マンションの外壁は大規模修繕工事で多額の費用が発生します

マンションの経済性のページでは、ほとんどのマンションでは修繕積立金が足りないという話をしました(「2-05-05.マンションの経済性を考えるために修繕積立金について深く理解する」参照)。

その修繕積立金は、エレベーターなどの設備の更新(交換)や、防水工事など多額の費用がかかるものに費やされます。そして多額の費用がかかるものの代表例として外壁の補修があります。このページでは外壁について注意しなければならない点を説明します。

外壁イメージ写真

マンションの外壁で注意すべき点がいくつかあります。

外から見て傾いているように見えるマンションは論外です

まずは修繕費用などの問題を考えるまでに、外壁から安全かどうかを見てみましょう。マンションは戸建住宅とは異なり、きちんと地盤調査を行い、構造計算もきちんと行ったうえで建てられています。ですのでマンションの外壁が傾いているということはまずありません。

仮に外壁が傾いていたとしても、その傾きは簡単に判断できません。もし見た目で傾きを感じるようでしたら、そのマンションは相当大きな問題があると思われますので、そういったマンションの購入は見送りましょう。

しかし、2014年には横浜市のマンションで建物が傾斜している、という問題がありました。理由は基礎杭が地盤にまで届いていなかったためです。

日経新聞記事

建物が傾くマンションだなんでめったにない、と思っていたら2014年にマンションが傾くという事件がありました。
出典:日本経済新聞

めったにないことですが、このようにマンションであっても建物が傾くということがあります。ただこの時も建物の傾きで気が付いた訳ではなく、渡り廊下の手すりのずれから傾きが分かったようです。

建物の傾きを見るには、外壁ではなく、建物のつなぎ目の手すりなどをチェックする方が良いかもしれません。

ひび割れなどが見えるマンションは管理状態が良くありません

ひび割れイメージ写真

外壁にひび(クラック)が入っていて放置されているマンションは注意が必要です。(写真はイメージです)

傾きは無いにしても、外壁にヒビが入っていることは時々あります。こういったヒビのことをクラックと呼びます。外から見てこのクラックがはっきり分かるようでしたら、そのヒビの幅は結構大きなものと思われます。

クラックは放置しておくと、将来水が入り込み、躯体の中の鉄筋にサビを発生させる可能性があります。そうなると構造的に弱くなりますので、クラックは早めに修理しなければなりません。

しかし、こういったクラックが修理されずそのまま放置されているマンションであれば、構造的にも不安ですし、将来の修繕費も多額となる可能性がありますので、こういったマンションも見送る方が賢い選択だと思います。

白華現象は構造的には問題ありませんが、管理が悪い可能性があります

白華のイメージイラスト

白華はコンクリートやタイルの表面に白いものが浮き出る現象です。構造的には問題ありません。

先程説明したクラックとは別に白華現象と言うものがあります。これはヒビではなく、外壁の表面に白いものが浮き出る現象のことです。

白華現象自体は構造に問題を起こすものではありません。しかし見栄えが悪くなるため、管理がしっかりしているマンションであれば早めに修繕を行っています。

この白華現象が放置されているマンションであれば、管理もきちんとされていない可能性や、修繕積立金が足りず、補修ができないといった可能性もありますので、このようなマンションも選ぶ際には注意が必要です。

修繕積立金の残高をチェックしたり、過去の修繕記録などを見たうえでそのマンションを購入して良いかどうか、判断しましょう。

築12年あたりから修繕費用が発生します

お金イメージ写真

外壁の修繕費は結構多額の費用がかかります。

マンションの外壁は見映えの問題や防水上の問題、更にはタイルが落下して下にいる人にケガを負わせる危険を避けるためなど、いくつかの理由で10数年に1度外壁の点検と補修を行います。この費用は結構大きなものです。

外壁の点検や塗装のためには足場を組まなければなりませんが、この足場代だけでも結構な費用がかかります。戸建住宅であれば20~30万円で済むような足場代もマンションでは200~300万円といった費用がかかります。

もっとも費用はマンションの規模にもよります。また無足場工法といった足場を組まずに外壁の点検や塗装を行う工法もあるので、一概にいくらかかるとは言い切れません。

また、タワーマンションでこういった足場が組めないため、外壁補修工事などが通常のマンションよりもはるかに高額となる危険性があります。(「2-05-11.タワーマンションは本当に資産価値を維持できますか?」参照)

この足場代に塗装費用が加われば、費用は全体で500~600万円ほどかかります。このマンションが20世帯のマンションで費用が600万円であれば、1世帯当たり30万円の費用がかる計算になります。状況によっては100万円単位の費用がかかることもあります。

(※費用は本当に一例です。実際にはマンションの規模、形、養生の仕方、塗料に何を使うかなど色々な条件で金額は大きく異なります。ただ、1住戸あたり数十万円から100万円単位の費用負担が出る可能性があることだけ、知っておいてください。)

もし購入を考えているマンションの外壁の補修時期が近いのであれば、そして修繕積立金の額が十分でないのであれば、そのマンションの購入後にはその分の費用負担が発生する可能性があることを知った上で、購入を検討されるべきだと思います。

次のページはこちら 「3-03-08.中古マンションでは共用廊下や階段で管理状況を確認します」

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