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3-02-06.建物の壁の量によって安全性は大きく異なります

この記事の所要時間: 859

木造の戸建住宅では、壁が耐震上大きな影響を与えます。2×4工法のような壁で建物を支えている工法はもちろん、木造軸組工法であっても、壁の力によって建物を支えているという要素が大きくなっています。このページでは、その壁の重要性についてお話しします。

耐力壁というものを知っておきましょう

構造として建物を強くしている壁を耐力壁と呼びます。すべての壁が耐力壁となっている訳ではなく、壁の中に筋交いが入っていたり構造用面材が入っていたりしなければなりません。また、壁の幅は何cmでも良い訳ではなく原則として90cm以上(構造用面材だと60cmでも良いのですが)必要です

また、耐力壁はその構造によって、通常の耐力壁の何倍分かの効果があると認められている壁もあります。例えば壁倍率2倍の壁が1mあれば、耐力壁は2mあるものとして計算されます。倍率については細かな基準が設定されており、最大5倍まで認められている壁もあります。

しかし見た目だけではその壁が耐力壁なのかどうか、耐力壁であっても何倍の壁倍率の壁なのかは分かりません。図面があり、壁量について記載されていれば自分で計算もできますが、図面が無ければそもそも耐力壁なのかどうかの判断も難しいと思います。

そこで図面が無い場合は、90cm以上幅がある壁は1倍の倍率の耐力壁としてとりあえず考えてみます。下記の図を見てください。

耐力壁量の計算の仕方

戸建住宅の1階の壁の量を簡易的に計算したものです。ふくろう不動産では実際にお客様が検討している建物についてはこの計算を行っています

外側4分の1に耐力壁がバランスよく入っている形が望ましい形です

建物の平面図を910mmグリッドで分け、耐力壁のある部分を赤線で示したものです。これは図面があったため、建物内部にも耐力壁があることが分かり、そちらにも耐力壁を入れています。

東側は外壁に耐力壁を多く設けられなかったため、建物の内部に耐力壁を入れることで対応しています。他にも建物内部に耐力壁が入っていますが、基本として外側4分の1の範囲にある耐力壁のみ計算します。その結果、上の図では4面とも充分と思われる耐力壁があり、バランスも悪くありません。

図面が無い戸建住宅では、1階壁の横の長さのみ計算して構造の強さを考えます

しかし中古住宅では、そもそも図面が無いこともありますし、あったとしても間取りのみ分かる図面で耐力壁については全く分からないということもよくあります。

その場合、とりあえずの見かたとして、外壁の長さのみを数えます。この外壁の長さは、窓が入っていない壁の横の長さを見るということです。

掃出し窓(人が出入りできる大きな窓)は構造にはあまり役に立ちません。また普通の窓(人が出入りできないサイズの窓)はその上下の壁で多少は構造に貢献しますが、前面壁と比べるとやはり構造は弱くなっています。

この壁は何mあれば大丈夫というものではなく、建物とバランスで考えます。考え方として、
1.1面(北側の面なら北側のみ)ずつ見て、全体の4分の1以上は壁である
2.1つの窓の塊の幅が4m以下
3.建物の四隅に開口部がない
である建物が望ましいと思っています。

1階の1面の4分の1以上は壁にしたい

この建物のこの面には、90cm以上の幅の壁がそもそもありません。木造住宅ではこういった作りの家はあまりお勧めできません。

1.の4分の1以上壁が欲しいというのは、建物の南側の大半を窓にして、壁がほとんどないという建物が結構あるからです。明るさを追求しすぎるためこのようなつくりになっているのでしが、耐震性という切り口で考えると正直不安があります。

幅4m以上の窓の塊

1つの窓部分で幅が4m以上ある建物も構造的にはお勧めしにくい建物です。

2.の1つの窓の塊が4m以上ある場合も不安があります。特に1階にリビングを設置する場合は南側にリビングを配置し、大きめの窓をとるケースがありますが、大きすぎる場合、特に4m以上の幅の窓がある場合はその分耐震性は弱くなります

南側の壁の量が少ないため、構造的に弱い戸建住宅がたくさんあります

1.や2.の窓面積が大きくなるのは主に南側の壁面です。他の面で充分に壁を確保したとしても、1面のみ弱いと結局バランスが悪くなり壊れやすくなります。

太陽光パネル

開口部が多い南側の屋根に太陽光パネルを載せるのは構造的にはリスキーです。

最近は太陽光パネルの設置が、この問題を更に大きくしています。ただでさえ南向きの壁の量が少なく南側は弱いにも関わらず、太陽光パネルは屋根の南側に乗せるため、弱い部分に荷重をかけることになります。普段は問題が無くても、地震時などにどのくらい影響を与えるのか、正直不安です。

3.の四隅の壁もこの部分が窓になっていると構造的には弱くなります。建物の隅は他の部分よりも地震時には大きな力がかかります。耐力壁で耐えるのであればその力に耐えることも可能ですが、窓では耐力が期待できません。

2階建て以下の木造住宅では構造計算が行われません

計算のイメージ

2階建ての木造住宅で構造計算が行われることはほとんどありません。

こういったお話を皆さんにしますと、建築家がきちんと計算して建てているから大丈夫、ですとか構造計算をして認められている建物なので問題ない、と主張されることがあります。こういった意見が全て間違っている訳ではありませんが、大半の建物は構造について、きちんと考えられている訳ではありません

皆さんはどの建物もきちんと構造計算されているとお考えかもしれませんが、木造住宅の2階建てでは、いわゆる構造計算は行われません。一定の基準・仕様を満たしていればそれで確認申請は通りますので、構造計算がきちんとなされているので大丈夫、という意見はそもそも間違いであることが多いのです。

もちろん構造計算は必要ないだけで、本当に構造計算を行った上で建てている建物もあります。その場合は構造計算書が残っていると思いますので、売買の際には見せてもらってください。

構造計算を行っている、と主張されている建物でも構造計算書が無いケースが良くあります。これは実際には構造計算を行っていないにも関わらず、確認申請を受けている建物は全て構造計算されている、と勘違いしている方の主張であることが多いので、構造計算書が無い建物は構造計算を行っていないと考えた方が良さそうです。

余談になりますが、建築で言われる構造計算とは
1.許容応力度(等)計算
2.保有水平耐力計算
3.限界耐力計算
4.時刻歴応答解析
の4種類だけです。

このうち3.と4.は特殊なケースでしか使いませんので、基本的に建物の構造計算と言えば、1.か2.の計算になります。これらの計算が行われている建物以外は、構造計算を行ったとは言いません。

一般的に戸建て住宅で行われている構造のチェックは、壁量計算と四分割法、そして柱に取り付ける金物の規定を守っているかどうかの3種類です。

この3つも守っていれば、一般的には大丈夫と言われているのですが、施工精度が悪いと当初目指した構造的な強さは確保できませんし、基準法を守っているだけでは、最低レベルの構造を確保しているだけ、という場合もあります。

窓が多すぎる建物は構造的に強くない可能性があります

壁量がない壁

この家は窓が多く大変明るい家だとは思いますが、この面には構造壁が無いため、構造上は少し不安があります。

窓が多い建物できちんとした構造を確保しようと考えた場合、色々と無理をして耐力を確保します。その場合通常ではあまり使われない施工方法が選ばれます。

建物の形状のお話をした際に、建物の形が複雑になれば、その分施工ミスも起こりやすいとの話をしました。窓が多い建物も同様で壁が少ないのに耐力を確保するためには複雑な構造体とせざるを得ず、施工は複雑になります。

複雑な施工を必要とする建物は、当然施工ミスの可能性も高くなります。正しく施工されていなければ、計算通りの耐力は望めません。窓が多い建物できちんとした耐力がある建物を作るためには、色々な条件を満たさなければならないのです。

このあたりは、安全性と快適性のバランスをどう取るかという話になります。しかし一般的には窓が多すぎる建物よりは、上記の3つの条件を満たした建物の方が安全性は高いと思います。

次のページはこちら 「3-02-07.戸建住宅では床も重要な構造体の一部」

このページの内容を動画でも解説してみました

このページでお話ししました内容を動画でも解説してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

ふくろう不動産では壁量についてもざっくりとチェックをします

ふくろう不動産では、中古の戸建住宅を購入されるお客様のために、戸建住宅チェックシートを作成し、お客様にお渡ししています。そのチェックシートの中にはこのページで説明しました壁量について計算し、危険度合いを判断した用紙をお渡ししています。(「2-11.戸建住宅の事前チェックシートの内容」)参照

他にもお客様の安全性確保のために、さまざまなサービスを用意しています。詳しくは「第2章.ふくろう不動産の検査・チェック項目」のページをご覧ください。

また、ふくろう不動産では皆さまからのご質問やご相談を随時受け付けています。ご相談などはもちろん無料です。ご相談されたからといって、後で当社からしつこい営業の連絡をすることもありません。後で当社からしつこい営業の連絡をすることもありません。ご相談などは「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡をお願いします。

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