マンション購入者のほとんどの方は管理組合について簡単に考えているように感じます。戸建住宅が集まる町内の町内会と同じような組織ととらえられている方も多いようです。

しかし町内会とマンション管理組合はまったく別の意味を持つ組織です。そしてこのマンション管理組合を正しく理解していないと、マンション生活の快適性に大きな差が出ることがあります。

まずは管理組合とは何かを理解し、次に管理組合のトラブルの内容を考え、トラブルを避ける方法について考えます。

管理組合はマンション所有者のお金と資産価値を預かる組織です

お金のイメージ

管理組合は皆さんのお金を預かっているだけでなく、マンションの資産価値や快適性にも影響を与えます。

マンションの管理組合は大変重要な組織なのですが、この重要性があまり理解されていないように感じます。1番多いと思われる誤解は、管理組合が町内会と同じような組織と思われていることです。しかしこの2つの組織は、その成り立ちや意味合いが大きく異なります。

町内会は住人の交流や親睦を考えて活動している組織ですが、管理組合はマンションの共用部分の維持管理を目的として作られた組織です。そのため、管理組合への参加は強制であって、自由に退会することはできません。また管理費や修繕積立金の支払いも強制であり、支払い拒否はできません。

この管理組合の活動内容や方針によって、マンションの資産価値が大きく変わることもありますし、生活利便性も含めた快適性も大きく異なることがあります

マンション管理組合の細々とした活動については理事会がチェックすることが多いのですが、この理事になるのも面倒ということで避けたいと考えている人が多いでしょう。しかしこの管理組合の活動が正しく行われないことによって、損をしたり不快な環境を受けざるを得ないことが多々出てきます。

管理に関するさまざまな決定を行う組織です

まず管理組合は、マンションの維持管理について、色々な決定を行う機関だということを知る必要があります。その決定の中には、マンション生活に大きく影響するもがあります。

管理会社を決めることができます

管理会社イメージ

どの管理会社に委託するかによって、管理費と管理内容が変わり、それが快適性にも影響します。

1番大きな決定要素は管理会社の選定ではないかと思います。ただこの管理会社に支払われる費用が割高なのか適正なのかは簡単には判断できません。管理費用は管理の内容によって金額が大きく異なるからです。支払い費用が安くても管理内容がそれ以下であれば、結局管理費は割高ということになります。

マンション管理組合の9割近くは管理業務を管理会社に依頼しています。そしてマンションの管理組合の7割近くは、分譲時に分譲会社が決めた管理会社を使っています。そのため、相見積を取り、内容を適正に判断して決めるというプロセスを踏んでいないため、管理組合によっては割高な管理契約を行っているケースもあります。

徴収する管理費と支払う管理費を決めることができます

マンション管理費アンケートデータ

国土交通省の平成25年度マンション総合調査結果より作成

上のグラフは1住戸あたりの管理費の額を示したものです。平均で見ると10,001円から15,000円が多く、次に15,001円から20,000円が多くなっています。20階建て以上のマンションでは、30,000円までや40,000円までの管理費としているマンションも結構あるようです。

管理費については普段はあまり考えず、大規模修繕が近づいてきたときに、修繕金の追加費用の多さに驚き、そこからバランスを取るように管理費用を見直し始めるという例もあります。

適正な管理内容で適正な費用を支払うためには、複数の管理会社に同条件で相見積を取ったり、マンション管理士やコンサルなどの専門家の意見を取り入れた上で、管理組合が決定しなければなりません。

この決定によって、管理費の使われ方が大きく違う、つまりはマンションの維持管理状況と管理費の金額が大きく変わります。

それだけ重要な決定をこの管理組合が行う訳ですが、大半の管理組合では重要だという意識が無いため、管理会社の変更も考えた詳しい検討がされることなく、従前の管理会社をそのまま利用しています。

その結果、管理組合によっては、内容が今一つであるにも関わらず、高い管理費を支払い続けているマンションもあります。

修繕積立金の金額を決めることができます

管理会社の決定と同様に、管理費や修繕積立金の額を決めるのも管理組合です。管理費については管理会社の選定によって、この額がほとんど決まります。しかし、より重要なのが修繕積立金の額です。

他のページでも説明しましたが、大半のマンションでは修繕積立金が足りません(「2-05-05.マンションの経済性を考えるために修繕積立金について理解しましょう」参照)。

ですが大規模修繕工事を行う前でないと、実際に積立金が足りないということにあまり気が付きません。その結果、大規模修繕前に多額の修繕金を支払うことになります。

これも管理組合が正しく機能し、早い段階から積立金の設定金額を考えたり、管理内容を変更して修繕積立金が多く残るようにしたりなどの対処ができていれば、後での多額の出費を抑えることができます。

修繕内容や修繕工事金額を決めることができます

また、どの部分を修繕するかの決定も管理組合が行います。これは単に修繕費が少なければ良いというものではありません。必要な修繕を怠っってしまえば、後からさらに余分な費用が発生することになります。

例えば鉄製の手すりや非常階段は塗装をまめに行わないと錆が発生し、朽ち落ちることがあります。塗装がはげてきた段階で塗装することで塗装費用が発生しますが、後から階段の取り換え工事などを行わなくて済めば、最終的には修繕費を安く済ませることができます。

修繕積立金については「2-05-05.マンションの経済性を考えるために修繕積立金について理解しましょう」のページも参照してください。

また、マンション購入者の方の中には、マンションは管理が楽だから良い、という考えの方もいます。この考え自体は間違いとは言い切れませんが、組合の活動内容を考えると単純に楽であるとは言い切れないと思います。そのあたりの内容は「管理が楽だからマンションが良いという意見は正しいのでしょうか」の記事でも述べています。

マンションの快適性を管理組合のトラブルから考えます

さて、管理組合がこのような機能を持っているということを理解したうえで、では快適なマンションを選ぶためには、管理組合の何を見ればよいかを考えましょう。これは快適な部分を見るよりも、逆にトラブルを見る方が分かりやすいと思います。

マンションのトラブルにはある程度パターンがあります。このトラブルを予め防ぐことで、快適なマンション生活を送ることができる可能性を高くできると思います。

上のグラフは平成25年度マンション総合調査のアンケート結果を集計してグラフにしたものです。トラブルの中で1番多いのは居住者のマナーとなっています。ただマナー違反と言われても内容が分かりませんので、もう少し詳しく調べられたデータを見てみましょう。

マナートラブルの内訳

国土交通省の平成25年度マンション総合調査結果より作成

マナー違反によるトラブルはこのようなものがあります。

最初の2つは、違法駐車と違法駐輪、つまり自動車と自転車の停め方の問題によるトラブルです。3つ目は生活音で、単体ではこの音のトラブルが1番件数が多いようです。

4番目のペット飼育も問題となりやすい項目です。規約でペット飼育について決められていたとしても、規約の解釈に違いがあったり、そもそも規約を守らない人もそれなりにいるようです。

5つ目と6つ目は、共用部分の使い方によるトラブルです。共用部分には使い方に決まりがあるのですが、これを守らない人が一定の割合でいます。

管理組合のトラブルは、このようにある程度トラブルのパターンが決まっています。逆から見れば、これらのトラブルを防ぐことができれば、マンション生活での快適性は大きく上がります。

違法駐車と違法駐輪については、中古マンションであれば購入時点での利用状況を見ることである程度判断が付きます。駐車場問題については「4-03-06.マンション敷地内の駐車場の利用規約などをチェックしましょう」のページを、
駐輪場については「4-03-07.マンション内の自転車置き場とゴミ置き場の状況から管理レベルを推測しましょう」で、より詳しくお話しします。

生活音について問題になりやすいのは、上の階の音です。こちらは竣工図書を見てスラブ厚を確認したり、管理規約や使用細則を見て、床材の規制について調べる必要があります。竣工図書については「3-03-04.マンションの竣工図書で防音性や管理状況を確認しましょう」のページをご参照ください。

ペット飼育については「4-03-02.ペットに対する管理規約や使用細則を確認しておきましょう」で詳しくお話しします。

共用部分の私物放置やバルコニーの使用方法などについては「4-03-04.マンションのベランダを見ることで管理状況を確認しましょう」で詳しくお話しします。

このページではあまり具体的は話ができませんでしたが、管理組合の存在と活動は重要だという事を理解して頂ければと思います。

次のページはこちら 「4-03-02.ペットに対する管理規約や使用細則を確認しておきましょう」

ふくろう不動産では皆さまからのご質問やご相談を随時受け付けています

ふくろう不動産は、ご質問やご相談などを随時受け付けています。ご質問・ご相談はもちろん無料です。また、ご質問などをされたからといって、後で当社から営業の連絡があることもありません。ご質問などは「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡ください。

ふくろう不動産がどのような会社なのかについては「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。

不動産購入のご相談はふくろう不動産まで

CTAの画像
まずはメールにてご相談ください。