳にはいきません。しかしこのシロアリ対策は間違った常識が広がっているため、お金ばかりかかる無駄な対策がはびこっています。

シロアリ対策について効果が無い対策や無駄な費用を支払わなくても済むように正しい知識を得て、正しい対策を立てるべきです。

シロアリイメージ

シロアリ

水や湿気が直接シロアリの発生条件となる訳ではありません

間違っている常識の1番大きなものは、「水や湿気のある場所にシロアリがわく」ですとか逆に「乾燥している場所にはシロアリは近寄らない」というものです。

実際には水や湿気の有無でシロアリがわくわかないは直接関係はありません。実験室などで調査するとシロアリは乾燥している場所には寄らないのかもしれませんが、野生のシロアリは自分で水を運ぶことができます。

ですので、シロアリが水を運んで木部が腐朽することはあっても、水がシロアリを呼ぶということはありません

この俗説が普及したために、床下を乾燥させておけばシロアリは近寄らない、という話が出回っていますが、実際には乾燥した床でもシロアリがいる場合があります。

また炭や珪藻土など乾燥したものを床に置いておくとシロアリが寄らないという説もありますが、こちらも間違っています

こういった内容は最近の研究で分かってきたことですが、一般にはあまり知られていません。建物検査を行う会社でも、雨漏りなどで水が付くとシロアリがわきやすい、と解説していることもあります。

実際に雨漏りや結露で濡れている部分は木部が腐朽しますので問題にはなりますが、それがシロアリ発生の直接的な原因になる訳ではありません。

水そのものもそうですが、湿度についても同様です。乾燥している木材、含水率の低い木材はシロアリにやられない、と主張されていた時期もあったようですが、実際には含水率の低い木材であってもシロアリの被害にあっています

注意喚起マーク

水があったりカビがあったりすればシロアリが発生するという事ではありません。

国産のヒノキもシロアリの被害にあいます

また樹種によってもこの樹種は大丈夫、という意見も間違いです。ヒノキやヒバはシロアリの被害を受けない、と考えている人もいますが、これも国産・外国産問わずシロアリの被害報告があります

日本の環境で育った日本の木であれば大丈夫、と主張される方もいますが、被害を見る限り根拠はありません

そもそも腐朽防止のためのCCA加圧注入土台(銅・クロム・ヒ素を注入した木材のことで、現在は使用されていません)のような毒性が強い木材でさえシロアリの被害があります。木材でシロアリが食べられないという種類はありません。

木材に塗料などを塗っても効果は期待できません。これも一時期木酢液やヒバ油などでシロアリを寄せ付けないという話もありましたが、これらも効果は無さそうです

シロアリのイメージ

一般的に正しいと思われている白蟻対策の中には、間違っている話が結構あります。

また、建築家の間で、銅板を付けるとシロアリが寄り付かない、という意見も一時期ありましたが、これも被害実績が結構あるようです

では実際の対策は何が有効かと言えば、
1.定期的に点検できる家のつくりにしておく
2.シロアリが見つかった場合に、薬剤などで駆除する
の2つだと私は思います。

1.の家のつくりについてですが、床下などが点検できない家が一定数あります。土間床としている家などがそうです。また、蓄熱式床暖房の設置を行い、床下に空間を設けない家もそうです。

こういった家を設計した会社も色々と考えて作っていると思いますが、その前提が前述した間違った常識としている場合が多いため、安全とは思えません。少なくともシロアリ対策という面からみれば、普通に床下のある建物の方が望ましいと思います。

2.の駆除についても正しい知識が必要です。と言っても知らなければならないことは多くありません。薬剤については、駆除剤と忌避剤が違うということと、イエシロアリ、ヤマトシロアリで対処方法が異なるということの2つを知っておけばとりあえずは大丈夫です。

シロアリが出た時にはシロアリ駆除会社に連絡を取ることになりますが、その場合、業者がどのシロアリに対する手法を取っているか、また薬剤は何を使うのかを確認し、それが駆除剤か忌避剤かを確認します。

白蟻被害

白あり対策会社に、どのような方法で駆除するのかを確認しましょう。

イエシロアリが相手の場合は忌避剤などでは効果がないことも多く、駆除するためには巣自体を駆除しなければなりません。そのためにはベイトシステムなど、シロアリのコロニー自体を駆除するような薬剤を使用しなければなりません。

これがヤマトシロアリの場合には、コロニー自体を駆除することが難しいため、被害にあった部分を取り除き、侵入経路を薬剤処理する、という考えが中心になります。

このあたりの駆除方法はケースバイケースですので、一概にこれ、とは言い切れません。しかしどのシロアリに対してこういった駆除方法を採る、という内容が明記されている会社は、安心できる確率は高いと思います。

逆に念のためにこういったこともやっておきましょう、というタイプの会社は過剰な薬剤散布など健康に問題がありそうなことや、そもそも効果の無い提案を行う率が高いように感じます。

シロアリ対策は本当に間違った情報があふれています

こういった事情が分かっていると、シロアリ業者や建設会社のシロアリ対策で提案を受けた時に、怪しいと思う内容については再度調べて改めて検討することができます。

シロアリ対策についてはさまざま意見が飛び交っており、どの意見が正しいかと判断することが難しい状況です。ましてや建築の専門家である建築家や建設会社の人間ですら、シロアリについては間違った見識を持っている人が多くいます

シロアリ駆除業者も詐欺まがいの会社から、悪意はなくても過剰に消毒などを行う会社など大丈夫かと思われる会社もたくさんあります。

私は今まで見聞きしたり調べたりした経験から上記内容が正しいと思っていますが、間違っている可能性が絶対に無いとは言い切れません。

しかし、このシロアリ対策、予防についてはとにかく間違った情報が、とにかくたくさん出回っています。1つの意見をそのまま信じることなく、複数の意見を照らし合わせて判断するようにしてください。

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