このページでは戸建住宅の安全性を確認するために、床下を見て何をチェックすれば良いか解説します。
床下は建物の安全性を考えた場合、1番重要なチェック場所です
戸建住宅の床下から数多くの情報を得ることができます。床下は建物の安全性を考えるときであれば1番重要な場所と言っても言い過ぎではありません。
床下から得られる情報には次のようなものがあります。
1.基礎の形式や破壊されていないかどうかが確認できる
2.土台や大引きの腐朽状況が確認できる
3.蟻道や食害の後などシロアリ被害の有無が確認できる
4.束石や束、大引きなどの施工状況で施工レベルが判断できる
5.床面のゴミの散乱状況で施工者のモラル・レベルが判断できる
6.床下の断熱か基礎断熱かも含めた断熱状況が確認できる
7.床下に水があり、雨漏りか配管の水漏れが確認できる
などなど、得られる情報がたくさんあります。
床下は点検口から覗き込んで確認します。床下収納を外した後が点検口となっているケースもあります。
点検口が無い戸建住宅もあり、その場合は一部床を壊すなどしなければ確認できません。しかし、そもそも点検口が無い家を作るのは問題です。新築であれ中古であれ、床下点検口が無い住宅は原則として選ばない方が良いと思います。
基礎が破壊されずに正しく作られているかを確認します
1.の基礎形状ですが、基礎には独立基礎、布基礎、ベタ基礎などの種類があります。ここ数十年の建物であれば独立基礎はほとんどありませんので、布基礎かベタ基礎になります。
点検口から下を見て、土が出ているようであれば布基礎です。しかし逆にコンクリートが打たれているからといってベタ基礎とは限りません。
布基礎であっても防湿コンクリートを床面に打っていることがあるからです。一般的にはベタ基礎の方が布基礎よりも強度があるのですが、きちんと作られているのであれば布基礎でも問題はありません。
それよりもチェックしなければならないのは、きちんと基礎が作られ、かつ破壊されていないかです。破壊と聞くと穏やかではありませんが、時々基礎の立ち上がり部分が壊されています。
これは最初はきちんと作ったと思われるのですが、配管を通すためとか、人が出入りするために設備屋さんなどが壊してしまうことがあるためです。
最初から配管計画がきちんとされていれば壊されることはないのでしょうが、設計当初は配管などの位置を考えずに基礎を立ち上げて、後から配管を通す場所が無く、壊してしまうというケースがあります。当然その分基礎は弱くなりますし、最初の設計にも問題がある訳ですからあまりお勧めできる住宅ではありません。
また配管が床の耐圧盤に埋められていることもあります。この場合、配管の取り換えができませんので、将来リフォームをする際には基礎を一部壊し、別の配管を取らなければならない可能性があります。これは図面と照らし合わせて考えなければなりませんが、こういった住宅もあまりお勧めできません。
土台や大引きの腐朽は床下の臭いで判断します
2.の土台や大引きの腐朽状況は、点検口から覗き込んだ時の臭いで判断できることがあります。腐朽菌は湿った場所で発生するのですが、土台や大引きが腐朽していると湿った嫌な臭いがします。
その場合は点検口から覗くだけでなく床下全般を調査しなければなりませんが、こういった住宅も原則としてお勧めしません。
土台が腐朽していると補修に多額の費用がかかることはもちろん、その原因が分からないと土台だけ補修してもまた同じ状況になります。そして原因を探すのは簡単ではありません。特別な事情が無い限り、土台に問題がある建物は見送る方が賢明です。
シロアリ被害や蟻道の有無も必ず確認します
3.のシロアリ被害の確認も重要です。
床下では束や隅部分で蟻道と呼ばれる土でできたシロアリの道を発見することがあります。蟻道がある場合は建物にシロアリが侵入していますので、きちんと駆除する必要があります。
通常は駆除の際に蟻道も取り払ってしまいますので、蟻道自体が残っているということは駆除が行われていない可能性が高いことになります。購入検討の戸建住宅がこのような状況なのであれば、駆除が終わるまでは購入を見合わせた方が良いと思います。
床下がきちんと作られていない建物は全体もダメな可能性が高いです
4.の施工レベルの確認も重要です。最近の建物は見た目はきれいに問題無く作れるようになってきました。しかし、普段目につかない床下や屋根裏などを適当に作っている会社はまだまだあります。
一事が万事というように、床下をきちんと作れていない建設会社であれば他の部分もきちんと作っていない可能性が高いと思われます。
きちんと作っているかどうかは専門知識が無くても分かることがたくさんあります。束が浮いていて大引を支えていなかったり、大引と土台がきちんと繋がっていなかったりするような施工では、他の部分の施工も雑に行われている可能性が高いと言えます。
床下にゴミが散乱している建物は論外です
5.のゴミの散乱はそもそも論外です。
施工業者のモラルの低さが表れていますし、おがくずなどが多くあるようですと、そこから腐朽菌が発生することもあります。
床が無断熱の場合は、リフォーム費用も考える必要があります
6.の断熱状況も見ておきたい部分です。
法的には床下に必ず断熱材を入れなければならないとしている訳ではありませんし、古い建物ですとそもそも断熱材が入っていないことは良くあります。
もちろんリフォームなどで後から床断熱を行うことも可能ですが、床断熱のリフォームでは100万円近い費用がかかることも珍しくありません。
中古住宅を選ぶ場合には費用とのバランスを考える必要があります。実際には断熱リフォームを行わずに、床にカーペットを敷くことで対応している例が多い気がします。
床下に水が溜まっている場合には要注意です
7.の床下の水漏れも確認しておきたい部分です。
床下に水が溜まっているということは、雨漏りしているか配管から水漏れしているかのどちらかです。
住宅購入前に床下の水漏れが分かった場合は、修繕後にもう1度確認し、問題が無い状況を確認した後でなければ契約しないように気を付けます。それは水漏れは原因がはっきりと分からないことも多いからです。
水たまりの原因は配管の水漏れで、引き渡しまでに直しておきます、という話になったとしても、水が溜まった原因が本当に配管からの水漏れかどうかは分かりません。また水が溜まっていた期間が長いのであれば、土台などが腐朽して弱くなっている可能性もあります。
考え方としては床下に水が溜まっていた建物であれば原則見送ることにし、購入する場合でも売主が修繕したと言った後に建物のインスペクションを入れることをお勧めします。
このページの内容の一部を動画で説明してみました
このページでお話ししました内容を、動画でも説明してみました。その動画がこちらです。
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床下のチェックはこれらのように様々な建物情報を与えてくれます。中古住宅の購入前のチェックはもちろんですが、新築であっても見ておくことをお勧めします。
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ふくろう不動産ではお客様が購入対象の家の床下チェックが標準で付いています
ふくろう不動産は、お客様が購入を検討されている建物については、当社で床下もチェックするようにしています。また、不動産仲介とは別に行っているインスペクションでも、床下のチェックを標準で入れています(「6-03.戸建住宅のインスペクションの費用と内容について」参照)。
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