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戸建住宅を買う際には、前面道路についての確認は欠かせません。道路の確認内容を優先度の高い方から並べますと、
1.前面道路は建築基準法上の道路かどうか
2.道路に2m以上接道しているかどうか
3.道路は公道か私道か
という順番で確認しなければなりません。

1.や2.の条件を満たさないと、その土地の資産価値がほとんど無くなるという可能性がありますので、最初の2点の確認は絶対に必要です。この2つについては、道路が公道か私道かは関係なく確認する必要があります。

住宅地の道路

前面道路が私道の場合、いくつか注意しなければなりません。

ただ、3.の私道については、私道だから絶対にダメという話ではありません。一方で私道ならではのトラブルに巻き込まれないためには、最低でも次の2点について、確認すべきだと思っています。

その2点とは、
1.通行権は確保されているか
2.掘削許可は取れているか
の2点です。

この2点について、少しお話ししたいと思います。

人と車の通行権が確立されているかどうかを確認しましょう

必ず確認したいのは通行権が確保されているかどうかです。道路となっていれば、誰でも通行できると簡単に考えてはいけません。道路の所有者が、突如自分の所有する土地部分の通行を禁止するという可能性がゼロではないからです。

一般的に、その道を通らなければ自宅に行くことが出来ない場合は、人の通行は認められるケースがほとんどです。ですが、車の通行や工事車両の通行などは、必ず認められるとは限りません。

道路のイメージ

特に車の通行は、無条件で認められるものではありません。

最終的に裁判沙汰となり、法律では勝つことが出来、車の通行なども可能になるかもしれませんが、その手間と費用は大変なものになります。通行禁止とされる危険が高いと思われるのであれば、道路の権利関係や協定内容については詳しく調べ、慎重に判断すべきです。

私道の場合、道路についての協定書があり、協定書内に通行に関する記述があり、その協定書に道路所有者全員の捺印があり、更にはその権利を引き継ぐ人に協定内容を引き継ぐ旨書かれているケースが最も望ましいものとなります。

協定書があるからと言っても絶対的に大丈夫とは限りません。しかし何も取り決めがないよりは、道路所有者に対する影響力は強くなりますし、本人が協定書にサインしているのであれば、なおの事、強く交渉し易くなります。

協定書が無い場合は、通行に関しては出たところ勝負となります。今まで人や車が通っていて、特に問題が起きていないのであれば、そのまま通行は可能と思われますが、道路所所有者と関係が悪くなった時などに、トラブルに巻き込まれる可能性が出てきます。

道路の掘削許可が取れているかどうかを確認しましょう

道路の掘削許可は、家の新築、建て替えの際に必要となります。家を建てる際には前面道路を掘り起こし、水道やガス工事等を行わなければならないのですが、道路の所有者がこの許可を出さないと、勝手に工事を行う事はできません。結果として家が建たなくなるという可能性が残ります。

道路工事のイメージ

掘削許可が無いと、水道やガスなどの工事ができません。その結果家が建たないという事もあり得ます。

ちなみに、戸建て住宅用の土地を購入する際に前面道路の掘削許可が取れていない土地については、金融機関が住宅ローンを通さないという話もあります。新築の場合は、掘削許可が無いと家を建てられない可能性が高いために、このような方針になっていると思われます。

金融機関によっても方針は異なるでしょうから、住宅ローンが絶対に通らないという話ではありません。しかし金融機関がそれだけ危険性が高いと判断しているという事は、知っておくべきでしょう。そして今回の取引では住宅ローンが使えたとしても、将来売却する際には、もうローンが組めないという可能性もあります。

この場合には、資産価値、つまりは売れる価格が大きく下がる事になります。これだけ大きな話であるという認識を事前に持っておくべきだと思います。

個別の承諾があるよりも、協定書がある方が安心度合いは高いと思われます

道路の通行許可や掘削許可については、道路所有者の承諾が必要となります。ですので、その土地の購入前に、承諾書があるかどうかを確認することになります。

通行及び掘削確認書のサンプル

私道についての取り決めの書類があるかどうかは重要です。

理想的なのは、所有者全員で取り決めた協定書がある事です。協定書があるという事は、事前に所有者で話し合いが行われているという事ですので、道路所有者の全員が、状況を理解し、通行や掘削などの了解をしてくれたという可能性が高いからです。

次に望ましいのは、協定書は無いけれども、所有者の承諾書があるケースです。この承諾書があれば、とりあえずは問題は出ないだろうと思われます。ただ、承諾書は道路の所有者が個別に出しているものですので、所有者同士で話し合いが持たれていないケースもあります。一般的には効果は同じと言われているようですが、協定書の方が望ましいと私は思っています。

私道の許可関連でよくある誤解は、道路の所有権が共有で、所有権の一部を持っていれば、問題なく許可が取れると考えてしまう事です。実際には、道路が共有の場合、所有者全員の許可が無ければ、通行や掘削の許可が取れません

道路が共有の場合、どこかの家が建築工事を行う際には、道路所有者全員の掘削許可や道路の利用許可が必要になります。どの家も長い期間で見れば、必ずいつかは工事を行うのでお互いさまの精神が発揮されると皆さん思われる事でしょう。自分が反対して他の家の工事が出来なければ、いざ自分の家の工事をする際には、その相手方から反対され、結局自分の首を絞める事になり兼ねません。

そう考えますと、道路を共有にして自分もその持分の一部を持っていれば良いと考えがちですが、この考えが意外と当てはまりません。普通の人であれば、そもそも道路の通行や掘削に反対しません。にも関わらず反対するというのは、何らかの問題があって感情的になっているか、その人自身に問題があるケースとなります。そしてそのような方々には、理屈や道義、損得勘定は通用しません。

ショベルカー

よくあるのが、工事車両がうるさいとか汚いといったクレームから、自動車の通行を反対するケースです。

時々お客様からの質問で、不動産会社の人から道路は共有だから大丈夫だと説明を受けたという話を聞くのですが、どのような理屈で大丈夫だと判断されたのか、私は疑問に思います。

このように考えていきますと、私道に接している土地を購入する場合には、承諾書か協定書がある物件を選ぶ方がリスクが小さいことが分かります。後は購入金額と将来のリスクなどを比較して、判断することになります。

私道のメリットデメリットを詳しく説明してくれる仲介会社を選びましょう

他にも私道に接している土地や戸建住宅を買う場合には、注意しなければならない事はあるのですが、最低限この2つを押さえておかないと、後からトラブルに巻き込まれる事があります。

トラブルのイメージ

このような私道のリスクを把握した上で、資産価値を考えましょう。

実際には、土地などを買う場合には仲介会社が間に入りますので、その仲介会社から私道についての詳しい説明を聞き、デメリットを理解した上で、その土地を買うかどうかを判断することになります。

一方でこのような説明をしっかりと行わない不動産会社も、それなりの率で存在します。特に中古の戸建住宅を購入する場合では、問題が表面化するのは建て直しの時、つまりは数十年先という事もあるため、取引時には問題が起きません。そのため、将来の危険性について説明する事無く、とにかく契約をさせてしまおうという不動産会社も時々あったりします。

それ以前の問題として、こういった私道のトラブルについて、全く知らないという不動産会社の営業マンも時々いたりします。実際にトラブルを経験していない営業マンや、勉強をしない営業マンは、今までの経験で問題が起きなかったのでそれで大丈夫だと考える方もいます。

道路のトラブルは日常的に起きるものではありません。しかし将来トラブルが起きると、家の建て替えができない事もありますし、そのせいで資産価値を大きく落とすという事にもなり兼ねません。きちんとした仲介会社であれば、このような内容やリスクについて、詳しく説明してくれると思いますので、不動産を選ぶ際には、ちゃんと説明をしてくれる仲介会社を選ぶ事で、失敗するリスクを減らすことが出来ると思います。

説明のイメージ

私道のリスクをきちんと説明してくれる仲介会社を選びましょう。

このページでは私道のリスクについて説明しましたが、前面道路が私道かどうかを確認する方法などについては「3-01-06.敷地に接している道路が私道でないと言い切れますか?」のページをご確認ください。

また、道路の接道や種類の注意点については「3-01-07.道路の幅や状況によって家が建たないこともあります」のページをご確認ください。

このページの内容を動画でも解説してみました

このページでお話ししました内容を動画でも解説してみました。その動画がこちらです。

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