マンションであれば、月々管理費や修繕積立金などを支払っていますのでメンテナンスに費用がかかることは意識できていると思いますが、戸建住宅は日常的にはメンテナンスで費用がかかることはあまりありません。しかしトラブルなどが起きた際や、設備の更新などで大きなお金がかかります。

メンテナンスで最初にお金がかかるのは、住宅設備です

メンテナンスで最初にお金がかかるのは設備ではないかと思います。ガス給湯器やガスレンジなどは10年以上使っていると故障するようになります。

電気製品も同様で、電気給湯器、IHヒーター、エアコンなども10年を超えると故障することが増えてきます。これは修理費との兼ね合いになりますが、ある程度古い設備でしたら新しいものと交換してしまう方が良いケースも多いと思われます。特にエアコンなどは技術の進歩が大きく、新しいものは機能が大きく上がっています。

エアコンの消費電力の推移

エアコンの省エネ性は年々上がっています。この15年ほどで3割以上効率が上がっているようです。出典:東京電力

少しデータは古いのですがここ10年で1割以上効率が上がっています。15年で見ますと3割以上の効率アップです。

住宅設備の修理は修理を行う方がその家に来なければならないため、出張費がかかることがあります。出張費をかけ、修理を行いその時は治ったとしても、少し時間が経って別の部品が壊れたりするとまたさらにお金がかかります。

住宅設備はある程度消耗品を割り切って、買い換えていくと考えた方が良いかもしれません。

単に交換で済む戸建住宅の設備は、金額があまり大きくありません

住宅設備の単なる交換であれば、費用はそれほど大きくありません。エアコンやガス給湯器などは最近ネットでも購入できるようになりました。工事費込としている会社も多く、ネット上で見積もりも取れますので、金額の比較は分かりやすくなっています。

私の家でも先日エアコンが壊れたため、エアコン本体をネットで購入し、工事もネットで見つけた業者にお願いしましたが、特にトラブルもなく、総費用も安く収めることができました。

エアコンの隠ぺい配管の交換は多額の費用がかかります

注意しなければならないのは、単なる機器の交換だけでなく、少し大きな工事が伴う場合です。

エアコンの取り換えであれば、冷媒管(エアコン本体と室外機をつないでいる管)などが隠ぺい配管となっている場合は注意が必要です。

隠ぺい配管はデザイナーズ住宅などでよく見かけますが、冷媒管やドレン管などが外から見えないよう壁の中を通している配管のことです。見た目がすっきりしていて好まれる方も多いと思いますが、メンテナンス費用という観点から見るとデメリットが大きくなります。

それは隠ぺい配管は冷媒管の取り換えが難しいためです。配管が外に出ている場合は交換も簡単ですが、隠ぺい配管は壁を取り壊さないと交換できないケースが結構あります。

隠ぺい配管で冷媒管とドレン管が分かれている例

冷媒管は上から室外機に繋がっていますが、ドレン管は、別で基礎のすぐ上から硬い塩ビパイプで外に出されています。ドレン管も通常は曲げられる柔らかい材料で繋げられていますので、壁の中でこの硬い塩ビ管と繋げられている訳です。逆に言えば、壁を壊さないと、このドレン管は取り換えや修理などができません。

冷媒管やドレン管は簡単にダメになるものではありません。ですので10年くらいであれば問題はないと思われますが、20年30年後は分かりません。

配管自体に問題が無ければ、隠ぺい配管をそのままにして、エアコン本体と室外機のみ取り換えることも可能ですが、工事業者によっては隠ぺい配管の場合、エアコンの取り付けができないと言われることがあります(私も1度その現場を目撃しました)。

また配管自体は問題なくても余分な費用がかかることがあります。それは配管の洗浄費用です。ここ10数年間の間にエアコンで使用する冷媒ガスの種類が2度ほど変更になっています。配管の中に前の種類のガスが残っているようであれば、配管を洗浄しなければなりません。またこの洗浄費は結構なお金がかかったりします(前のガスが問題なく抜ければ洗浄費用はかかりません)。

露出配管であればこのような問題はおきません。配管自体を交換してしまうからです。このように状況によってはエアコン1つでも大きな工事となってしまうことがあります

床暖房設備も交換が難しい設計であれば、将来多額の工事費用がかかるケースがあります

他の設備でも交換が簡単なものであれば費用はそれほど大きくありません。ですが交換が難しいものはそれなりに費用が発生します。エアコンの隠ぺい配管以外ですと床暖房も大きな工事が発生する場合があります

電気カーペット

電気カーペットのように外に出ていれば交換は簡単ですが、床暖房のような大掛かりな設備ですと交換費用がかかることがあります。

温水式床暖房の場合は、熱源機の故障であれば熱源機を交換すれば済みますが、温水管に問題がある場合は、一度床をはがし、付け替えなければなりません。

温水管である架橋ポリエチレン管は簡単にダメになるものではありませんが、万一水漏れなどがあった場合には床工事とセットで取り換えしなければならないケースもあります(簡単にできる施工の場合もあるようです)。

電気式床暖房も商品によっては交換が大変な工事となるケースもあります。原則として、隠れている設備の交換は大変です。メンテナンスを考えた場合は、外付けの設備の方がコストは安くなるケースが多くなります。これから設備を選ぶ方は見栄えとの兼ね合いでどのような設備を選んだら良いか、考えなければなりません。

洗浄機能一体型トイレは、故障すると全て交換となるケースがあります

ウォッシュレット付きトイレ

後から交換が簡単なウォッシュレット・シャワートイレであれば助かりますが、一体型のトイレですと、トイレ本体を交換しなければならないこともあります。

見栄えとの兼ね合いということで考えると、トイレの選択もメンテナンスコストに差がつくことがあります。トイレ本体はあまり故障するものではありません。問題があった場合でも部品さえ交換すれば50年以上は大丈夫とも言われています。

費用がかかりやすいのはウォッシュレットなどの洗浄機能と一体になっているトイレです。トイレ自体は機械的なものですので、部品の交換も簡単ですが、電気設備はそうもいきません。

かつ電気設備は寿命が10数年というものが多いため、洗浄機能が一体となっているデザイン性の高いトイレなどは、電気設備が壊れた場合、すべて交換となることがあります。

洗浄機能が後付けの形のものは、その部分のみ交換すれば良いのですが、一体型は取り外しができません。結果としてメンテナンス=交換費用が高くなることがあります。

一体型トイレはデザインがとても優れているのですが、メンテナンスという点から見れば、このようなデメリットがあります。これも見た目の良さとメンテナンス費用との兼ね合いで決めなければなりません。

この一体型トイレについては「中古住宅のリフォームではタンクレストイレはお勧めしていません」のページでも意見を述べています。

知っているかいないかで将来の費用が大きく変わる可能性があります

このような話を知っていて選ぶのであれば問題ありません。メンテナンスで費用がかかったとしても、デザインを優先するという判断もあります。

ただ知らずに見た目の良いものを選び、後からお金がかかることを知り悔やむということにはならないよう注意していただきたいと思います。

屋根や外壁の正しい修繕タイミングを知っておきましょう

設備以外のメンテナンスでは、外壁や屋根の補修があります。人によっては10年に1回のペースで外壁や屋根の塗り直しや葺き替えなどが必要と主張されていますが、本当にそうなのかは少し疑問です。

外壁のイメージ

基本的に外壁そのものが防水機能を受け持つ訳ではありません。1次防水という考えもありますが、最終的な防水ラインではありません。

基本的に雨漏りなどについては、外壁材や屋根材が防水を受け持つわけでなく、下にある防水シートが受け持っています。その防水シートは耐久性が20年以上はあると言われているため、そう頻繁に外壁や屋根の工事が必要とは思えません。

経年変化後の雨漏りはシーリング(コーキング)切れによるものはあっても、外壁材・屋根材の劣化によるものとは考えにくいと思います。このあたりは色々な意見がありますので、どれが絶対に正しいとは言えませんが、必要以上に塗り替えや葺き替えなどの工事は必要ないのでは、と私は考えています。

今まで見聞きした個人的な経験で言えば、雨漏りする建物は新築当初から雨漏りしますし、雨漏りがない建物はずっと大丈夫といった印象を受けます。経年変化で雨漏りするような建物はシーリング切れによる雨漏りが多いように感じますが、そもそも防水をシーリングに任せる基本設計自体が問題なのではないかと思います。

建物を正しく設計するのであれば防水シートの貼り方(窓廻りの立ち上げ部分など)や雨仕舞のやり方で水が室内に入らないようにすべきで、シーリングは保険程度の扱いにすべきでです。デザイン性の高い住宅で防水をシーリングに頼るような設計がありますが、このような住宅は最初から選ばない方が安全ではないかと思っています。

また雨漏りについては「4-02-01.雨漏りしやすいタイプの戸建住宅について知っておきましょう」でも意見を述べています。よろしければこちらのページもご覧ください。

シロアリ対策は薬剤散布よりも点検費用をランニングコストとして見ておきましょう

他のメンテナンスと言えばシロアリ対策でしょうか。シロアリ対策のランニングコストと言うと、保証期間が切れるたびに、定期的に薬剤散布をしなければならないと考えている人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。逆に薬剤を散布したとしてもシロアリが発生することもあります。

シロアリイメージ

シロアリ用の薬剤定期散布は必須ではありません。

定期的な点検は必要だと思いますし、点検の結果シロアリが見つかれば、駆除の費用などが発生しますが、薬剤散布を機械的にメンテナンス費用に組み入れるのはどうかと思います。

薬剤よりは、人の目による点検、それもシロアリと腐朽菌についての点検をメンテナンス費用として組み込んでいくのが良いのではないかと思います。点検と言っても実際に目で見るものですので、人に頼まなくでも自分で調べるという方法もあります。

シロアリに関する記事として「3-02-09.水がある場所にシロアリがわく訳でありません」という記事も書いています。こちらも併せてご確認ください。

次のページはこちら 「05項.リフォームが必要となる可能性が高い建物はあるか」

この記事の内容の一部を動画でも解説してみました

このページでお話ししました内容を動画でも説明しています。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

ふくろう不動産では雨漏りの可能性やランニングコストなどのアドバイスも行います

ふくろう不動産は千葉市花見川区にある売買仲介専門の不動産会社です。この04項ではメンテナンスコストについてお話ししましたが、建物のつくりによってメンテナンスコストがかかりやすい建物とそうでない建物があります。

ふくろう不動産ではお客様が選ぶ個別の戸建住宅に対し、このタイプは費用がかかりやすい、これはかかりにくいなど個別にアドバイスも可能です(ただし、それなりに誤差はあります)。この項で記載した内容はメンテナンスコストについての一部です。実際にはより多くの要因により、メンテナンスコストは変わってきます。後から余分な費用をかけたくないという方は、アドバイスができる、ふくろう不動産にご相談ください。

また、ふくろう不動産では皆様からのご質問やご相談を随時受け付けています。ご質問やご相談はもちろん無料です。ご相談されたからといって、後で当社からしつこい営業を行うこともありません。ご質問などは「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡ください。

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