戸建住宅は真四角の方が安全性は高いです

このページでは建物の形が安全性にどういった影響を与えるかについてお話しします。正しい設計と施工を行えば、どんな形の建物でも安全な建物にできる、という意見もあり、それは間違いではありません。

しかし本当に正しい設計、正しい施工が行われているかはプロでも簡単に判断が付きません。そしてトラブルが起きやすい形というものも確かにあります。

シンプルな形状の家

安全性・経済性という観点から見れば、戸建住宅はシンプルな形状が望ましいです。

安全という観点で考えると、建物はシンプルな形状の方がより安全です。複雑な形状の建物の何が問題かと言えば、
1.地震時には建物の部分ごとで違う動きをするため、壊れやすい
2.複雑な形状は施工は難しいため、施工ミスを起こしやすい
の2点です。

L字形の建物はつながり部分が壊れやすい場所になります

L字形の建物は真四角よりも耐震性は劣ります

L字形の建物はその棟ごとに違う動きをするため、真四角の建物よりも壊れやすい面を持っています。特にこの壊れやすい部分に大きな開口部がある建物はなお問題が起きる可能性が高くなります。

例えばよく見られるL字形の家です。これは地震時に各々の棟部分が違う動きをするため、その接合部が壊れる可能性が高くなります。

マンションのような大型の建物であれば、接合部をエキスパンションジョイントなどで動きがお互いに干渉しないようにできますが、戸建住宅は一体として作りますので、お互いに影響を受けます。

もっとも戸建住宅は重量が軽いため、接合部さえしっかりと施工されていれば大丈夫です。ですが、真四角の建物よりも影響を受けやすいのも確かです。

余談ですが、複数の大手の建設会社は自社の建物の耐震性を証明するために、実物大の建物を作って、振動装置で揺らし、震度○でも倒れません、としています。ですが、実験で建てられる建物はほとんどが真四角の建物で、住宅展示場で見るような凝ったつくりの戸建住宅が耐震実験の現場に出てくることがありません

だからと言って、凝ったデザインの建物に耐震性が無いとは言えませんが、どうせ実験を行うのであれば、展示場と同じ建物で実験してほしいものだと思います。

凹字形はL字よりもさらに壊れやすい作りです

凹形の建物はさらに耐震性は弱くなります

凹形はLじよりもさらに問題が多くなります。特に内側に耐震壁が少ない場合はさらに壊れやすくなります。通常の建物以上に構造に注意して建物を見なければなりません。

L字形よりさらに問題が起きやすいのは凹字形の建物です。この形では3つの棟部分が別々に動きますので、その分壊れやすくなります。

更にへこんでいる部分は中庭をきれいに見せるために開口部を大きくし、壁が少ないケースがあります。ただでさえ力がかかる部分なのに、それを受け止める壁などの構造体が少ないため、耐震性という面から見ればお勧めできる形ではありません

さらに形の複雑さに合わせて屋根の形も複雑になります。その分施工が大変になり、施工ミスの可能性も上がります。結果として雨漏りの可能性が通常の建物よりも高くなります

もちろん設計時にきちんと計算を行い、正しく施工すれば問題が起きる可能性は大きく減らすことができます。しかし、この正しい設計と正しい施工は簡単なことではありません

特に防水対策は大変です。は防水紙の貼る順番を間違えただけでも雨漏りを起こすこともあります。簡単な形状であれば間違いにくい施工も、複雑な形状となると作業工程も増えるため、うっかりする率も高くなります。

ちなみに雨漏りが起きやすい建物の形というものがあります。それは「4-02-01.雨漏りしやすいタイプの戸建住宅について知っておきましょう」のページをご参照ください。

素晴らしいデザインの設計を行う著名な建築家の建物では、この人の設計はかなり高い確率で雨漏りが起きる、と言われている方もいらっしゃいます。特殊なデザインと高い防水性、さらには安全性を両立することは、皆さんが考えている以上に難しいことなのです。

ちなみに当社では雨漏りチェックを充実させたインスペクションも行っています。詳しくは「6-03.戸建住宅のインスペクションの費用と内容について」のページをご参照ください。

デザインにこだわる場合は設計段階からチェックしないと安心できません

こういった事情からデザインにこだわりたい方には、中古住宅や建売ではなく、土地を購入し設計段階から関わることができる、注文住宅の方が良いのでは、と私はアドバイスしています。経済性は下回るかもしれませんが、デザインにこだわるのであれば、それだけの手間をかけるべきだと思っているからです。

工事途中の検査回数や項目を増やすことで、ある程度はトラブルを抑えることが可能です。逆に経済性重視の方には、中古住宅をお勧めするか、注文住宅であればなるべく凝っていない形状の建物をお勧めしています。建物自体はシンプルでも、家具やインテリアなどで皆さんの好みに合わせてもらうことも十分可能です。

どちらが良いかという判断は、家を購入される方の価値観によります。敢えて一般論を言えば、建物形状はシンプルな形の方が良いと考えています。

シンプルな形状であってもデザイン性は追及できますし、イニシャルコストも安く建てることが可能です。またその分の費用を家具や仕上材などに回すこともできますので、形に大きなこだわりがないのであれば、なるべくシンプルな形状の建物がお勧めです。

次のページはこちら 「3-02-06.建物の壁の量によって安全性は大きく異なる」

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