このページではマンションに付属している駐車場についての注意点についてお話しします。

マンションの駐車場は大きく分けると2タイプに分けられます。それは自走式と機械式です。自走式はその名の通り、自分で走って駐車スペースに停めるタイプで、こちらはさらに、平面式、プレハブ式、建物式の3つに分けられます。

平面式はいわゆる青空駐車です。敷地を舗装し、駐車スペースを作りその部分を駐車場として管理します。ただ、この平面式をマンションの全住戸に用意することは敷地の面積が限られるため難しく、通常は来客用に数台用意するというパターンが一般的です。

プレハブ式駐車場はこれからマンション敷地内駐車場の主流になるかもしれません

プレハブ式は最近よく見かけるようになってきました。2階建ての駐車場を多く見かけますが、3階建て以上のプレハブ式駐車場もあります。

一般的なプレハブ駐車場は2階建て(1層2段式は1階建てと言うようですので、正式には1階建て)で、2階の床はメッシュの金網になっており、下が見えるようになっています。そのため下の駐車スペースでも雨にぬれますし、2階に上がる部分のスロープは人も車も滑りやすいという問題はあります。しかしプレハブ駐車場はイニシャルコストが安く、メンテナンスなどにもあまり費用が掛からないため、最近は人気が出ているようです。

建物式は駐車場専用の建物がもっと大掛かりになっているものです。鉄骨やRCで作られており、耐用年数も30年以上の設定がされています(プレハブ式は耐用年数15年と規定)。マンションの1階や地下などに駐車場を組み入れているものも建物式の一部といって良いかもしれません。郊外のマンションでは、全住戸の駐車場を確保すべく、この建物式の駐車場を備えているマンションも見受けられます。

建物式駐車場

郊外型のマンションでは、全十個分の駐車スペースを確保するために、建物式の駐車場を用意するケースがあります。

これら自走式の駐車場のメリットは、ランニングコストがあまりかからないこと、機械式駐車場に比べて、車の出し入れが楽なことが挙げられます。

逆にデメリットは駐車スペースの位置がマンション住戸から遠くなることが多いことです。しかし、その点のみ納得できれば、デメリットが少ない駐車方式ではないかと思います。

マンションの敷地内駐車場で注意が必要なのは機械式駐車場です

自走式と比較しますと問題がありそうなのが機械式駐車場の方式です。
機械式駐車場の難点は将来の取り換え費用も含めて考えるランニングコストが大きいことです。「2-05-05.マンションの経済性を考えるために修繕積立金について深く理解する」のページでも説明しましたが、機械式駐車場を設置する場合には、修繕積立金や駐車料金の設定をうまく考えなければなりません。

機械式駐車場イメージ写真

機械式の駐車場があるマンションには注意点がいくつかあります。

マンションの機械式駐車場は将来多額の修繕費が必要となります

機械式駐車場の問題点は、マンション本体よりも駐車場の寿命が短いことです。そのため15~20年後には新しい駐車場に交換しなければなりません。

駐車場を新しいものに交換する場合、機械や状況にもよりますが、1台あたり200万円から250万円の費用がかかります。仮に20台の機械式駐車場があれば、交換までに4,000万円の費用がかかる計算になります。この分を修繕積立金から捻出するのは簡単ではありません。

機械式駐車場の交換はトラブルになりやすい要素を持っています

さらに複雑なことに、この駐車場を交換する場合いくつかの問題が出てきます。それは、
1.修繕積立金の設定が十分ではないため、交換費用を追加で出さなければならない
2.駐車場の使用量が修繕積立金ではなく、管理費として設定され既に使われて残っていない
3.全住戸に駐車場の利用権が無い場合は、利用者と非利用者との間の費用負担が問題
といった問題が重なり合って出てきます。

機械式駐車場の更新費用を予め考えられているかどうかが問題です

大半のマンションでは、そもそも修繕積立金の設定が十分ではありません。それに加え、機械式駐車場の交換費用で多額の費用が発生した場合、追加で支払わなければならない金額は相当多額の金額となります。

この交換に備えて、駐車場の使用料金を全て駐車場用の修繕積立金として溜めている管理組合であれば問題は少し小さくなります。

しかし別の設定としている管理組合も多くあります。別の設定とは、
(1)駐車場使用料は修繕積立金とせずに管理組合の収入として処理
(2)駐車場使用料はすべて修繕積立金としているが、駐車場分とせずにマンション全体の修繕積立金として処理
(3)駐車場使用料はすべて駐車場更新のための修繕積立金として処理
などがあります。

駐車場収入を一般管理費として計上

機械式駐車場は将来多額の更新費用がかかる可能性がありますが、その分を予め計算していない場合は、後からトラブルになることがあります。

機械式駐車場を導入しているマンションは駐車場関連の費用を別会計にした方が良いと思います

どのように処理しても管理組合内の処理なのだから同じではないか、と思われたかもしれません。ですが、ここで3.の利用者と非利用者との違いが問題になってきます。

駐車場分のお金が独立して扱われていない場合、非利用者から見れば、自分で全く使っていない駐車場のために、なぜ自分が支払ってきた修繕積立金を使わなければならないのか、と疑問に思うでしょう。

駐車場の使用料を全て駐車場の修繕積立金として処理していたとしても、実際にその費用だけでは足りないということがよくあります。駐車料金は、将来の機械の交換のことを考えて設定する訳ではなく、周辺の駐車場の相場金額から設定されることが多いからです。

その場合、完全別会計になっていれば、不足分は駐車場利用者だけで負担しましょうということも選べます。別会計になっているということは、駐車場を将来交換する必要があると分かっていたと思われます。最初から計画していた訳ですし、他の修繕積立金も修繕計画に沿って積み立てられている可能性が高いと言えます。

しかしこういった内容が考えられていない管理組合ではいざ更新の時に、利用者と非利用者との間でトラブルになることがあります。
こういったトラブルを防ぐためにも、最低でも(3)のように別会計としている方が望ましいと思います。

駐車場収入は別会計

駐車場収入は他の項目に回さず、将来機械の更新をする際の原資として別会計にしている方がトラブルが起きにくいと思われます。

機械式駐車場を備えたマンションはこのような問題を含んでいることが多くあります。実際に駐車場の入れ替えの際には、費用の折り合いがつかなかったため、機械式駐車場を壊し、プレハブ式駐車場に代えてしまった例もあります

機械式駐車場を導入しているマンションの全てが計画性が無い訳ではありません。しかし計画性がないマンションも一定数あります。購入前には駐車場の会計処理がどうなっているのか、確認しておいた方が良いでしょう。

次のページはこちら 「マンションのエレベーターで資産性に影響が出そうなもの」

このページの話の一部を動画でも解説しています

このページでお話ししました機械式駐車場の問題について、動画でも少し解説をしてみました。それがこちらです。

よろしければ、動画もご覧ください。

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