この「第2節:住宅ローンの基礎知識」では住宅ローンについて色々と考えてきました。しかし、では結局いくらの借り入れが良いのか、いくらの物件なら買えるのかが分からない、という方もいるかもしれません。そこでこのページでは、購入可能な不動産の価格を求める計算式についてお話しします。
計算式の考え方は簡単です
いくらの不動産なら購入可能なのか、ということを計算する計算式自体は簡単です。
物件価格=(「1.自分で用意できる頭金」+「2.支援してもらえる頭金」+「3.返済可能な借金」)/ 1.1 です。
最後に1.1で割り戻しているのは、諸費用分を見ているからです。意外と忘れがちですが、住宅購入時には物件価格の5~10%程度の諸費用がかかります。安全を見て10%程度見ておく方が無難です。そのため物件価格はその分を減らすために1.1で割り戻しています。
このように計算式自体は簡単なのですが、1つ1つ詳しく見ていくと意外と面倒です。ただこの面倒さを怠ると後からやっかいなことに巻き込まれることもありますので、注意して見ていきましょう。
頭金が少ないと、いざという売却時のリスクが高くなります
まず「1.自分で用意できる頭金」ですが、もちろん多いに越したことはありません。頭金が少ないという場合には、いざ売らなければならなくなった時のリスクが大きいという話を「2-02.住宅ローンは審査や破綻について考える前に本質を知りましょう」で行いました。
また頭金が全く無いという方は、家計をコントロールする能力に問題があることもあります。こういった方は、1年位月々の支払いから貯蓄できるかどうか、自分の習慣を確認してから不動産の購入を考えた方が良いのではないかと思います。
支援してもらうお金は住宅取得資金の贈与の特例を見込んで考えます
自分で頭金は持っていないけれども、頭金を用意できる、という方が結構数多くいらっしゃいます。それは親御さんや祖父母からの贈与です。
特に「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例」の措置ができてからは、この制度を使う方が多くいらっしゃいます。平成26年年末(2014年年末)までということで始まったこの制度は、どうやら平成29年の年末まで延長となるようです。この制度を使えば、通常の住宅であれば500万円、条件を満たした住宅であれば1,000万円までの贈与が非課税となります。
平成27年から相続税も高くなりましたので、相続で税金を支払うよりは子供たちのために不動産を買う、という方も増えるかもしれません。もちろんこの贈与分は頭金として計算できます。
返済可能の借金の計算方法は家賃と貯蓄額から計算します
さて、「3.返済可能な借金」についてです。これは年収からの借り入れ可能額で考えてはいけません。あくまでも返せる額から計算すべきです(「2-02-01.住宅ローンはいくら借入ができるかと実際に払えるかを考えましょう」参照)。
先のページでも説明しましたが、私が考える返済可能額は「月々の家賃+月々の貯蓄額の半分」です。この金額が月々支払える金額の上限だと考えましょう。ただ、この金額から返済可能の借金、つまり住宅ローンの額を計算するには2つ注意点があります。
マンション購入の場合は管理費と修繕積立金も計算に入れます
注意点の1つ目はマンションを購入の場合は、管理費や修繕積立金を抜いた額で計算することです。
「月々の家賃+月々の貯蓄額の半分」の額が10万円で、管理費と修繕積立金の合計が2万円であれば、返済可能額は8万円で考えます。
あくまでも月々の支払から考える訳ですので、この分を別に、という訳にはいきません。この話はこちらのページ「2-05-12.同じ支払額でもマンションは戸建住宅より安い金額の物件しか買えません」も参考にしてください。
返済可能な借金は返済期間を何年で考えるかも重要になります
もう1つの注意点は返済期間を何年で考えるかです。当たり前ですが、返済期間が長い方が月々の支払額は減ります。その分借入可能額が上がりますが、返済期間が長ければその分の支払金利が増えます。
金融機関の基準では80歳まで返済可能としているところもありますが、現実的には65歳までの借入期間で考えるべきだと思います。もちろんそれより短ければなお良いと思います。
最初に予算ありきで考えた方が安全です
こうやって、不動産の購入可能金額が計算できました。この予算を決めたうえで、住みたい場所や住まいの広さなどを考えていくのが良いと思います。
人によっては、最初に物件ありきで、この物件がどうしても欲しいから無理なローンを組む、というケースもありますが、個人的にはそのやり方はお勧めしません。無理なローンは、やはり破綻しやすいものです。ローン破綻してしまっては、結局その不動産を手放してしまうことになります。
また場所ありきで考える方法も無理が出やすいやり方です。どうしても住みたい場所が決まっている場合は、住まいの面積を小さくするなり、多少不便になる分を我慢したり、あるいは建物がより古い中古を選ぶといった対処策も考えるようにしましょう。
次のページはこちら 「第3節 経済的かという観点から見た土地選び」
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