不動産取得時にかかる税金は大きく分けると3種類あります。
それは
1.登録免許税
2.不動産取得税
3.消費税
です。
計算を間違えると、後から想定しない費用を払うことになります。また、どのような建物を選ぶかによって、かかる税金も異なります。どのような建物を選ぶと税金が安くなるのかも知った上で、購入の判断の1つにしましょう。
登録免許税は、不動産の登記時にかかる税金です
登録免許税は、土地や中古の建物であれば所有権移転登記、新築の建物であれば所有権保存登記をするときにかかる税金です。
これに加え、住宅ローンを使う場合は金融機関が抵当権を設定しますので、その分も登録免許税がかかります。所有権移転の登録免許税は2017年3月末までは1.5%とされています。この1.5%という利率は、土地の売買金額に対してかかる訳ではなく、固定資産税評価額を基準に計算されます。
建物の登録免許税のうち、所有権移転登記は通常は2.0%ですが、自分で住むための住居で、他にいくつかの条件を満たせば、軽減措置を受けることができます。軽減措置を受けた後の税率は0.3%になります。こちらも売買価格ではなく、固定資産税評価額を基準に計算します。
抵当権設定の登録免許税は0.4%です。こちらは借入金額に対してかかります。これらの内容をまとめて、築10年の中古戸建て住宅を購入した際の登録免許税は下記のようになります。
登記時には登録免許税だけではなく、司法書士への手数料が発生します
実際にはこれらの登録免許税に加え、登記を行う司法書士への手数料が発生します。
2002年までは司法書士への報酬は、不動産の評価額に対していくらと決まっていましたが、今では司法書士の事務所ごとに自由に報酬額を設定することができるようになりましたので、事務所ごとに登記のための報酬、手数料は異なります。
ですので一律いくらとは言えませんが、中古の戸建住宅であれば、司法書士への報酬額(登録免許税を除いた分)は10~15万円くらいではないかと思います。
司法書士は買主が指定できないケースもあります
司法書士の選定では、仲介業者や金融機関が指定し、他の司法書士を使うことを認めない場合もあります。その場合は、事前に見積り書を取り寄せ、報酬金額を確認しておきましょう。
新築のマンション分譲などでは、登記を行う司法書士が複数いると手続きが面倒になることもありますので、不動産業者が司法書士を指定したい気持ちも分かります。ただ中古マンションや戸建ての登記に、売主が司法書士を指定するのはどうかと個人的には思います。
また、金融機関も推薦してもらうのは構いませんが、指定するのはいかがなものかと思います。しかしそれなりの確率で金融機関は司法書士を指定します。これは金融機関のサイトに記載されていることも多いので、一応事前に見ておきましょう。
ローンの事前審査の際に司法書士の指定があるかどうかも確認し、指定がある場合は概算でも構いませんので見積り書を取り寄せておいた方が無難です。報酬額があまりにも高額の場合は早い段階で金融機関の変更も考えておきましょう。
不動産取得税は土地と建物の各々にかかります
登録免許税の次に、不動産取得税についても計算しておきます。不動産取得税は、不動産を購入した際に1度だけかかる税金です。土地と建物各々にかかります。これは購入時ではなく、購入して数か月後に通知が届きます。相続で取得した場合は、不動産取得税はかかりません。
土地の不動産取得税は居住用であれば、軽減措置があります
不動産取得税は、土地と建物各々にかかりますが、居住用であればどちらも軽減措置が使えるケースが多くあります。
まず土地の不動産取得税ですが、2017年3月31日までは3%となっています。これも登録免許税と同じように、売買価格ではなく固定資産税評価額を基準に計算されます。
さらに2017年3月31日までに住宅用の宅地を取得した場合、計算の根拠とする数値は固定資産税評価額の2分の1で計算して良いとなっていますので、不動産取得税はより少なくなります。
これに加え、軽減条件を満たした中古住宅であれば、土地1平米あたりの固定資産税評価額に住宅の床面積の2倍をかけた金額の3%となる金額を税額から引いてよい、ということになっています。言葉の説明ですと分かりにくいと思いますので、下記に参考例を記載しました。
このような税法となっているため、一戸建て用の土地の不動産取得税は実際にかからないケースも結構あります。詳しくは不動産会社の営業マンに確認してみてください。
建物の不動産取得税も居住用であれば軽減措置があります
建物に関しても軽減措置がいくつかあります。通常建物の不動産取得税は評価額の4%ですが、住居用の建物ですと3%となります。さらにいくつかの条件を満たした建物であれば、評価額から一定の金額を引き、そから税率をかけて計算します。
このあたりは紛らわしいのですが、土地の軽減措置は税額から引き、建物の軽減措置は評価額の方から引きます。
この引かれる額、つまり控除される額は建物が建てられた日によって異なります。例えば1989年4月1日から1997年3月31日までに建設された建物であれば、控除額は1,000万円、それ以降の建設であれば控除額は1,200万円です。こちらも言葉だけでは分かりにくいと思いますので、下記の一覧表をご覧ください。
今回の計算では不動産取得税はかからないことになりました。ただこれはいくつか条件がそろった場合です。中古住宅は建物の評価額が低ければ不動産取得税がかからないことがありますが、新築であれば評価額が1,200万円以上になることも多いため、ある程度の不動産取得税がかかります。
新築の場合は控除額は1,200万円です。しかし長期優良住宅の認定を受けると、控除額が1,300万円に上がります。
これらの計算はあくまでも一定の想定の元での概算です。正しく税金を把握したい場合は、税理士など専門家に確認するようにしてください。
売主が業者の時には、消費税がかかります
最後の消費税については、売主が不動産会社であるなど企業である場合には、建物部分についてのみ消費税がかかります。土地の売買分については消費税はかかりません。
土地と建物がセットとなっているマンションの消費税額が、本体価格に消費税率を掛けた数値ではないのは、建物分にのみ消費税がかかっているからです。(逆に言えば、消費税額が分かれば、そのマンションの建物相当額が分かります)
また、売主が個人の場合には、土地でも建物でも消費税はかかりません。個人が売主の場合は、消費税を国や自治体に納める必要がないからです。
ですので中古住宅を仲介で個人から購入する場合には消費税はかかりません。ただし仲介手数料などの経費には消費税がかかります。
不動産取得の税金は数値よりも条件を覚えておきます
正直税金の計算は面倒なものですので、あまり考えたくはありません。住まいの購入を考えている皆さんは、細かな数値よりも、
1.大体どのくらいの金額を用意しておけば良いのか
2.どういった条件を満たせば、軽減措置を受けられるのか
の2点だけ把握しておけば、大きく困ることはないと思います。
この2.の軽減措置を受けられる条件ですが、中古住宅に関して言えば、
1.取得者(購入者)自身が住むこと
2.住宅の床面積が50平米から240平米の間であること
3.建物が耐震基準に適合していることが証明されていること
の3つを押さえておいてください。
特に3.の耐震適合の証明は早めに準備しなければなりませんので注意が必要です。より正確に言えば、耐震適合の証明には、次の3つの書類のうちのどれかが必要になります。
・耐震基準適合証明書
・住宅性能評価書
・保険付保証明書(既存住宅売買瑕疵担保責任保険証)
のどれかです。
ただ、これらの証明書を取得するのにも費用がかかります。登録免許税の減税分だけでは、この費用を賄うことは難しいでしょう。しかし一方で、これらの条件は住宅ローン減税の条件と概ね重なります。つまりこれらの条件を満たしますと、当初は受けられなかった住宅ローン減税を受けることが可能になる場合があります。
住宅ローン減税は、ローンの借入額や借りる人の収入などに影響されますので一口にいくらとは言えませんが、人によっては10年間で100万円近い金額の減税を受けられることもあります。この減税分と耐震適合の証明にかかる費用とのバランスを考えて、どのように対応するのが1番得になるかを考えてみてください。
登録免許税の軽減を受けるために必要な書類は厳密には自治体によって異なると思われます。当社がある千葉市では、下記サイトで必要書類を示していますので、よろしければ参考までに見てください。
「登録免許税の軽減を受けるための住宅用家屋証明書(出典:千葉市)」
不動産の税金については、住宅新報社が発行している「これだけは覚えておきたい!不動産の税金 2014年版」が見やすくて良いと思います。取得時だけではなく、不動産に関わる様々な税金の内容について書かれています。よろしければ、読んでみてください。
次のページはこちら 「06項.土地や建物を持ってとかかる税金」
ふくろう不動産ではお客様が税金で損をしないように、説明と提案を行います
このページでお話ししましたように、不動産取得税の軽減措置を受けるためには、建物が耐震基準に適合している旨の証明が必要となります。ふくろう不動産は「既存住宅流通サポートサービス」の会員になっていますので、実費はかかりますが、この適合証明も取得も可能です。
これは不動産取得税が安くなるというメリットはもちろんですが、住宅ローン減税を受けるために、そして安心して建物を使っていただくためにぜひ受けていただきたいサービスだと思っています。詳細はふくろう不動産までご確認ください。
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