前のページでは、マンションの販売価格が相場通りなのかどうかについて考えました。このページではさらに詳しく、どの内容が違うことでいくら価格差がつくのかを考えてみたいと思います。

査定方法を知ることで、価格の妥当性を考えましょう

今回もマンションの査定基準から価格差を考えます。
前回「2-05-02.マンションの相場を調べる」では簡単に築年数と駅からの距離について、どういった評点で価格差がつくかを解説しました。この評点は、中古住宅であれば近い条件の成約事例と比較する際に、その成約事例と購入検討中のマンションの両方に評点を入れ、その差を見て金額を考えるというやり方の基準点になっています。

ざっくりと言えば、この評点の得点差が専有面積の単価のパーセント比だということになります。比較対象物件より評点が2点高ければ、販売単価が2%高いと考えれば良いことになります(実際の査定計算はもう少し細かく計算します)。

マンションの築年数と駅からの距離による評点を知りましょう

経過年数や徒歩分数による評点の違い

マンションの価格査定につかう評点表の参考例です。全ての会社でこのような評価方法を採っている訳ではありませんし、実際にはもっと細かな内容を詰めたうえで計算しています。しかし、金額差の目安には十分になるかと思います。

これは徒歩圏のマンションの場合の評点ですが、バス便の場合はこれにバスの内容による評点差がつきます。

バス便のマンションの評点

バス便のマンションの場合は、バスに乗っている所要時間、バス停からの徒歩分数、通勤時間帯のバスの発着頻度によって、評点が決まります。ただ、バス便の場合はそもそも徒歩15分以上という場合が多く、最初の段階で低い評点が付きます。

バス便のマンションの場合は、評点の項目が3つあります。それは
1.バスの所要時間
2.バス停までの距離
3.バスの運行頻度
の3つです。

この表を見てお分かりのように、バス便ではバスに乗っている所要時間は5分以内、バス停までの距離は3分以内、バスの運行頻度は1時間あたり6便以上でないと、評点が下がる計算になっています。マンションの場合は戸建住宅以上に利便性が求められますので、不便な立地のマンションであれば、評点が下がるようになっています。

私の個人的な見解としては、環境が素晴らしく良いなどの特別な条件が無い限りは、バス便のマンションはリスクが高いと考えており、あまりお勧めしておりません。

マンション全体の価格が下がるときは、街から遠い物件、同じような場所であればバス便の物件から値段が下がり始めることが良くあります。資産価値という観点からバス便のマンションを見ると、下がりやすい要素を持っていますので、お勧めしにくくなる訳です。

もちろん価格が下がりきったと思われる時点で購入するという考えもありますので、全くダメと言う訳ではありません。しかし、その見極めは結構難しいものがあります。バス便の物件を検討されている方は通常以上に金額について深く考えた方が良いと思います。

周辺環境による評点の影響はそれほど大きくありません

その周辺環境についてももちろん評点があります。それは次の表のようになります。

周辺環境によるマンション価格評点の基準

他の基準と違い、周辺環境の基準は少しあいまいなものになります。また最高の環境であってもプラスは5点までしか追加されません。どんなに良い環境であっても、後の評価の際にはこのような点数となることを予め理解しておくべきです。

もちろん環境が良い方が評点が上がりますが、見て分かる通り、どんなに環境が良くても評点は5点しか上がりません

バス便物件の場合は、徒歩15分以上の距離のケースが多いのですが、その場合の評点は-13.0点ですので、徒歩13分の場所との評点差は5点差です。

とても環境が良い場所と、通常の環境で徒歩8分の場合では評点的には同じ評価です。これが徒歩7分のマンションと比較すると、環境が良く、バス停からの距離が近く、バスの便数がたくさんあったとしても、バス便物件の評点が追いつくことはありません。

それだけマンションは利便性に高い評価が与えられている訳です。バス便物件を検討される場合は、こういった評価であることを予め知った上で、その評価に沿った価格であるかどうかを確認したうえで、購入を検討されることをお勧めします。

マンションの階数による評点差も知っておきましょう

こういった立地条件以外で比較する時に気になるのは、マンションの向きと階数による差です。まず階数による評点差を見てみましょう。

階数によるマンション価格評点の基準

マンションの場合、階数による評点差は原則0.5点です。しかし、1階から3階までは個別に点が付きます。

マンションの部屋の向きによっても評点は異なります

この表によると、マンションの1階は3階と比べ、評点が5点低くなります。1階の方が便利であるとか、下に住戸がないので音の問題を気にしなくて良いなどのメリットもありますが、価格評価的にはこのように見なされます。もっとも専用庭がある場合は、プラス2点の評価が付きますので、差は少し縮まります。

3階より上は、階が1つ上がるごとに評点が0.5点上がります。実際には階によって眺望や日当たりなどが異なるため、その分別の評点差が出ますが、他の条件が同じであると仮定した場合はこのような差になります。

また、マンションの向きによる評点の差は次の図の通りとなります。

住戸の向きによるマンション価格評点の基準

マンションはバルコニーがある主要開口部の向きで評点が異なります。南向きを標準としているため、他の向きはその分点数が下がります。

マンションの住戸が、方位に対して水平に近いか45度傾いているか、どちらか近い方を選び、選んだあとはバルコニー側の面を主要な開口部面と見なして、表の評点とします。

マンションの場合は、南向きを標準と考え、そこから角度がずれるにつれ、評点が下がるという考え方です。これも眺望など別の評点が加わることもありますが、原則としてこのような考え方になります。

他にも評点項目がありますが、点差は大きくありません

これまで見てきた項目以外には、
・スーパーやコンビニまでの距離
・公共施設を利用するときの利便性
・日照や通風の良否
・室内の仕様や仕上げ
・内装などの管理状態
・天井の高さ
・収納の確保
・リビングの広さ
・バルコニーの広さ
・外からの振動や騒音
・眺望や景観
・バリアフリー対応
・土地の権利状態
・建物外壁の仕上げ材
・外壁の劣化状況
・エントランスのレベル
・耐震性
・省エネルギー性
・セキュリティ設備
・インターネット対応の有無
・敷地内駐車場の充足率
・駐輪場などの充足率
・コミュニティ施設の有無
・修繕積立金の額
・修繕状況
・必要な書類の保管状況
・保守や清掃のレベル
・マンション管理の形態
などといった項目で細かな評点設定が決まっています。

しかし、他の項目は内装のレベル以外は大きな評点差になりにくいため、とりあえずはここで示した内容を把握していれば十分ではないかと思います。

内装のレベルについては、どのくらいリフォームが必要かによって評点が変わりますが、買い手がどのように考えるかによっても金額が変わってきますので、それはまた別のページで説明したいと思います。

まれに査定内容を理解していない営業マンがいます

これらの査定内容については売買仲介を行う不動産会社であれば、営業マンンのほぼ全員が理解している内容です。会社の査定基準によって細かな数値、評点が違うと思いますのが考え方は大きく変わりません。

ただ新築の販売しか経験が無いような営業マンですと、こういった状況を良く把握していないことがあります。その場合は面倒ですが、自分で中古の価格と比較しながらそのマンションの価格が妥当なのかどうかを考えなければなりません。

もちろんこれは査定から見た価格であり、実際の価格はこれとは少し異なることがあります。ただ価格の決まり方、考え方は基本的に変わりませんので、予めある程度は知っておいた方が良い内容だと思います。

次のページはこちら 「2-05-04.賃料からマンションの価格を考える」

この記事の内容の一部を動画でもお話ししてみました

このページでお話ししました内容の一部を動画でも解説してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

ふくろう不動産では査定内容を細かく説明することで、お客様に価格の妥当性を考えてもらいます

ふくろう不動産でも他の不動産会社同様査定書を作成しています。通常査定書とは、不動産を売却したいというお客様に対して提出するものですが、ふくろう不動産では買いたいと考えているお客様にも、そのマンションの査定書を提出します

お客様は査定書を見ることで、その販売価格が妥当なのか、割高なのかの判断がしやすくなります。またその説明を行う際に、そのマンションの利点、欠点を確認してもらいます。このような形で提案することでお客様がマンション選びに失敗する率を少しでも減らせるようにしています。

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