侵入窃盗はドアよりも窓からの入るケースが約2倍あります

先のページではドアの防犯性についてお話ししました(「3-02-12.カギと防犯の基礎知識を得ておきましょう」参照)。しかし一戸建てではドアよりも窓からの侵入窃盗が2倍も多いという調査報告があります。このページでは窓の防犯性について考えます。

窓から侵入

戸建住宅は玄関よりも窓からの侵入が多いようです。

窓からの侵入とはシンプルなもので、ガラス部分をバールやドライバーなどで割り、手を入れてクレセントを外し、窓を開けて侵入します。あるいは、クレセント錠をかけていない家や夏などで開けっ放しにしている場合は窓を壊すことなくそのまま侵入するというケースもあります。

対策としては、
1.窓にもカギ(クレセント錠)をきちんとかけて窓を閉める
2.窓の外側に雨戸。防犯シャッター、面格子などを取り付ける
3.防犯ガラスとするか、防犯フィルムを貼る
の3つではないかと思います。

まずはクレセントや補助錠など施錠を忘れずに行いましょう

1.はクレセント錠を忘れずにかけて窓を閉めるだけですので、費用はかかりません。これに加えホームセンターなどでも販売されている補助錠などを取り付ければより安心です。

もちろんクレセント錠は窓ガラスを割り、手を入れてクレセントを回すことで簡単に開けることができますが、最初からカギがかけられていない窓がある場合よりは狙われる率が低くなります。

また補助錠もガラスを割れば簡単に開錠できるものですが、その場合はクレセント部分と補助錠部分の2か所についてガラスを割らなければならず時間がかかります。

空き巣などの侵入窃盗はとにかく侵入に時間がかかることを嫌がります。都市防犯研究センターの調査によると、侵入窃盗の約7割は侵入に5分以上かかるとあきらめるとの調査報告があります。

これはドアのカギの場合もそうなのですが、何があっても侵入されない、という作りの家にすることは難しく、大きなコストがかかります。

しかし、侵入に時間がかかるようにするだけであれば、ローコストでの対策が可能ですし、その効果も結構あります。そういった意味では補助錠はかなりコストパフォーマンスの高い防犯器具だと思います。

既製品の冊子で予め補助錠がある製品

新たに補助錠を買わなくても、既製品のサッシでは最初から補助錠的にサッシが開かないような機能が付いているものもあります。これであれば見栄えも悪くありませんし、追加の費用も発生しません。

防犯シャッターや雨戸も防犯対策としての効果が多少あります

2.の雨戸や防犯シャッターも有効です。雨戸があれば、まず雨戸を外しさらにガラスを割るという2度手間になります。これにも時間がかかるため、侵入される率を大きく減らすことができます。

また、夏用にガラリという隙間があって風を通しやすい雨戸も増えています。これであれば夏場はサッシを閉めず、網戸の外側をすぐ雨戸とすることで、風通しと防犯の両方の条件を満たすことができます。

掃出し窓の雨戸

ごく一般的な雨戸です。簡単なカギも付いています。雨戸には防犯効果が無い、と主張される方もいらっしゃいますが、雨戸をあける手間や雨戸を外す際に出る音の問題などを考えると一定の抑止効果はあるのではないかと思います。

 

ガラリ雨戸

ガラリ雨戸をナナメ上から見たものです。風が通るようになっており、夏は網戸とこのガラリ雨戸の組み合わせで風が通ります。ルーバーの角度が変えられるタイプもあるようです。

また面格子も人が入れないため防犯上有効です。こちらも最近では可変ルーバーが入っている面格子も出てきました。これは格子部分の角度を変えて、光や風を通しやすくしたものです。

防犯上効果があるのはもちろん、省エネ上も効果があります。快適性のページでも説明しますが、ガラスをLOW-Eガラスとするよりも外にブラインドやブラインドの代わりになる可変ルーバー付きの面格子を入れている方が年間の省エネ効果が高くなるという調査報告もあります。

木製の目隠し

面格子というよりは目隠しです。これは木製ですが、アルミ性の既製品がたくさん出ています。

防犯ガラスや防犯フィルムも正しく使えば防犯対策として有効です

3.のガラス自体を防犯ガラスに代えたり、防犯フィルムを貼る方法も効果があります。防犯ガラスはガラスとガラスの間にフィルムを入れた合わせガラスのことで、断熱を考えたペアガラスとは異なります

ペアガラスや、ガラスに網が入っているガラスが防犯上強いガラスだと思っている方が多いようですが、それらは防犯ガラスではありません防犯上効果があるのはフィルムや板などがガラスの間に入っている防犯ガラスのみですので、混同しないように注意しましょう。

また後から防犯フィルムを貼るという方法も、「正しい材料」で「正しく施工」すれば効果があります。「正しい材料」とわざわざ言いましたのは、効果が無い防犯フィルムも数多く販売されているからです。

防犯性能の高いフィルムはCPマークというものが付いており、一定の防犯性能試験に合格した製品のみがこのマークを付けることができます。

マークが無い製品でも「防犯フィルム」と書かれていることが多いのですが、どんな性能かが分からないことが多いので、あまりお勧めできません。ただ、CPマークがある防犯フィルムが効果を発揮するのは資格者が施工を行った場合のみ、と言われています。

ですのでフィルムのみ購入してDIYで施工すると本来の性能が発揮できない可能性があります。それでも防犯ガラスに取り換える場合よりはフィルムの方が安くできる場合もあり、このあたりはコストとの兼ね合いで決めることになりそうです。

窓ガラスを割る

防犯ガラスや効果がある防犯フィルムを貼ることで、ガラスを割って侵入することが難しくなります。

防犯ガラスと防犯フィルムとの比較ですが、防犯性が高いのは防犯ガラスの方です。こちらは穴を空けるのは簡単ではありません。

しかし割れにくいということはいざという時に逃げ出しにくいというデメリットもあります。大きな地震が発生した場合、ドアや窓が変形し、その扉が開かなくなるケースがよくあります。

その場合、ガラスを割ることができればガラスを割って脱出できますが、防犯ガラスにしたが故にガラスが割れず、脱出路が確保できず、逃げ遅れるという可能性も否定しきれません。

地震時でも枠が変形しないという対策商品も販売されていますが、どんどん費用が掛かることになり、どこでバランスを取ったらよいかは難しいところです。もっともこれは面格子にも言えることですので、防犯ガラスそのものが悪い訳ではありません。

ただ家の窓すべてを防犯ガラスにするのであれば、1か所以上に耐震枠を持つドアなどを入れておきたいところです。

このページの内容を動画で説明してみました

このページの内容を動画でも解説してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご覧ください。

防犯対策をどこまで行うかは判断が難しいです

防犯対策はどこまでやれば良いのかの判断が大変難しいジャンルです。これは購入者の考え方にもよりますので、どれが1番良い対策だと断言することはできません。

私個人が1番バランスが良いと思うのは、新築であれば人が入ることができそうな窓すべてにガラリ雨戸や可変ルーバー付きの雨戸を入れることです。

雨戸は防犯対策にそれなりに有効ですし、台風や省エネ対策にも役に立ちます。雨戸自体に強い防犯性がある訳ではなく、その気になれば簡単に外せるものも多いのですが、簡単に外せるといってもそれなりに手間はかかりますし、更に雨戸を外すときには大きな音もします。

そのため物理的な防犯効果よりも抑止効果として雨戸は有効だと思っています。雨戸を閉めたうえで、クレセントプラス補助錠がコストパフォーマンスが高い防犯対策ではないかと考えています。

もちろん立地など他の条件によって、セキュリティの力のかけ度合いを考えなければなりません。例えば公園の隣はセキュリティの安全度合いは少し下がります(「4-01-02.公園と図書館が近くにあると重宝します」参照)。

不安な場合は、より詳しい方に現地を確認してもらう方がなお良いと思います。

次のページはこちら 「床下のチェックは特に重要です」

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