マンションの登記簿は少し独特な作りになっています
一戸建ての登記簿であれば、土地の登記簿と建物の登記簿を別々に請求して内容を確認します。しかしマンションの場合は少し違います。マンションが建てられている土地、つまり敷地は複数のマンション所有者の共有となっています。
共有と言いますのは、敷地のある一定の部分を所有している訳ではなく、敷地全体について、何分のいくつという敷地の持ち分を所有しています。
そして、敷地の持ち分はマンションの専有部分とセットで処分・取引をしなければならないと決められています。そのため、土地の権利証には「敷地権である旨の登記」のみが行われ、その後の権利の変動の記録は行われません。
代わりに建物登記簿にも「敷地権」が記載され、その敷地権の権利の種類や持ち分の割合などが記載されます。
ただし、この内容が法律で決められたのは昭和58年(1983年)です。ですので、登記の期日が昭和59年1月1日以前のマンションについては、マンションの専有部分と敷地利用権が別々に売買されている例もありますので、注意が必要です。
※分かりにくいのですが、マンションが建っている敷地に対する権利を「敷地利用権」と言い、この「敷地利用権」のうち、登記が行われたものが「敷地権」だとお考えください。
マンションは建物一棟の表題部と専有部分の表題部の両方を確認します
戸建住宅の建物の謄本であれば、表題部は原則1つしかありませんが、マンションは建物全体の表題部と専有部分のみの表題部があります。
建物一棟の表題部については、チェックするべきことは多くありません。「敷地権」が設定されているかどうか、マンションの構造が何であるかを見る程度だと思います。
マンションはほとんどが鉄筋コンクリート製ですが、鉄骨で作られているマンションも時々あります。鉄骨で作られているマンションでは防音性が低いマンションをたまに見かけますので、その場合は現地チェックをより注意して行いましょう。
また登記の年月日も確認します。特に構造が旧耐震基準か新耐震基準か、どちらで作られているか微妙な時期の建物は注意が必要です。
新耐震基準は昭和56年6月1日以降の施行ですが、これは確認申請の時期で分かれる期日です。工事期間が長いマンションであれば、昭和57年末頃の登記年月日であっても、旧耐震基準で作られた建物である可能性が残っています。
この時期前後に登記されたマンションは、確認申請を受けた時期も併せて確認するようにしましょう。
専有部分の表題部については、床面積と権利の種類を確認します。権利の種類は所有権か借地権かという内容です。
この権利の違いによって、物件の値段が変わることはもちろん、購入後に土地の使用料などが発生しますので、ランニングコストも変わってきます。重要事項説明などでも説明されますので、間違えることはまずは無いと思いますが、念のために見ておきましょう。
また床面積のチェックも重要です。通常マンションの販売パンフレットなどに書かれている面積は壁芯で計算された面積です。ですが登記簿では内法で計算された面積です。
そのため、登記簿上の面積の方がほとんどの場合少なくなっています。実際に生活で使えるのはもちろん内法の面積ですので、こちらの方が正しい面積だと考えておきましょう。
登記簿の甲区や乙区の見かたは戸建住宅の場合と変わりません
登記簿の権利部、甲区や乙区についてのチェックポイントは戸建住宅の建物の場合と違いはありません。
「3-02-01.建物の登記簿を見て分かること」参照
甲区については、所有者が契約者と同じであるかどうかがチェックポイントとなります。登記の中間省略という形で、登記上の所有者と実際の所有者が異なる場合もあります。
このケースが絶対にダメという訳ではありませんが、確認しなければならないことも増えますし、詐欺の可能性もゼロとは言い切れませんので、原則としては避けた方が賢明です。
権利部の乙区は所有権以外の権利が書かれている部分ですが、ほとんどは抵当権について書かれています。抵当権についてチェックする内容は戸建住宅と変わりません。まず抵当権者が誰であるか、銀行系の会社以外の抵当権者が書かれて残っているようでしたら、その内容を確認するようにしましょう。
また、抵当権の設定金額も確認するようにします。もし皆さんの購入代金よりも高い金額の抵当権が設定されている場合は、引き渡しまでにその抵当権が問題なく外せるのかどうか、必ず確認するようにしてください。
引き渡しの手続き時にも、抵当権を外すための書類などがきちんと揃っているかどうかの確認も忘れずに行うように注意してください。
登記簿の内容で疑問に思うことは何であれ確認するようにしましょう
登記簿には過去の所有者や権利者の名前なども載っています。そして、既に削除されている権利関係には下線が引かれています。
ですので、通常は下線が引かれていない現時点での権利関係を確認すれば問題ありませんが、過去の権利者があまりにも多いようでしたら、その理由を確認するようにしてください。何かの理由で所有者が頻繁に変わっているのであれば、その理由を確認しておいた方が無難です。
例えば近隣に問題がある方がいて、その方のせいで何度も所有者が代わっている場合は、皆さんも購入を改めて検討し直す必要があるかもしれません。
次のページはこちら 「3-03-02.マンションの共用部分と専有部分の違いと注意点を知りましょう」
ふくろう不動産では登記簿の内容も含め法的なチェックを確実に行います
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