L字型の擁壁がある場合、建物の配置が制限されることもあります

戸建住宅や、戸建て住宅用の土地を購入する場合、その敷地に擁壁がある場合があります。特に首都圏では高低差がある土地に住宅を建てている事も多いため、この擁壁は珍しいものではありません。

ただその割に、戸建て住宅を購入される方は、この擁壁についてあまり関心が無いように感じられます。実際にこの擁壁について何も考えずに、戸建て住宅を購入した場合、その時点では問題がなかったとしても、将来建て替えの際には、建物の配置に大きな問題が出るケースもあります。

今回は擁壁と建物の配置について、よくあるタイプであるL字型の擁壁がある場合の注意点について、お話します。

建物の重量が擁壁を押すため、擁壁から建物を離して建てなければならないケースがあります

擁壁があっても、その内側は敷地内ですから、敷地の境界ぎりぎりまで建物を建てることができると思われる方が多いかもしれません。これはその擁壁がどのようなタイプであるかにもよりますので一律には断言できませんが、よくあるL字型の擁壁の場合は、敷地ぎりぎりに建物を建てることができない例も珍しくありません。

これは擁壁が、建物の重量に押されて倒れたり壊れたりする可能性が考えられるからです。もちろんこの擁壁が、建物の重量まで計算に入れて、構造計算が行われており、建物の重さにも耐えられる設計になっているのであれば問題はありません。ただ昔の擁壁では、そのような計算が行われていない擁壁も多々あるようです。

この場合、建物の配置は擁壁との関係で制限を受けることもあります。考え方としては、建物の基礎の下端から45度の角度に線を引き(荷重の影響線と呼ぶようです)、その線が擁壁下の地面よりも低い位置にあるかどうかを確認しなければなりません。

L字型擁壁上の問題がある基礎

赤線(荷重の影響線)が地上に出ているような設計は本来問題です。

上の図のように、この影響線が地面よりも高い位置にあるようであれば、何らかの対策を立てる必要が出てきます。対策例としては、建物の位置を擁壁から遠ざけるという方法があります。

距離を取った擁壁

このように擁壁から建物を離し、距離を取る事で荷重線を地下にし、擁壁が倒れないようにします。

また、住宅の基礎を深くすることで、建物荷重の影響が出ないようにするという方法もあります。

住宅の基礎を深くして対応した場合

住宅の基礎を深くして、荷重の影響が出ないようにするという方法もあります。ただ、擁壁の高さが高い場合には、あまり現実的ではありません。

これは中古住宅が現在建っている場合に勘違いしやすいのですが、今住宅が擁壁ぎりぎりに建っているからといって、建て替えする建物が同じ位置に建物を建てられるかどうかは分かりません。昔と今では基準が違うため、その中古建物が建てられた時点ではOKであったものが、今の基準では上記基準を満たさないと、同じ位置には建てられないという事もあるからです。

L字型擁壁は、擁壁を造ってから土を入れるため、地盤が強くないケースもあります

基礎の位置が荷重の影響線をクリアしているかどうかは、そもそも地盤が問題なく強い場合の話です。ですが、L字型の擁壁を造った場合、往々にしてその地盤はあまり強くない事があります。これはL字型擁壁を造る際には、当然施工中はその部分には土がなく、擁壁工事完了後に上から土を盛る事になります。昔からある土ではなく、一度掘って埋め戻すという過程があるため、その部分は地盤としてあまり強くならない例も多いように聞きます。

もちろん最終的にはその部分の地盤調査を行ってみないと、正確には分かりませんが、一定の率で弱い地盤が混ざっていると考えるべきだと思います。

地盤補強がある場合は、杭の位置や基礎の設計も影響を受けます

敷地の地盤が弱い場合には、地盤補強を行えば問題ないではないかと思われる方も多いでしょう。ですが、この地盤補強も簡単ではありません。

まずL字型擁壁の底板がある部分には杭を打つことができません。そのため、底板を避けて杭を打つことになり、その結果、杭の上に乗せる建物の位置が制限されます。

杭が打てない範囲

擁壁の底板がある部分は杭を打つことができません。

建物は杭の真上になければならないという事ではなく、多少は建物の位置を擁壁側に寄せることができます。ただそれは、基礎を片持ち設計でも問題にならないような構造計算を行う必要があります。

基礎の片持ち設計

片持ち設計とすることで多少は建物を擁壁側に寄せることはできますが、構造計算をする必要があります。

このあたりを適当に施工してしまいますと、後から問題になる可能性が高くなりますので、構造的に問題がないかどうか、確認しながら進める必要があります。

詳しくは工事関係者に確認しましょう

今回のお話はあくまでも一例で、実際にはもっと細かく内容を確認する必要があるでしょう。ただ土地を購入される方は、このような事もあると知って頂いた上で、その土地を買うかどうか判断をして頂きたいですし、分からない場合には工事担当者に確認してもらった上で判断すべきだと思います。

中古の戸建購入の場合は、現状はそのまま使える場合、特に問題だと感じずにそのまま購入してしまう事もあるかもしれませんが、将来建て替えの際に、建物配置が擁壁から遠ざけられ、その結果十分な建物面積が確保できないという可能性もあります。

敷地に十分な余裕がある土地であれば問題は小さいかもしれませんが、狭小住宅で敷地の制限を受けますと致命的な問題になる事もあります。なんとなく大丈夫であろうと簡単に考えずに、工事関係者の確認を取りつつ、慎重に判断すべき内容だと思います。

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