この記事の所要時間: 1042

買おうとしている物件が一戸建てであろうとマンションであろうと、不動産を購入する場合には注意しなければならない点がたくさんあります。

当社:ふくろう不動産のサイトでも、不動産購入前の注意点について、記事を400ページ以上書いていますが、それでもまだまだ書き足りない点がたくさんあります。1つ1つの項目については決して難しい話ではありませんが、注意しなければならない事の量がとにかく多いからです。

そこでこのページでは、不動産のうち中古マンションに限って、何から優先的にチェックしていかなければならないかの意識について、簡単にお話をしてみたいと思います。

新耐震の基準を満たすマンションであれば構造は考えても仕方がありません

当社:ふくろう不動産では不動産選びは「安全性」「経済性」「快適性」の3つのバランスを取る事が重要だとお話ししています(「失敗しない不動産購入」参照)。ですが、これがマンションに限って言いますと、安全性はあまり考えるところがありません。そのマンションが安全であるかどうかでチェックできる点があまり多くないからです。

マンションのイメージ

マンションでは構造についてチェックできる事は、ほとんどありません。

構造という面での安全性については、新耐震基準を満たしているかどうか(1981年6月以前に確認申請が出された建物かどうか)をチェックするくらいで、新耐震基準の建物であれば、それ以外で建物の安全性を判断できる点はほとんどありません。

一時期はマンションを支える杭が岩盤に届いていなかったという事で社会問題になりましたが、このような問題は建物を見たり図面を見たりするだけでは分かりません。これは建築家などのプロが同行して建物を見れば分かるだろうと思われるかもしれませんが、戸建住宅と異なりマンションについては、プロが現地を見ても構造の問題について判断できる事はほとんどありません(「横浜のマンションの傾き事件でも分かるように、建ってしまった建物の良し悪しは判断できません」参照)。

竣工図書の図面があったとしても、それをちょっと見るだけで構造の判断を行う事もできません。今のマンションの構造計算は大変複雑なもので、構造専門の建築士が、専用ソフトなどを併用して初めて判断できるものです。構造設計が専門でない普通の建築士が現地や図面を見ても、構造については分からないと考えるべきです。

もちろん構造以外のポイントについては分かる建築士も多いので、建築士による現地や図面確認そのものに意味が無いという話ではありません。ただ、構造のチェックはほとんどできないと考えておくべきです。

プロでもチェックできないマンションの構造を、我々素人が判断できるものではありません。ですのでマンションの安全性については、築年数などをチェックする程度で、むしろ修繕状況や価格についての判断に徹するべきだと私は思っています。

経済性はイニシャルコストとランニングコストの両方を考えます

ではマンションについては何を最初に考えるのが良いかと言えば、経済性です。マンション購入を考える際には、利便性という面からエリアを最初に考える方が多いと思います。この考えが間違っている訳ではありません。しかしマンション購入の際に考える順番としては、お金の話、予算と資産性から考える方が良いのではないかと私は思っています。

予算のイメージ

立地や利便性よりも予算を先に確定すべきだと思います。

と言いますのも、立地や利便性から考えますと、当然ですが良い場所、便利な場所を先に見る事になります。ですが、利便性が良い場所は当然ながら価格は高くなります。このような高い物件を先に見た後に、やっぱり予算的に厳しいと、もっと価格が安い物件を見るケースもあります。しかし、このやり方の場合、大半の方は価格が安い物件を見て満足される事はあまりありません。

前の物件の良かった点が記憶に残っているため、本来購入できる価格帯の物件についての不満ばかりが目に付き易くなるからです。かと言って無理をして本来の返済能力よりも高い物件を買ってしまいますと、後で支払いに本当に苦労することになりますし、最悪の場合にはローン破綻となる可能性も出てきます。

まずは最初に予算を確定させ、基本的には予算の範囲内で物件を探すという事は皆さんが考えている以上に重要だと思います。

この予算ですが、イニシャルコスト、つまり購入時の価格と、ランニングコスト、維持管理などにかかる費用の両方を早い段階で把握しなければなりません。マンションの場合は管理費や修繕積立金がかかります。そしてそれらの金額は一定ではなく、修繕積立金がマンション全体で不足した場合には、追加でお金を出さなければなりませんし、この積立金の月額が上がるという事もよくあります。

当初の購入の予算は皆さんお考えになると思いますが、ランニングコストについては、真剣に考える人はそれほど多くありません。しかし、ランニングコストは予想以上に家計を圧迫することがある事も理解しておくべきです。

予算についての考え方としては
2-02-09.結局いくらの不動産を購入することができますか?」のページや
2-05-12.同じ支払額でもマンションは戸建住宅より安い金額の物件しか買えません」のページ、さらには
2-02-01.住宅ローンはいくら借入ができるかよりも実際に払えるかを考えましょう」のページも参考になります。

更には将来の資産価値についても考えておかなければなりません。一見価格が安くても、10年後のそのマンションの価格はさらに下がり、結果的に他のマンションと比べて損をするというケースもたくさんあります。もちろん10年先の話は予測でしかありませんが、ある程度はマンションの価格の下がり方のパターン等を調べておくべきだと思います。

不動産を買う際には気分が盛り上がっていますので、このような地味な確認作業は嫌がられます。また、不動産会社やローンを組ませる金融機関は、基本的に価格が高い不動産を買ってもらう方が利益がでる仕組みになっています。そのため、自分の意識も周りの環境も高い不動産を買わせるような動きになってきます。このような流れに流される事無く、冷静に予算を確定することを、マンション探しの1番最初に行うべきだと私は思います。

快適性と利便性は図面と現地の両方を見て判断します

予算が固まれば、後は快適性について考える事になります。この快適性は人によって基準が異なります。通勤時間を最優先と考える方もいれば、買い物の利便性、周辺環境の良さ、子どもの学校の学区など、何を優先するかは人によって異なるでしょう。

小学校の学区

学区や環境など、チェックポイントはとにかくたくさあります。

一般的には優先順位を付けましょう、と言われるのですが、この優先順位も機械的に順番付けられるものでもありません。もちろん全ての条件を満たす物件と言うものはありませんので、何かをあきらめなければならなくなるでしょう。私見では優先順位を付けるよりも、欲しいものを一覧表化し、その一覧を眺めながら、どれならあきらめても仕方がないと思えるかを考える方が良いと思っています。

結局は優先順位と同じ話と思われるかもしれませんが、これらのリストに順番を付ける必要は無い点が、通常の優先順位付けと異なる点になります。

他にも快適性を確認するためには、防音性はどうなのか、管理規約はどうなっているのか、住んでいる人のマナーはどのレベルなのかを1つ1つ確認しなければなりません。これらはすべてが確認できるとは限らないのですが、ある程度調べる事は可能です。

防音性については、壁厚やスラブ厚を竣工図書から確認するですとか、管理規約は規約と使用細則をしっかりと読み込むですとか、住人マナーについては、駐車場や自転車置き場、ゴミ置き場やベランダを見る事でも分かる事はあります。1つ1つは細かな事ですが、その細かなチェックをしなかったが故に、後でトラブルに巻き込まれる事もありますので、1つ1つ確認したいところです。

マンションの図面

図面や規約などをチェックすることで、ある程度は快適性について判断することができます。

マンションの防音については
3-03-04.マンションの竣工図書で防音性や管理状況を確認しましょう」のページや
3-03-05.マンションの壁と床の防音性能を確認しましょう」のページ、
4-03-03.マンションならではの騒音問題について理解しましょう」のページも参考になります。

管理規約や使用細則については
4-03-02.ペットに対する管理規約や使用細則を確認しておきましょう」のページや
4-03-06.マンション敷地内の駐車場の利用規約などをチェックしましょう」のページも
参考になります。

住人のマナーについては、
4-03-04.マンションのベランダを見ることで管理状況を確認しましょう」のページや
4-03-07.マンション内の自転車置き場とゴミ置き場の状況から管理レベルを推測しましょう」のページが参考になります。

こういったマンションのチェックを行うのに、チェックリストをあらかじめ作っておくという方法も有効です。チェックリストについては
2-13.マンションは性能と管理内容の両方をチェックします」のページでも説明しています。

信用できる不動産会社の営業マンと話すという方法もあります

実のところ、マンションであっても戸建住宅であっても、チェックしなければならない項目は本当にたくさんあるため、1つのチェックシートや1つの記事で注意点全てを網羅することはできません。この記事も中古マンション購入の際に気を付けたい代表的な項目をお話ししただけで、これではすべてどころか1割もカバーできていないでしょう。

マンション購入の前の勉強方法は基本的に2種類あります。1つは本やサイトや動画などを見て勉強する方法、もう1つは不動産の営業マンから話を聞き、レクチャーを受ける方法です。

順序としては、先に本やサイトで勉強し、その後に営業マンと話をするという方法が良いと思います。一定以上の知識がある方が、営業マンの善し悪しの判断を、より正確に行えるからです。

セールスマンの説明

セールスマンの説明を受けるという方法も、ある程度は有効です。

ただ、残念な事に不動産の営業マンで信用できるタイプの方はそれほど多くありません。不動産の仲介業は成約報酬と言う形になっているため、どうしても相手に売りたいという気持ちが強くなってしまい、お客様の都合などは二の次になってしまう事も多いからです。

このお話をしています当社も不動産仲介業を行っていますので、この売りたいという考えを完全に排除することはできません。自分ではできる限り客観的に業界や物件のお話をしようと心がけているつもりですが、それでも100%完全に客観的な意見を述べるという事は出来ていないでしょう。

ただ、お客様自身に、買いたい人自身にある程度の知識と判断力があれば、不動産営業マンの話に流される事無く、自分に必要な知識のみを得るという事も可能だと思います。

不動産会社の選び方については「中古住宅の選び方は仲介会社の選び方で決まります」の記事も参考になると思います。

ほとんどの方にとって、不動産やマンションの購入は人生で1番大きな買い物になるでしょう。その買い物で失敗しないためには、一定以上の知識が必要です。知識を得るには時間もかかると思いますが、ある程度勉強することで、不動産購入の失敗を減らせると思いますので、皆さんには頑張って勉強して頂きたいと思います。

また、当社も皆さんの勉強に役に立てるような記事を、なるべく多く公開していきたいと思います。

この記事に関するご意見やご質問などは「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡ください。