マンションに限らず、不動産はこの資産性が高い、つまり資産価値が落ちにくい物件を選ぶことは大変重要です。「2-01.将来破綻しないために知っておきたいこと」のページでもお話ししましたが、いざトラブルが起きた時に破綻する可能性が高いのは、不動産を売るに売れないケースです。
リストラや病気などで収入が減ったり想定外の支出があったりで、ローンの支払いが苦しくなったとしても、不動産自体が売却できれば、購入前の状態からやり直すことができます。しかし、売却価格がローンの残債よりも少ない金額であれば、持ち出しをしなければ不動産を売ることができません。
そして、トラブル時にはこの持ち出しができないことが多く、結局不動産を売ることができず、ローンの支払いができなくなったときに、経済的に破綻するという流れになってしまいます。
資産価値が落ちないマンションであれば、いざという時に売却することができます
これが資産価値が落ちない不動産の場合はどうでしょうか。トラブル時には売却すれば済みます。さらに利益が出ればなお助かります。
これはトラブル時に限りません。家族構成が変わったり、仕事や生活スタイルが変わったりした際には、売却する、買い換えるなどの選択が簡単にできます。最近では永住志向でマンションを購入される方も増えているようですが、そういった方であってもある程度は資産性を考えた方が良いと思います。
マンションの資産性は立地が本当に重要です
さてマンションですが、その資産性は原則として立地で決まります。なぜ「原則として」という注釈を入れているかは、後で説明します。
この立地の重要性は戸建以上ではないかと思います。それはマンションを探している人は戸建を探している人に比べ、利便性をより重視していることや、購入候補の対象エリアが戸建希望の人と比べると広い範囲に渡っているからではないかと思います。
人にもよりますが、戸建を探している人は●●町の中で、ですとか○○小学校の学区内で、と限定される方の比率を多く感じますし、逆にマンション希望の方はこの路線のこの駅からこちらの駅までの周辺、といった感じで、検討しているエリアが少し広い感じを受けます。
対象エリアが広いとなると、他のエリアとの競合が激しくなります。そのため人気のないエリアであれば、大幅に値段が下がることもあります。
立地が良いというのは、ほとんどは利便性が良いということです
ではどのようなマンションであれば立地が良いかと言えば、ほぼ利便性で決まります。具体的には最寄駅が人気の駅であるかどうかと、その駅からの距離です。
周辺環境が良い、というのも良い立地と言えますが資産価値という面で見た場合、価格が下がる可能性がそれなりの率であります。マンションの場合は利便性を求める人が多いため、周辺環境の良さよりも利便性の優先順位が高いようです。
人気がある駅かどうかは購入を検討されている方はすでにご存じとは思いますが、意外と駅のイメージとその駅の規模が違うことがあります。価格を見ても、人気ランキング上位の駅とその周辺のマンションの価格がきちんと比例していないこともよくあります。
駅の規模の大きさや乗降客数とその駅の周辺のマンション価格と正しく連動している訳ではありませんが、購入を検討している駅の乗降客数は念のために見ておいた方が良いと思います。
国土交通省では各駅の乗降客数を公開しており、データをダウンロードすることができます。
「国土交通省の駅別乗降客数ダウンロードのページ」(別ウインドウで開きます)
このデータは分類の仕方が独特で少し分かりにくいのですが、個別に駅名で検索して調べてみれば、駅の規模が大体分かります。逆に現在人気がある駅であっても、乗降客数が少ない駅は少しリスキーです。
さらにその駅が今後人が増える要因があまり無いのであれば、将来もその人気が維持できるかどうかは分かりません。ある程度の期間を見れば、やはり人が多い場所・エリアが人気となります。資産性を考える場合には、あまり短期的な人気に左右されない方が良いと思います。
駅からの距離はその駅がどんな駅なのかによっても違います
また駅からの距離ですが、当然近い方が立地が良いと言えます。個別要素が多いので一概には言えませんが、私個人の意見としては、1日当たりの乗降客数が10万人以上の駅であれば、駅から徒歩10分以内、5万人から10万人の駅であれば、徒歩5分以内が、マンションとして良い立地である可能性が高いと思います。
ちなみに千葉県では1日の乗降客数が10万人以上の駅は、11駅しかありません。5万人以上の駅を含めても19駅です。
今後人口が減り、人がますます都心に集中する可能性を考えると、千葉県内で資産価値が保てそうな立地のマンションはそう多くはありません。もちろん先のことは分かりませんが、千葉県内で資産価値が落ちないマンションを探そうと考えた場合は、慎重に立地を検討すべきではないかと思っています。
もちろん良い立地であれば何でも良い訳ではありません。資産性と言っても購入した価格と比べ、販売するときの価格が大きく下がっているようでは意味はありません。購入する時に適正価格かそれ以下の価格で買わないと、結局は後に損をすることになります。
マンションは土地や戸建住宅と比べ、比較しやすい条件がそろっています
幸いマンションの場合は、土地や戸建と比べれば、その金額は計算しやすくなっていると思います。その理由は2つあります。
1つ目の理由は新築であっても中古であっても、ある程度似た条件のマンションを見つけやすいため比較がしやすいため。もう1つは、同じマンションで賃貸に出されている物件もあるため、賃料からの利回りが計算できるためです。
マンションは10年後の物件価格を見たうえで、価格の妥当性を考えます
比較と言っても、新築であれば新築だけ見れば良い訳ではありません。全く同じマンションは無いにしても、現在売られているマンションの近くには大概他のマンションも建っています。
マンションにどのくらいの期間住むことになるかは分かりませんが、ひとまず10年と考え、10年後の状況を想定してその際の価格と比べてみないと、購入時の価格が妥当なのかどうかは分かりません。新築であれば、築10年のマンションの価格を、築10年のマンションであれば築20年のマンションの価格を見てみます。
新築のマンションは、ディベロッパーの考えや新築のプレミアなどが付くため、マンションによって価格差が大きいこともありますが、中古の場合はある程度価格が安定しています。この中古価格と見比べて、新築マンションが高いか安いかを判断するのは有効な判断基準だと思います。
利回りも考えたうえで、高いか安いかの判断をします
もう1点は利回り計算です。戸建住宅の場合は、不動産1つ1つの違いが大きいですし、賃貸されている物件の数が少ないため、いくらの賃料が適正な価格なのかよく分かりません。
しかしマンションでは、分譲マンションであっても賃貸に回されている例も多いため、割と正しく利回りを計算することができます。もっともエリアによって、不動産価格が高い割には賃料が安いエリア、また逆のエリアもあり、何%の利回り計算であれば妥当な金額であるのかはすぐには分かりません。
ただ同じエリアであれば、利回り同士の比較で、ある程度判断が可能です。賃料についてはポータルサイトなどで相場が確認できますが、個人的に便利だと思っているのは、Home’sの「見える!”賃貸経営」というサイトです。
「見える!”賃貸経営」(別ウインドウで開きます)
ただ、こちらのページは物件そのものは投資用物件しか見ることができませんので、このページでエリアの傾向をつかんだ後に、個別で物件ごとの賃料や販売価格を確認するという手間が必要になってきます。
ただ実のところ、居住用のマンションについては、賃貸需要と売買需要の差が大きく違うエリアもありますし、売却しなければならない状況で賃貸にうまく出せるというケースも少ないため、利回り計算については参考程度に見る位で構わないような気がしています。
一方で万一貸すことになった場合にはどうなるかは知っておいた方が良いのは確かですので、一応はチェックしておくべきだと思います。
マンションの修繕費も考えた上で資産価値を判断すべきです
さて、このページの途中で、資産性は原則立地である、とお話ししています。なぜわざわざ原則、と入れているかと言いますと、長い期間を考えた場合、立地だけでは資産性を確保できない可能性があるからです。
それは修繕費の問題です。現在販売されているマンションのほとんどは修繕積立金の金額が少なすぎると思っています。これですと将来多額の修繕金を支払う可能性が高いと思われます。
仮に立地が良く高い価格で売れたとしても、保有期間内の修繕費の出費が多すぎると、利益どころか大きな損失を出す可能性もあります。さらに問題になるのが、積立金不足などの理由で管理組合が修繕費を出せず、結果として建物が朽ちていく場合です。
適切なメンテナンスや修繕が行われないマンションでは、住みたいと思う人はあまりいないでしょう。これでは立地が良くても購入者から避けられ、結局価格が落ち、資産性が悪くなります。見た目が悪くなると賃貸でも安くせざるを得ず、利回りも悪くなります。
もっとも、この部分を逆手に取ってマンションを築10年以内で買い換えていく、という手法を取る方もいるようです。
本来であれば修繕積立金は毎年必要な額を均等に積み立てていくものだと思いますが、現状では新築時は必要以上に安い金額設定になっています。そこで、大規模修繕が始まる築12年位よりも前に売ってしまい、新しいマンションに買い替えるという作成です。上級者向けの手法ではありますが、現状をよく知っている方であれば、このような作戦も有効かもしれません。
マンションの管理が行き届いていると修繕費も安く済みます
この修繕金は管理の状態とも密接な関係にあります。例えば外部の外階段が鉄骨で組まれている場合、管理が適切で定期的に塗り直しが行われいればサビなども発生せず、その後も問題なく使用できます。
しかし、メンテナンスが行き届かず、サビなどで一部朽ち落ちてしまうと、もう交換するしかありません。そして交換には多額の金額がかかります。外廊下やバルコニーの手すりなどにも同じことが言えます。
私は経済性の話をするときに、要素は3つあり、
1.イニシャルコスト
2.ランニングコスト
3.売却時の資産価値
の3つを考えるべき、と主張しています。
そして修繕状況が悪いと、2.のランニングコストが大きくかかることがありますし、修繕がうまくいかないことによって、3.の売却時の資産価値も下がることがあります。
資産価値は原則立地、であることに変わりはありませんが、他の要素を見逃しているとやはり資産価値を損なうことがありますので、注意するようにしてください。
次のページはこちら 「2-05-02.マンションの相場を調べてみましょう」
マンションの資産価値について動画でも説明してみました
マンションの資産価値については、動画でも解説してみました。その動画がこちらです。
よろしければ、動画もご確認ください。
ふくろう不動産は将来の資産価値を考えたうえでお客様に物件の提案を行います
このページでは資産性の確保のために、色々と調べなければならないことをお話ししています。ふくろう不動産は不動産を買いたいと考える人の代理エージェントです。これらの面倒な内容は当社ですべて調べ、お客様に情報提供を行い、最終判断の手助けとなるようなお手伝いをしています。
建物の修繕積立金などの内容ももちろん確認した上で、お客様に提案しています。詳しくは、ふくろう不動産までお問い合わせください。
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