このページの最後に、色別標高図などの見かたを解説した動画のリンクも貼っています。よろしければ、そちらもご覧ください。
土地選びの基準に安全かどうかという観点を必ず入れてください
皆さんは住む場所を探すとき、どのような基準でエリアを選びますか。
今住んでいる場所が気に入っているので、今の駅近辺で選ぶ、という人はあまり悩まないかもしれません。また、お子さんがいらっしゃる家庭で、お子さんの学区を変えたくないので同じ学区内で探す、という方もエリア選びで悩むということはないと思います。
このページではそういった方々以外、ある程度広い範囲で住む場所を探したい、と考えている人に読んで欲しいページです。
ただ、このページは「安全な住まい」という切り口で考えていますので、経済・資産価値的にどうか、ですとか、環境はどうか、とお考えの方は下記ページをご参照ください。
「03節.経済的かという観点から見た土地選び」
「4-01.快適という観点から見た土地選び」
さて、土地が安全かどうか、と聞かれてもイメージはしにくいですね。しかし「危険な土地」というのは実は結構あります。このページでは個別の土地についてではなく、ある程度広いエリアで、地震に強い土地かどうか、水害に強い土地かどうかをざっくりと考えるための方法を提案します。
ネット上で土地の基本情報が手に入ります
土地を探すときの基本情報は地図から得ます。ただし、今回は安全かどうか、という観点で土地を見ますので、通常の道路地図のようなものではなく、別の地図を見てみましょう。幸い今ではネット上で役に立つ地図を無料で使うことができます。
私がよく使う地図は、「地理空間情報ライブラリー」から探しています。地形図や航空写真など、さまざまな地図がこのサイトで見つけることができます。このサイトで様々な情報を手に入れることができますので、まずはこちらのサイトを見てみましょう。
地理空間情報ライブラリーのサイト(別ウインドウで開きます)
出典:地理空間情報ライブラリー
このライブラリーの中で重宝するのは「地理院地図」(電子国土Web)です。
この地図で、そのエリアの地盤は強いのか、水害に対して強いエリアなのかということを見ていきましょう。あくまでも一般的にですが、低い土地の方が水害の影響を受けやすく、また地盤が軟らかい可能性が高くなります。
低い位置にある土地の方が水害を受けやすいというのはお分かりのことと思いますが、この低さ、は絶対的な標高だけではなく、周りとの比較も見てください。土地の標高自体は高くとも、周辺がもっと高ければ、ゲリラ豪雨などで集中的にその一帯に雨が降れば、降っている範囲内の低い位置に水が溜まります。ですので、相対的に低い土地も水害の可能性が高くなる、ということだけ覚えておいて下さい。
地理院地図を実際に使ってみましょう
さて、その高さの調べ方ですが、前述しました地理院地図を見てみましょう。
地理院地図へのサイト(別ウインドウで開きます)
この地図で購入を検討している土地を探してみてください。そこで、候補地の場所で下の帯部分を表示させると、その土地の標高が分かります。
誤差はあると思いますし、最終的には実際にその土地を見て、高さについては判断しなければなりませんが、ある程度はこの地図で高さが分かります。広い範囲で土地を探している方は、その周辺の土地の標高を確認し、その街が周辺と比べ標高が高いのか低いのかを確認してみてください。
もっと広い範囲で見る場合には、標高情報を色分けした色別標高図も役に立ちます。同じ地図の左上にある情報ボタンを押し、「地図・空中写真」の欄から「色別標高図」のボタンを押し表示状態にしてください。縮尺が小さ過ぎると表示されませんが、一定以上の範囲を示すと、色で土地の高さが分かる地図になります。
周辺と比べて色が薄い場所は標高が低い場所です。標高が部分的に低くなっている場所は水害にも弱い可能性が高いので、あまりお勧めしたくはありません。
航空写真で昔の土地の利用状況も確認できます
上の2つの地図と同じ場所を航空写真でも確認できます。
もっとも最近ではGoogleMAPなどで航空写真も見ることができますので、新しさを感じないかもしれません。しかし、この地理院地図の航空写真で使えるとことは、現在だけではなく過去の航空写真も確認できるところです。
この写真も場所は他の写真や地図と同じです。しかし撮影したのは今から30年以上前です。今では建物が隙間なく建てられていますが、その当時は森や空き地が多かったことが分かります。
森や空き地であれば特に問題は無いかもしれませんが、これが沼や水田などであれば、昔は地盤が弱かったということになります。もちろん地盤改良などで今とは地盤の強さが違うかもしれませんが、できれば調べておきたいところです。
明治前期の低湿地の情報も役に立ちます
また同じ地図の情報欄から明治前期の低湿地のデータを重ね合わせることができます。
これも同じ場所を示した地図ですが、明治前期の低湿地の情報を地図上に重ねることができます。この地図上で黄色い部分は当時(明治前期)に水田だった場所、紫色は湿地だった場所です。
もちろん以前田んぼだったからといって、その土地が絶対にダメという話ではありません。地盤が弱い可能性が高いので、地盤調査の資料が残っていないかですとか、建物を建てる場合に強固な基礎を考えなければならないな、と対応策を考えればよいケースもあります。
これは別の場所を示した地図ですが、海沿いであれば、水田や湿地の割合は高くなります。また以前は海だった場所も数多くあります。
さらに注意が必要なのは茶色い点線の部分です。これは以前堤防があった場所です。堤防があった場所とは、つまり昔は水害の危険があった場所ということです。
今も同様に危険があるかどうかは分かりませんが、水害の可能性が高いエリアだと思われますので、土地を選ぶ際にはその中でも高台の場所を選ぶなど、より注意が必要となります。
面倒な作業かもしれませんが楽しみながらチェックしてみましょう
こう見ていくと面倒なことが多くありますが、土地の選び方によっては一生を左右されます。考えられるリスクはとにかく調べて考えて、選んでいくという姿勢が大切だと私は考えます。
ある程度広いエリアで土地を探している人は、まずは危険性の高いエリアは避ける、という方法がお勧めです。長く住むということを考えれば、最初から危険性の低いエリアから探す方が後々余計なトラブルに巻き込まれる可能性が減ります。まずは大きな地図で、どのエリアが安全性が高いのかを確認してみてください。
まずはおおざっぱに危険が高そうなエリアを避けて考えましょう
さて、この地図でおおざっぱに土地の安全性について考えました。おおざっぱ、と言いましても結構重要な部分です。
1つ1つの土地の地盤は地盤調査で調べることができますが、液状化するかどうかといった広い範囲にわたる土地の状況は個別の地盤調査でははっきりと分かりません。なにしろ私たちができる地盤改良はその土地に対してだけです。
液状化のように広い範囲で影響がでる災害は、その土地自体の地盤改良を行っても、周辺の土地の上下動により、結局は水道や下水が壊れ、生活に影響を及ぼすことがあるからです。
現時点で住むエリアがはっきりと決まっていないのであれば、まずは危険の高いエリアは避けるべきだと思います。
02項以降のページではもう少し詳しく土地を見かたを見ていきたいと思います。
次のページはこちら 「02項.インターネット調べられる地盤の強さ」
ふくろう不動産でも地図データから土地の安全性についてお客様に説明しています
広い範囲のエリア選びでは、安全性の高いエリアについて、具体的にご提案しています。上記で説明した地図以外にも色々な資料から土地の安全性についてお客様に説明しています。
以前は当社でもこのページで説明したサイトを使い、物件ごとに説明してきましたが、最近では「土地情報レポートで説明することが多くなりました。土地情報レポートについては、「住宅用の土地の事前調査のレベルが上がりました」のページをご確認ください。
千葉市、八千代市、習志野市、船橋市については特に詳しく説明することができます。このエリアで土地をお探しの方は、ぜひ当社をご利用ください。それ以外の場所であっても、首都圏であればご相談に応じますので、ご連絡下さい。ふくろう不動産がどのような会社なのかは「ふくろう不動産とは」のページをご覧ください。
また、ふくろう不動産では皆様からのご質問やご相談を随時受け付けています。ご質問などを頂いたからといって、その後に当社からしつこい営業を行うことはありません。ご質問やご相談は「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡をお願いします。
このページの内容を動画でも解説してみました
また、先日このページの内容を動画にupしました。よろしければこちらもご覧ください。