マンションは管理を買えと言われますが、管理費の高さと比例している訳ではありません
このページではマンションの管理費について考えていきます。
マンションは管理を買え、とはよく言われる言葉ですが、この良い管理と管理費は必ずしも正しく連動している訳ではありません。
一定以上のサービスには当然費用がかかりますので、管理費は安ければ安いほど良い、というものではありません。一方管理内容の割に管理費が高いマンションも多々ありますので、そういったマンションを選ばないように気を付けたいと思います。
国土交通省のマンション総合調査結果を見てみましょう
まずは公的な資料から見ていきましょう。
国土交通省では5年に1度マンション管理の調査を行っています。最新(2014年10月時点)の調査報告は2014年4月に発表されています。
「平成25年度マンション総合調査結果について(国土交通省)」(別ウインドウが開きます)
マンションの永住志向は年々高くなっているようです
見るべきポイントはいくつかありますが、その前に永住意識の調査を見てみます。永住志向はほぼ一貫して上がり続けており、最新の調査ではついに永住意識の人の割合が半分を超えました。
世帯主の年齢が60歳以上である方の割合が40%から50%に増えているということも、永住志向の方の率が増えた原因かもしれません。
ずっと住み続けるか、途中で売却するかはもちろん所有者の意思ですが、永住意識が強い人の割合が増えることで、行き届いた管理や正しい修繕積立金の設定などがきちんと行われる可能性が高くなると思われますので、傾向としては良いのではないかと思います。
永住でも途中売却でもマンションの管理状態が悪くて良いことはありません
永住するにしても、将来売却するにしても、その時点での管理状態が悪かったり、大規模修繕が必要となっているにも関わらず、修繕金が足りずに問題となっていたりすれば、困った状況になることは間違いありません。購入前に可能な限り、管理費と管理状況、修繕積立金の額などを確認しておくことをお勧めします。
マンション管理費の金額は大きく変わりません
さて管理費についてですが、この調査によると1住戸あたりの管理費は平均15,257円です。前回調査から金額はほとんど変わっていません。もっともこの金額は平均であって、個別要素が大きいため、これよりも高いから割高ですとか安いから割安など一概には言えません。
例えばマンションの規模による管理費の違いもあり、戸数が少ない小規模のマンションですと割高になる傾向があります。では大規模マンションですと管理費が安いのかと言えば、大規模マンションでは様々な付属サービスを付けている場合が多いため、こちらも高い金額設定となっていることが多いようです。
マンション管理費の額は見ません
ではどうやって管理費の妥当性を考えれば良いかと言いますと、「管理費の額は見ない」そして「管理サービスの内容だけ見る」という事で良いのではないかと私は考えます。
なぜ管理費の額は見ないのかは、この額の妥当性を判断するのは簡単ではないからです。例えば清掃1つ考えても、この部分は定期清掃に該当する部分なのか特別清掃に当たる部分なのか、確認するだけでも大変です。また点検のレベルを判断することも簡単ではありません。管理費の見直しを行いたいと思えば、マンション管理士などの専門家を入れなければ一般の方は判断できません。
マンション管理費の金額を変更することは難しいことです
更に言えば、管理費を変えることも簡単ではありません。新築マンションであればそのマンションの管理を行う管理会社は既に決められています。通常は分譲したディベロッパーの系列にある管理会社が管理を行います。管理会社を購入時に代えるのはほぼ無理ですし、最初に決められている管理費を変えるのもほぼ不可能です。
また一定期間が過ぎた後に、管理会社の変更や管理費の削減もそう簡単ではありません。繰り返しになりますが、金額の妥当性を判断するのは簡単ではありません。
管理会社の変更や管理費の値下げ要求は管理組合が行いますが、この管理組合の意見をまとめるのも簡単ではありません。変更には反対者が必ず出てきますし、あなたが正しい意見を述べたとしても、変人扱いされることすらあります。
ましてや中古マンションを購入しようと考えた場合、管理費が高いから管理費を下げてくれたら購入する、といった交渉はそもそもできません。色々な面から考えても、管理費の変更は簡単ではないのです。
マンションの管理費は見ずに管理内容だけ確認します
ですので提案としては、管理費の額についてはそのままで構わないと考え、管理内容がきちんとしているかどうかを考えた方が現実的だと思います。
そもそも管理費は最初の設定の際に周辺のマンションの管理費の事例を考えつつ決定されます。ですので特別な設備が入っているマンションを除けば、平均から突出して管理費が高い、ということはあまりありません。
ただし、管理内容の割には高い、ということはよくあります。ですので管理内容を見た方が現実的です。
中古マンションの購入検討段階であれば、管理内容を見て買うかどうかの判断することもできます。管理内容が乏しければ、そのマンションの購入を見送れば良いだけですので費用について悩まなくても済みます。
中古マンションは管理の現状を見ることで管理内容を判断することができます
ではその管理内容はどのように見れば良いでしょうか。中古マンションであれば、管理の現状を見ることができますので、ある程度判断できます。
経済性という点に限って言えば、日常の清掃と点検、また補修などがきちんとされているかどうかです。まず清掃がきちんと行われていないマンションは、点検なども正しく行われていない可能性が高くあります。
例えば塗装がはがれていたり、タイルが欠けていたりするとその分劣化が早くなります。共用廊下や外階段などで鉄が使われている部分は、塗装がはげているとさびやすくなります。そのまま放置しているようであれば、当然将来朽ち落ちてしまいます。
タイルなども注意して見ていないと割れていたり、一部はがれていたりします。こちらもすぐに建物が劣化する訳ではありませんが、水が入りやすくなり、他のタイル部分もはがれやすくなります。こういった細かな問題の補修を積み重ねていくことがマンション管理では重要です。
マンションの管理はソフト面も見ておきます
他にも管理のソフト面も確認できます。例えばゴミ置き場の清掃はきちんとされているか、集合郵便受けに入っているDM類が溜まっていないか、自転車置き場は整然と使われているかなどがチェックした方が良い項目です。
これは管理人さん個人の能力に左右される部分もありますし、マンション居住者のモラルに影響される部分もありますが、どの項目もできていないようですと、マンション管理全体のレベルが低い可能性があります。
私たちはマンション管理の項目1つ1つについてチェックはできませんが、このようにざっくりとポイントを見ていくだけでも、ある程度は管理レベルの判断が可能です。そして管理レベルの低いマンションは購入を見送ることで、マンション選びで失敗する率を減らすことができます。
新築マンションは管理状況や管理組合のレベルを見ることができません
新築マンションの場合は、実際の管理を見ることができませんので、管理については賭けの要素が強くなります。同じディベロッパーの他のマンションを見ることで、ある程度は管理状況を確認することはできますが、管理人さんや管理組合の意識の差によって異なることが多いので、参考程度にしかなりません。
先程から管理のレベル差についてお話ししてきましたが、管理組合の意識によってもこの管理レベルは大きく異なります。管理組合に意識の高い方が居れば、管理内容や状況によっては管理会社の変更などもその人が率先して行うことがあるからです。
また、管理組合のルールをどの程度徹底させるかも、その管理組合の意識差によります。一棟まるまるファミリータイプの実需マンションではあまりありませんが、マンションの中で一部投資用のワンルームなどが入っていると、所有者でない居住者が管理組合のルールを守らず、だんだんと管理のレベルが落ちていくということもあります。
これは実際に人が住んでみないとどのような管理組合、居住者の集まりになるかははっきりと分かりません。中古マンションの場合は実際に確認できますが、新築マンションの管理内容は人が住みはじめないと分かりません。
新築マンションは新築ならではのメリットもたくさんありますが、管理という点ではデメリットが多いことは理解しておきましょう。
次のページはこちら 「2-05-07.経済性から見たマンションの敷地内駐車場問題とは」
ふくろう不動産では管理費や管理内容のチェックを事前に行っています
ふくろう不動産ではお客様が中古マンションを購入される際には、管理費や修繕積立金のチェックを行い、お客様に問題が無いかどうかの報告を行っています。また管理内容に問題が無いかどうかの現地確認も行っています。
当社は仲介会社ですので、新築マンションの場合には残念ですがこのようなお手伝いができません。その代わりと言う訳ではありませんが、新築マンションを選ばれたお客様には、有料ですがインスペクションサービスなどを行っています(「6-01.健康配慮型のインスペクションを行っています」参照)。
このインスペクションは新築マンションの場合は有料ですが、中古マンションの場合には仲介手数料の中に含まれていますので、追加費用は発生しません。また、ふくろう不動産では皆様からのご質問やご相談を随時受け付けています。ご質問やご相談はもちろん無料です。ご相談などを受けたからといって、後で当社からしつこい営業を行うこともありません。ご相談などは「お問い合わせフォーム」などをご利用の上、ご連絡ください。
また、当社:ふくろう不動産がどのような会社であるのかについては「ふくろう不動産とは」のページをご覧ください。