「04項.道路や敷地の高低差は要注意」では、道路との高低差による影響についてお話ししました。このような物理的な条件とは別に、法律の規制で道路について気を付けなければならないことはあります。それは
1.道路の幅
2.道路との接道距離
3.道路の向き
の3つです。

道路の幅によって、その敷地も影響を受けます

そもそもその敷地に建物を建てるには、その敷地に接している道路はその幅が4m以上なければならないことになっています。しかし実際には道幅が狭く4m未満の道路も数多くあります。

その場合、最初に気を付けなければならないのは、その道路は建築基準法上認められた道路かどうかという点です。敷地に接している道路が建築基準法上認められた道路でない場合には、その敷地に建物を建てることはできません

この内容については、「06項.敷地に接している道路が公道か私道かを確認する」のページで解説しましたので、そちらもご覧ください。

さて、その道路が建築基準法上認められた道路だとしても、道幅が4m未満の場合にはいくつか問題が出てきます。それはセットバックです。

道幅が4m未満の場合、通常は道路の中心から2m下げた部分までしか、敷地として使うことができません。その下げた部分は実質道路として提供することになります。

充分な敷地面積があれば大きな問題は出ないかもしれませんが、面積が狭い場合はさらにその面積が削られて大変です。敷地を購入する際に単価で考えると安いと思っていても、セットバック分を差し引くと、他の物件とあまり変わらないということもあります。

また、建ぺい率や容積率は、削られた後の面積で計算されますので、当初予定していた分の面積の建物が建たない可能性もあります。このような道路に面した敷地を見る場合には、セットバック後の敷地面積のみを考えて、様々な計算を行うようにしましょう。

狭い道イメージ

道が狭いと土地の敷地面積が削られます。

道路との接道距離も短いと建物が建ちません

次に気を付けるのは、道路との接道距離です。つまり道路と何m接しているかということです。こちらも建築基準法上の決まりがあり、敷地が2m以上道路と接していないと建物を建てることができません

よく見る旗竿地とは、この2m分を確保するために切り分けられた敷地ですが、時々何らかの問題があって、旗の部分(敷地の細い部分)の幅が2m未満のケースがあります。

道路との接道距離が2m以上なければならないだけでなく、敷地の奥まで幅がずっと2m以上なければ、建物を建てることが法律上できません。ケースは少ないとはいえ、万一この条件を満たさない土地を購入してしまうと、建物が建てられず、使えない土地が残るだけとなりますので、購入を検討されている方は、実際に自分で接道距離や旗上部分の幅を測った上で、検討されることをお勧めします。

長さのイメージ写真

土地と道路は2m以上の幅で接していないといけません。

旗竿地でも危険を感じる土地もあります

旗竿地の例

このような旗竿地をよく見ますが、きちんと調べておかないと建物が建たないということもあり得ます。

上の図は旗竿地の例です。このような土地はよく売られていると思います。しかし図で見るだけでなく、注意しなければならないポイントがたくさんあります。

例えばこの土地は確かに公道と2m分接道しています。しかし、奥の広い土地までずっと2mの幅があるのかどうかは分かりません。一番狭い部分でも2m以上の幅が必要ですが、この図を見るだけでは、本当に2m以上の幅が確保されているのかどうかは分かりません。

また、路地上の距離によっては、2mの接道では建物が建てられないというケースもあります。例えば長さが20m以上、路地上の土地が続く場合には、3m以上の幅が必要という条例が東京都ではあります。これは自治体によって基準が違いますので、その場所で本当に建物が建てられるのかを確認する必要があります。

また、現在建物が建っているからといって、新たに建物を建てられると保証するものではありません。こういった土地を購入する場合には、きちんと買主の立場に立って調べてくれる不動産会社を間に入れるようにした方が危険が少ないと思います。

接道が2m分本当にあるのか怪しい物件もあります

下の図は、2筆の土地が1つの道路と2mずつ接道している例です。この例に書かれた長さがきちんとあるのであれば問題ありませんが、こちらも確認を取らないとリスキーな物件だと思われます。

2mの接道が危険

道の幅や角度によっては、2筆のどちらかの土地が2mの接道義務を果たさない危険があります。

例えば道路幅は約4mとなっていますが、実際に4mの幅が無い道路はたくさんあります。もしこの道路の幅が4m無かった場合には、2筆の土地のどちらかは道路と接している長さが2m分は無いという事になります。

また、道路に対して垂直に土地が繋がっているのであれば問題ありませんが、少し傾いて接道しているとまた問題となる可能性があります。土地の接道義務は道路と接している部分で1番狭い場所で2m以上と決められています。もし道路が斜めにつながっていて、斜めの部分が2mだとすると、1番狭い部分は2m分の長さが無いこともあります。

また、先程と同様に、境界の位置に少しでも間違いがあると、どちらの土地は2mの接道が取れなくなる可能性があります。こちらも境界についてきちんとした書類があるかどうかを確認しなければなりません。

ここまでの話を動画でも説明しました

ここまでお話ししました内容を動画でも説明しています。その動画はこちらです。

よろしければ、動画の方もご確認ください。

南道路が必ずトクとは限りません

最後には道路の向きです。一般的には南道路の方が金額が高いと言われていますが、必ずしもそうなっていません。それは、地域にもよりますが、北側斜線の問題があるためです。

北側斜線とは、北側の隣地境界線から一定の高さ分上がった地点から斜線を引き、建物はその斜線内に収めなければならないというルールです。これは各自治体によって決まりがあります。つまり南側の住宅に大きな影を落とさないようにと定められたルールです。

斜線制限の概要

出典:千葉市

これは北側の隣地境界線を持つ住宅が対象となりますので、当然南道路の敷地は、これに当てはまるケースが多くなります。

結果として、この場合も建物面積が十分に確保できないため、結果として土地の値段もその分高くならないことがあります。しかし、実際に土地を見て、そこまで考えて金額を決める人が少ないこともあり、平均的に見れば北道路の敷地よりも高く取引されることが多いようです。このあたりは無駄な出費とならないよう十分に注意して購入を検討してください。

北側斜線は建築に詳しい人に聞けば大体の感じは分かります。担当している不動産会社の営業員がそういった内容まで把握しているかどうか確認し、詳しくないようでしたら、自分自身で気を付けなければなりません。南道路だから何でも良い、と短絡的に考えないように気を付けましょう。

方位磁針

南道路が必ず得する訳ではありません。

次のページはこちら 「08項.電柱や擁壁、塀を見て分かること」

ふくろう不動産では皆様からのご質問やご相談を随時受け付けています

このようにちょっと見ただけでは判断しにくいのですが、リスキーな土地はそれなりの率であります。もちろんここで出した事例は問題があると確定している訳ではありません。

ですが、ちょっとした測量ミスがあると、もう建築不可の土地になり兼ねません。こういった内容も買手のために正しく説明してくれる不動産会社に、詳しく説明してもらった上で、購入するかどうかを決めたいものです。

ふくろう不動産は米国式エージェントサービスを採用している仲介会社です(「第1章.米国式エージェントサービスは片手取引の仲介です」参照)。買手のためのエージェントサービスを行っていますので、お客様が購入を検討されている土地についても、危険があるようでしたら内容を確認し、その土地のリスクや購入には最低限必要な条件などをお話しした上で、物件のご紹介を行っています。

ふくろう不動産では皆様からのご質問やご相談を随時受け付けています。ご質問やご相談はもちろん無料です。また、ご相談を受けたからといって、後で当社から営業の連絡がいくこともありません。ご質問やご相談は「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡下さい。

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