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NPO法人である日本耐震防災事業団の講習と試験を受け、当社で耐震プランナー(木造住宅耐震診断士)の資格を取得しました。これにより、当社でも耐震診断ができるようになりました。この機会に、耐震診断とはどういった事をするのかを簡単にお話ししたいと思います。

木造住宅の耐震診断は壁量とそのバランスで考えます

簡単に言えば、耐震診断は建物の構造壁の量と、そのバランスを計算し、必要と思われる構造壁がどのくらいあるかを割合で示すもの、と考えれば良いと思います(厳密には違いますが、考え方としてはこれで良いと思います)。

構造用の面材

構造用の面材があれば、何kN/mの耐力がある、といった項目を積み上げて計算します。

本来求められる耐力が100%あれば評点は1.0、80%しか無ければ評点は0.8、というように表現されます。評点が1.0以上あれば、一応は倒壊しないという判定が出ますが、安全面を考えますと、1.5以上の評点が望ましいとされています。つまり最低レベルの基準の150%の耐力が望ましい訳です。

逆に評点が1.0未満で0.7以上の場合は、倒壊する可能性があるという判定に、0.7未満の場合には倒壊する可能性が高い、という判定結果が出ます。

考え方は基本的にはこれだけです。後は屋根の重さなどによって必要な体力は変わりますが、その必要な耐力に対して、何%の耐力が実際にあるかを確認するものだと思ってください。

実際の耐力の計算は、細かな内容の積み上げで計算します。筋違が入っていれば何kN/m(キロニュートンパーメーター:力の単位だと考えてください)、外壁が窯業系サイディングであればこれに何kN/mをプラス、内側に石膏ボード9mmが入っていれば、更に何kN/mプラスというように、壁の材料や取り付け方によって、壁の実際の体力を計算します。

それに接合部の仕様で、Z金物を使っているかとか、釘打ちなどで留めているか等で低減係数を入れ、最終的にどの位の体力のある建物なのかを計算します。1つ1つ計算すれば手計算でも可能でしょうが、量があまりにも多いので、通常はソフトなどを使って計算するようです。

当社でも、もし耐震診断の依頼を受けるようなことがあれば、細かな計算は外注に出します。その方が楽ですし、間違いの危険も減ると思われるからです。

壁量計算で意外だったのは、垂れ壁や腰壁も少ないとはいえ、耐力計算に加える事です。もちろんこれらの壁が何cm以上(垂れ壁であれば35cm以上等)という基準はあるのですが、その基準さえ満たせば、垂れ壁であってもある程度は耐力があるというように計算に加えられます。

掃き出し窓

掃き出し窓がある壁であっても、垂れ壁が一定以上あれば、耐力が少しはあると計算されるようです。

また床の剛性も計算に入れるという事も分かりました。建築基準法では床の剛性についての基準は無かったはずですが、耐震診断では床についてもきちんと考えるようです。

更には中古住宅ならではの視点として、劣化の点数も計算に入れる事になっていました。もちろん正確な劣化度合いは分かりませんから、ざっくりとした判断でしかありませんが、こういった項目もきちんと考えているのは、現実に即している考えだと思わされます。

実際に建物が建ってしまいますと、実際にどういった材料を使っているかは分かりませんので、安全サイドで計算せざるを得ないというのが難点ですが、それでも予想以上にきちんと計算して診断しているという事が分かりました。

実際には当社で耐震診断を行う事はほとんどないと考えています

ふくろう不動産でもこの耐震診断ができる資格を取りましたので、当社でも耐震診断を引き受けることができます。費用は通常の耐震診断の料金と同じく、5万円プラス消費税で耐震診断を行います。

しかし実際には当社で耐震診断を業務として行う事はほとんどないと考えています。当社で耐震診断を行っても、市町村の補助金が出ないからです。

補助金のイメージ

登録会社ではないふくろう不動産が耐震診断を行っても、補助金は出ません。

多くの市町村では耐震診断に補助金が出ます。しかしその補助金は、事前にその市の登録を受けた会社が耐震診断をしなければ、補助金が出ない仕組みになっています。この登録には基準があり、建築士である事や同じ市に事務所があり、その事務所に勤めていること等の条件を満たさないと登録業者になる事はできません。

当社は千葉市にありますが、他の市の物件をご案内することも多いですし、それ以前に当社は不動産会社であり、建築士の資格は持っていませんので、登録資格がそもそもありません。

補助金制度がこのようになっている以上、実際に当社が耐震診断を行う事はないと思っています。では、なぜふくろう不動産が木造住宅耐震診断士の資格を取ったかと言えば、耐震に関する知識と見る目を高めるためです。

中古住宅や新築住宅を見るときに、耐震診断士の目で見ます

耐震プランナー(木造住宅耐震診断士)の資格は、1日講習を受け、その日の夕方に試験を受け、一定上の成績であれば、正式な診断士になる事ができます。

耐震プランナー試験合格通知

耐震プランナー試験に合格しますと、このような通知書とカードが送られてきます。

この講習の内容や試験は決して難しいものではありませんので、講習を受けた方のほとんどは試験に合格し、資格を取得することができるでしょう。

しかし、だからといって、この資格や講習内容に意味が無いという事ではありません。簡単な事とはいえ、耐震について知っているだけで、この建物はこのような点で弱いとか危ないとか多少は考えることが出来るようになります。

知ってしまえば難しい話では無くても、知っているか知らないかという差だけで、判断を間違える事もありますから、構造について基本的な知識を得ておくことはとても有効です。

ふくろう不動産は積極的に耐震診断をしようとは思っていませんが、今回資格取得の際に得た知識を活用し、新築の戸建住宅や中古住宅を見る際には、この知識を使い、安全性がどの位高いのかを判断する材料にしたいと考えています。

当社では、不動産を買いたいというお客様の検討物件は、無料で建物インスペクションを行い、建物の安全性を確認するようにしていますが、この確認の中の構造についてのチェックがより厳しくなったと考えてもらえればと思います。

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