竣工図書でマンションの基本性能が分かります

マンションを購入しようとしている方で販売用のパンフレットのみ見て判断される方が多数います。しかし販売用のパンフレットでは本当に必要な情報が入っていないことがよくあります。

あまり内容が詳しくないパンフレットであれば、平面図のみ、ほとんど間取りしか情報が無いパンフレットもあります。その後長い間住むマンションであれば、建物の性能を確認するためにも、竣工図書をチェックするようにしましょう。

チェックする基本性能と言っても、ほとんどは防音・遮音性能のことです。竣工図と言えば、構造のチェックではないかと思われるかもしれませんが、プロであっても竣工図を見るだけで構造の良しあしの判断は簡単にできません

ましては一般の方が竣工図から構造の判断を行うのはほぼ不可能だと思われます。そこでとりあえずは壁や床の厚さなどをチェックし、基本的な遮音性能を確認してみましょう。

マンション室内イメージ写真

マンションは室内を見るだけでは性能が分かりません。遮音性などは竣工図書などから判断しましょう。

竣工図書は管理事務所など現地に保管されています

竣工図書はマンションの管理事務所で確認できます。まれに管理組合の理事長が保管している場合があります。マンション管理適正化法の決まりでは管理組合が保管することになっていますので、原則としてマンション現地にあるはずですが、管理会社が保管しているケースもあります。どちら保管されているにしても、取り寄せて内容を確認しましょう。

音の問題は床の厚みである程度判断します

竣工図書は専門家がみる図面ですので、一般の方が見ても分かりにくい書類・図面です。ですから竣工図書の全てをチェックしようと思わず、ポイントのみ見ておけば良いと思います。

必ず確認したいのは、床スラブの厚さです。要は床のコンクリートの厚さですが、これが薄いと遮音性が低くなります。厳密に言えば伝わる音は柱と柱の距離などの影響も受けるのですが、とりあえずはこの床スラブの厚さを見て判断しましょう。床スラブの厚さは200mm以上が望ましい厚さです。

マンションによっては180mm、昔のマンションでは150mmという厚さのマンションもありますが、薄くなる分遮音性が低くなりますので、音の問題はあらかじめ覚悟しなければなりません。この床スラブの厚さは「矩計図(かなばかりず)」や「床伏図(ゆかふせず)」などの図面に書かれています。

騒音イメージ男性

上下階の騒音はマンショントラブルの定番の1つです。そのマンションがどのくらいの遮音性があるのか、床スラブからある程度判断しましょう。

床はスラブ厚だけでなく、フローリングの性能によって音の問題は異なります

フローリングも音が響きやすいフローリングと響きにくいフローリングがあります。この響きやすさはL値で表され、数値が小さい方が防音性能があります。

この性能は重量床衝撃音(LH)と軽量床衝撃音(LL)とに分けられます。LHは子供が飛び跳ねたりすることで下の部屋に伝わる音で、LLは固いものを床に落とした時に発生する音です。

フローリングのレベルの目安としては、LHで50以下、LLで45以下の性能を持つフローリングが望ましいと思われます(最近のフローリングの防音基準はΔLL値やΔLH値に変わってきました。今までのLH、LLと完全に対応しておらず、説明が長くなりますので、これは別ページで解説します)。

このフローリングの性能は仕様書などに記載されていますので、この書類も忘れずにチェックしましょう。

床の上の木馬

こんな金属が床に擦れた時の音は径衝撃音でしょうか。衝撃音の種類によって、音の伝わり方は違います。

壁の厚さも音の問題に影響を与えます

床スラブの厚さだけでなく、壁の厚さも確認します。これは「平面図」などで確認できます。これは外壁、界壁(隣の住戸との境の壁)ともに厚さ180mm以上は欲しいところです。昔のマンションでは150mmというものあり、厚さが薄い分遮音性は悪くなります。

住宅性能表示制度を取り入れているマンションであれば、音環境の等級が示されています。界壁については等級が1から4までに分けられており、数字が大きな方が高い性能を持っています。

界壁のコンクリートの厚さが180mm以上あれば等級3が取れることが多いようです。しかし残念なことにこの住宅性能表示を導入しているマンションはあまり多くありませんので、評価が付いていない方が多いと思われます。

高層マンションでは上階は鉄骨造となっていることも多いので、コンクリートの厚さで判断することができません。その場合、この性能表示の等級があると、遮音性の目安になります。

例えば等級3であればコンクリートの180mm相当、等級2であれば、コンクリート120mm相当といった具合です。(完全に対応している訳ではないのであくまでも目安です)

騒音イメージ外人女性

壁も床ほどではありませんが、音の問題が起きることがあります。

竣工図書が確認できないマンションも結構あります

こういった内容がチェックできる竣工図書ですが、実はその竣工図書が見つからない、または確認できない、というマンションも結構あります。

この竣工図書が無いと将来の大規模修繕なども何を基準に考えたら良いか分からなくなりますので、重要な書類なのですが、保管状態が悪いのか、施工者に問題があるのか、竣工図書が見つからないというマンションがあります。

この場合はマンションの管理面にも問題があると思われますので、このようなマンションの購入は控えた方が良いかもしれません。

また書類はあっても、売主や売主の仲介を行う不動産会社が用意しない場合もあります。書類が無いのか、面倒なだけなのかは分かりませんが、なぜか手に入れられないということがあります。

この場合も購入を見送ることを考えた方が良いかもしれません。これだけ重要な書類がない、または見せられないというのは何らかの問題があります

竣工図書の中身の見かたが分からなくても、その書類の有無を聞くだけでもそのマンションやマンション管理のレベルが判断できます。必ず竣工図書を確認するようにしましょう。

書類イメージ写真

マンションの引き渡し時にはたくさんの書類、図面があるため、きちんと管理をしていないと紛失してしまうことがあります。

次のページはこちら 「3-03-05.マンションの壁と床の防音性能を確認しましょう」

ふくろう不動産ではマンションの技術的な内容や管理内容もチェックします

ふくろう不動産は買手のためのバイヤーズエージェントとして活動します。お客様が購入予定のマンションについては、管理内容はもちろんこの竣工図書も確認しています。

その内容を確認した上で、お客様に対象マンションがどのようなマンションであるかを説明し、提案しています。当社は対象建物をチェックシートを使い確認していますが、マンションについても、チェックシートで床スラブ厚などを確認しています。
「2-13.マンションは性能と管理内容の両方をチェックします」
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