不動産は売るにしても買うにしても、売買契約時には重要事項説明書が発行され、その説明も受けます。その重要事項説明書には対象とする不動産についての内容について、様々な記載があります。
もちろん中古マンションの売買時にも重要事項説明が行われますが、その内容は「重要事項に係る調査報告書」というものから記載されるケースが多くなります。
この重要事項に係る調査報告書とは、もともとのマンションの管理会社が作成しているものですが、この書類を事前に見ることができれば、そのマンションがどういったマンションであるかがよく分かります。
このページではこの重要事項に係る調査報告書についてお話します。
重要事項に係る調査報告書は、マンション管理会社が発行しなければならないものです
この重要事項に係る調査報告書というものを知らない方も多いかもしれません。これは利害関係者、つまり中古マンションの購入希望者からマンションに関する重要な事柄について紹介があった場合に、管理会社が発行する資料のことです。
記載内容は管理会社によって異なりますが、一般的な内容については(一社)マンション管理業協会の「管理に係る重要事項調査報告書(記入例)」などを見るとなんとなくイメージがつかめるのではないかと思います。
具体的にはその住戸の管理費や修繕積立金などの金額はもちろん、その住戸で滞納額があった場合にはその金額も記載されます。
契約内容にもよりますが、その住戸が管理組合に対して滞納しているお金があった場合は、新しくその住戸を購入した人の負担となりますので、事前のチェックは必要です。
また管理組合全体として、その時点でいくら位の積立金が貯められているかのチェックにも使えます。「2-05-05.マンションの経済性を考えるために修繕積立金について理解しましょう」のページでもお話ししましたが、多くのマンションでは修繕積立金の額が充分ではありません。
もし購入予定の中古マンションが、相場と比べても積立金の額が大きく下回っているようですと、将来大規模修繕などの際に多額の出費を覚悟しなければなりません。このような将来の出費の予想も、中古マンションの購入では重要な判断要素の1つとなりますので、こういった資料は必ずチェックしておきたいところです。
さらに長期修繕計画の有無や過去の大規模修繕などの内容についても記載されていることが多いため、どういった管理体制のマンションであるかを判断するのに大変役に立つ報告書です。
他にも「4-03-02.ペットに対する管理規約や使用細則を確認しておきましょう」などで説明しましたペットに対する飼育制限の有無なども、この報告書でチェックできます。
また、トラブルになりやすい駐車場の使用権の有無や以前の所有者が使っている駐車場が継承できるかどうかなども、この報告書で分かることがあります。
重要事項に係る調査報告書の事前チェックには障害があります
このように中古マンションの購入を決める判断基準となるような報告書なのですが、すべての中古マンション購入者が事前に報告書のチェックできているかといえば、そうではありません。
これはマンションを売る側の仲介会社が準備して、買手希望の方に写しなどを見せるべきものなのですが、すべての仲介会社がこの調査報告書を取得している訳ではありません。
これにはいくつか理由が考えられますが、1つにはこの報告書が有料だということです。有料といっても、5,000円から1万円位ですので、高いという言い訳は通用しないと思うのですが、費用を惜しんで取得しない不動産会社や、重要事項の際に使うだけなので、契約が決まらないと取得しないといった不動産会社もあります。
さらには、管理会社で口頭で聞けば済む話なので、報告書を取らない、という仲介会社もあります。ただ、仮に書面でもらったとしても間違いがあることすらあるのに、口頭でのやり取りですと、もっと大きな間違いが起きる可能性が高くなります。
売り手側の仲介会社でこのような「重要事項に係る調査報告書」を取得しない会社は、信用するには問題がある会社ではないかと思っています。
報告書が無いと、契約前の判断は情報があやふやのまま、決めなければなりません。買手側の仲介会社も報告書の請求はできるのですが、買うかどうかがはっきり決まっていないマンションの報告書を毎回取り寄せていると、件数が増えた場合に費用負担が大きくなるため、買い手側で報告書を取り寄せる会社はあまりありません。
こういった理由で事前に報告書がチェックできるケースがあまり一般的になっていません。
調査報告書のレベルが低いという事もあります
仮に事前に「重要事項に係る調査報告書」を見ることができたとしても、その報告書のレベルが低いために、まったく参考にならないというケースもあります。
この調査報告書と一緒に管理規約や使用細則、駐車場の契約書などをセットで確認する訳ですが、それらの内容が異なっている報告書もあるようです。
購入希望者は一般的な内容だけではなく、近隣トラブルの有無や事故の履歴などを詳しく知りたいと思っています。しかし、そういった特別な項目については、別途追加料金を取る管理会社もあれば、特別な項目の確認は一切行わない、という管理会社もあります。
ただ逆に考えれば、このような調査報告書で管理会社のレベルを判断することもある程度可能です。報告書の内容があまりにもひどい内容であれば、管理内容にも問題がある可能性もあります。
報告書の内容に問題がある場合にも、建物の管理状況のチェックをより厳しく行い、判断が付かない場合にはそのマンションの購入を見送ることも考えた方が良さそうです。
調査報告書の内容を読み取るのにもテクニックが必要です
きちんとした調査報告書を受け取ったとしても、その内容をきちんと読み取り、判断するにもテクニックが必要です。例えば修繕積立金の額を見て、十分な額なのか不足なのかを判断することも簡単ではありません。
さらに調査報告書の内容に間違いがあることや、意図的に隠されているのでは、という内容もあります。間違いや隠されている内容をすぐに判断することは難しいので、怪しいと感じた部分には、管理会社の担当者に再度確認したり、同じマンションの居住者や管理人から話を聞いたりなどの裏付け調査が必要になってきます。
実際には中古マンション購入希望者が詳しい調査まで行うのは難しいと思いますので、ある程度は仲介会社の担当者に調査を依頼することになるでしょうが、これは営業マンの能力に大きく左右されます。
最低でもこの「重要事項に係る調査報告書」について知っていて、報告書を読んだ内容からこのような状況が予想される、と話せるレベルの営業マンを選んで話を進めてもらうのが良いのではないかと思います。
このページの内容を動画でも説明しています
このページで説明しました内容をは、動画でも簡単に説明しています。その動画がこちらです。
よろしければ、動画の方もご確認ください。
ふくろう不動産では報告書を要求しています
当社:ふくろう不動産では中古マンションの売り手側の不動産会社になった場合には、調査報告書は必ず管理会社から取り寄せています。
また、営業期間が長くなった場合には契約前にも再度報告書を取り寄せることにしています。営業期間内に管理組合の状況が変わることがありますので、極力最新の情報をお届けするようにしています。
また買い手側の仲介という立場の場合には、売り手側の仲介会社に調査報告書の写しをもらえるよう交渉します。ただ、前述しましたようにすべての不動産仲介会社が調査報告書を取り寄せている訳ではありません。
報告書が無い場合には自社で分かる範囲で内容を調べます。また契約の可能性が高くなってきた場合には、買い手側の仲介会社であっても、報告書を取り寄せるようにしています。
当社のモットーは「お客様が知らずに損することがないように」です。購入希望のお客様が得られない情報が無い取引を行えるようにしています。
ふくろう不動産がどのような会社なのかについては「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。
ふくろう不動産は中古マンションの購入や売却を考えている皆さま方のご質問やご相談なども随時受け付けています。ご質問・ご相談の連絡を頂いたからといって、後で当社からしつこい営業連絡を行うこともありません。ご質問やご相談などは「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡をお願いします。