マンションの敷地内駐車場に関するトラブルもマンショントラブルの定番です。マンションの駐車場でどのようなトラブルがあるのか、そのトラブルを防ぐために事前に何をしたら良いのかをお話しします。
まずは規約を読むことで事前にトラブルを減らすことができます
特定の所有者のみが駐車場を使い、自分でその駐車場を使うことができないことがあります
マンションの敷地内に駐車場があっても、その駐車場を使えない、ということがよくあります。また、駐車場が使えたとしても、不便な場所しか選べず、便利な場所にある駐車場はずっと使うことができない、というケースもあります。これにはいくつかの理由が考えられます。
まず駐車場の専用使用権が特定の人のみにある場合があります。例えばマンションンの敷地内駐車場は機械式駐車場がほとんどで、数台分のみ便利な平置き駐車場があったとします。しかしこの平置き駐車場には専用使用権が設定されており、特定の人しか使えないということがよくあります。
これは等価交換方式などで建てられたマンションでよく見受けられます。元々の地主が駐車場の専用使用を条件に、その土地にマンションを建設することを了解することが多いからではないかと思われます。
また、駐車場の専用使用権が権利として売却されていて、その権利を持っている人しか使えないというケースもあります。
これらの専用使用権はどこまで法的に有効なのか、管理組合の総会などで変更できるかなど、将来変更される可能性はあります。しかし、そのマンションを購入しようかどうか考えている段階では、この専用使用権は既にあるものと考え、その駐車場は使えないとい前提で購入するかどうかを決めなければなりません。
これらの専用使用権などについては、駐車場の使用細則などに記載されていることも多いので、購入前には駐車場使用細則の内容を確認し、駐車場が問題なく使えるかどうかを確認しなければなりません。
駐車場のサイズや車の高さの制限もあります
マンションの敷地内に駐車場があり、それが使用可能だとしても、どんな自動車でも利用できるとは限りません。例えば機械式駐車場であれば、停められる自動車のサイズ、重量や幅、高さなどに制限があります。
駐車場によっては、3ナンバー車など幅が広い車や、ミニバンなどの背の高い車は使用不可、としています。平置き式と機械式が混在している駐車場であっても、平置き式が必ず使えるとは限りません。
また、管理組合によっては、不公平感をなくすために、定期的に抽選で、各住戸が停められる駐車場の位置を変更している組合もあります。当初は平置きの駐車場で背の高いミニバンを使えると思っていたら、数年後に機械式駐車場に移動となり、車を買い替えなければならなくなるというケースもあり得ます。
また、平置き式、自走式の駐車場で一見スペースがあって、大きな車でも駐車可能だとしても、管理規約や使用細則で、大型車の利用を禁止しているマンションもあります。
これはパッと駐車場を見ただけでは判断できません。必ず規約や細則を読んで確認するようにしてください。
車両の登録や複数台の利用が可能かどうかも規約を見ないと分かりません
駐車場の空きスペースがあって、車のサイズも問題ない場合でも、その駐車場が利用できないケースもあります。例えばその駐車場を利用する場合に、事前に車両登録した自動車1台しか利用できないケースです。
これは違法駐車などの被害を防ぐために作られたルールだと思います。しかし、仕事で日常的に会社の営業車を使っており、日によっては違う営業車で帰宅するなど、複数の自動車をその駐車場に停めたいと考えている場合、このルールは足かせになります。
また、結構空きがある駐車場で2台目を利用したいと思っても、各住戸について1台かぎりという制限がある組合であれば、簡単に2台目の駐車場を利用することはできません。
駐車場付与率が100%のマンションで、各住戸に1台と決まっているマンションでこのようなケースがあります。他の住戸の使わない駐車スペースを借り受けたいと思った場合の手続きが、結構面倒だったり大変だったりすることがあります。
機械式駐車場ならではのトラブルもあります
地面を掘っているタイプの機械式駐車場は下の段が水没することもあります
機械式駐車場では、地面を掘って、地下1階地上1,2階などとしているタイプの駐車場があります。そして時々ですが、ゲリラ豪雨などの大雨の際に、地下部分に水が溜まり、車が水没して使えなくなることがあります。
もちろんこのタイプの駐車場には水を吸い上げるポンプなどが付けられていますが、想定以上の雨が降った時には、ポンプによる排水が追いつかず、車が水没することになります。
時々と言いましたが、この水没事件はそこそこ良く聞きます。最近ゲリラ豪雨が増えているせいかもしれませんが、地下を使っている駐車場では起こり得る事故だと考えておいて下さい。機械式駐車場に限らず、自走式でも地下を使うタイプの駐車場にはこの危険があります。
機械式駐車場は修理や交換で大きなお金がかかります
機械式駐車場は早ければ15年、遅い場合でも25年ほどで寿命がきます。その後は新しい機械を入れ直さなければなりません。しかし「2-05-07.マンションの敷地内駐車場に問題が潜んでいることがあります」のページでも解説しましたが、駐車場を新設、更新するための修繕積立費が充分でないマンションが数多くあります。
予め駐車料金をすべて修繕積立金として計上しているのであればともかく、きちんとした修繕積立金を用意していない場合には、取り換え維持には多額の費用が発生します。この問題は機械式駐車場を導入しているマンションでは結構な率で問題になっています。
修繕積立金のリストなどを事前に確認し、きちんと積立ができているかどうかをチェックすることで、将来の出費があるかどうかを判断することができます。
駐車場利用者同士のトラブルもあります
管理規約や修繕積立金のチェックなどでは事前に判断することはできませんが、マンション居住者同士のトラブルもそれなりにあります。
代表的なのが、自分の駐車スペースに違う車が停まっている、他の車の停め方が悪いため、自分の車を停めにくい、隣の車にドアなどをぶつけられる、といったあたりです。これは実際にその駐車場を使っている人のモラルやマナーによりますので、事前に判断するのは簡単ではありません。
ただ、中古マンションを購入する際に、自分で使える駐車スペースがはっきりと決まっているのであれば、何度かその駐車スペースの両隣を確認し、その車の停め方で少しは危険度を推測することもできます。
自走式の駐車場であれば、駐車スペースが分かるように白線などが引かれていますが、白線からはみ出して車を停めていることがよくあるようですと、その方は少し問題があるのかもしれません。
不規則に白線からはみ出して停めるタイプの方もいれば、きっちり右側に、あるいは左側に付けて停めるタイプの方もいます。どちらもそれなりに問題になることがあります。
また、本来であれば空いている駐車スペースなのに、他の車が停まっているようであれば、空いていれば停めてしまう、というタイプの方がいる可能性が高くなります。そういった方が複数いる場合には、自分の駐車スペースに停められてしまうということが時々起きることもあります。
駐車場の利用者同士のトラブルは事前に判断することが難しいため、推測するしかありません。ある程度感覚で考えざるをえませんが、このようなトラブルがあることも想定して、駐車場などを見ると、単にボーっと見ているよりも、何かに気が付くこともあります。
また、停まっている車種でマンション全体の傾向に気が付くこともあります。ミニバンが多いようであれば、子どもが小さな家が多いですとか、スポーツカーが多いようでしたら若者が多いですとか、全体の傾向を掴むことができるときもあります。
また、規約や細則を事前に読んだ後に駐車場をチェックして、どのくらいその規約が守られているかも見てみましょう。
5ナンバーの車のみ利用可能、となっていたとしても、3ナンバーの車が結構な率であることもあります。他のページでも書きましたが、ルール違反の人が多いマンションは、その分問題がある人がいる率が高いかもしれません。色々なことを想像しながら、駐車場をチェックしてみて下さい。
次のページはこちら 「4-03-07.マンション内の自転車置き場とゴミ置き場の状況から管理レベルを推測しましょう」
このページでお話ししました内容を動画でも公開しています
この記事でお話ししました内容を動画でも説明してみました。その動画がこちらです。
よろしければ、動画もご確認ください。
ふくろう不動産では、ご質問やご相談を随時受け付けています
マンションの駐車場について、事前にチェックするのは、管理規約や駐車場使用細則を事前に見ておくことと、現地の使われ方をしっかりと見ておく、の結局2つとなります。後は可能であれば管理人さんに聞くという方法もあります。ここまでお話ししましたトラブル例を念頭に置きながら、調べてみてください。
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