家賃は月収の3分の1までか30%までか20%までかという説はどれが正しいのでしょう

家賃は収入の何%が妥当なのかという話は本やネットでも様々な意見が出ています。当社:ふくろう不動産は売買専門の不動産仲介会社ですから、賃貸物件をご紹介することは原則としてありません。しかし、住まいを買おうとしている方は購入時点では賃貸物件に住んでいる方が多く、そしてその方たちを見ている際に、家賃の収入に対する率が高い方は、購入する住まい探しでそれなりに苦労するという傾向を感じる時があります。

そこで、売買専門の不動産屋から見て、賃貸物件の家賃は収入の何%位が妥当なのか、という意見を述べたいと思います。あくまでも意見の1つですから、絶対的に正しいという話ではありませんが、現在賃貸物件を探している方の参考になればと思います。

賃貸の実務家から見れば20%以下はあり得ないと考えるようです

FP(ファイナンシャルプランナー)の方であれば、家賃は収入の20%以下に抑える方が望ましいと主張される方が多いと思います。今後の支払いなどを計算していくと、そのように導き出されるそうです。

しかし賃貸業務を行っている不動産会社の方の考えでは、家賃を収入の20%以下に抑えるだなんてあり得ない、と考える方が多いようです。ここでいう収入は月々の額面の収入の事で、ボーナスなどは計算に入れていません。

25%のイメージ

賃貸の実務家からすれば、家賃を収入の20%以下にするだなんて空論だと感じるようです。

賃貸では新社会人の方に対して物件を案内することが多いのですが、新社会人であれば、最初の月収は20万円前後です。月収が20万円とするとその20%であれば4万円となりますが、今の若い人が4万円の家賃の部屋で満足しますか、というのが実務家たちの主張です。

都内で賃料4万円以下となれば、築年数が古く、洗濯機置き場は室内になく、場合によってはお風呂も無いかも、という物件になる事も多いでしょう。賃貸の実務家たちは、そのような物件が決まる事はほとんどなく、勧めるだけ無駄、と考えるのは当然の事でしょう。

遠さか古さかその両方を我慢できれば家賃割合20%以下の物件はたくさんあります

家賃の価格設定は、基本的に「近いか」「広いか」「きれいか」の3つの要素でほとんどが決まります。逆に言えばこれらの要素のどれか、あるいはいくつかが我慢できれば、家賃を収入の20%以下に抑えることは可能です。

四畳半のイメージ

四畳半一間で良ければ安い物件はあります。

例えば多少遠くても良い、という例で考えてみましょう。勤務先が東京であっても、千葉に住んでいる方はたくさんいます。私もよく参考にしているHOME’Sの沿線別家賃相場表を見ますと、どの路線のどの駅周辺が安いかが分かります。参考までに東京から千葉方面に延びている東西線のワンルームから1DKまでの相場表を見てみましょう(出典:HOME’S)。

相場表の金額は平均金額ですので、さすがに4万円以下が平均となっている駅はありません。東西線の家賃相場で1番安い駅は原木中山駅ですが、この駅の平均でも5万5,000円台となっています。

しかしその原木中山駅の詳細を見てみますと、4万円以下の部屋も意外とたくさんあります。築年数が20年以上であったり、駅から10分以上の距離であったりと条件が良いとは言えませんが、それでも首都圏から十分に通勤圏内と言える場所で、選べる物件はたくさんあります。

少し遠い、少し古いという条件を我慢すれば、収入の20%以下の家賃の部屋は実際にある程度見つけることができます

我慢できないといっても、それが本来あるべき住環境です

しかし、通勤時間が1時間以上だなんて我慢できない、ですとか、築20年以上の古いアパートなんかに住みたくない、という方はたくさんいます。これまで地方に住んでいた方であれば、通勤に片道1時間以上かかるだなんて信じられない、という方も多いでしょう。

贅沢のイメージ

自覚が無いとしても、実はその物件に住むのは収入に比すと贅沢なのかもしれません。

ですが、一方でこれが本来の住生活であるかもしれません。つまり月収20万円の方が月6万円の家賃(30%の比率)に住むのは分不相応のぜいたくかもしれないという事です。

身の丈に合った、とか、分不相応という言葉を私はあまり好きではありませんが、それでももし、本来の家賃が月収の20%が相応だとすれば、30%の家賃を支払っているのは、分不相応なのかもしれません。

家賃に対する比率については、最初は大変だけれども、収入が安定し落ち着いてくれば、それから家賃比率を考えれば良い、という意見がありますが、この意見には私は賛同できません。むしろ収入や生活が落ち着かない最初の時期こそ、安全サイドで考えるべきで、分不相応の高い家賃の部屋に住むべきではない、と思うからです。

1度生活パターンが決まってしまうと、そのパターンを変えるのは簡単ではありません。特に質を下げる場合はそうです。その時点で駅から5分の場所に住んでいる方は、駅から徒歩15分の場所に簡単に引っ越せるでしょうか。通勤時間が30分の方は90分の場所に引っ越せるでしょうか。

引っ越しのイメージ

現実問題として今より条件が悪い物件に引っ越すのは簡単ではありません。

本来であれば、生活パターンが固まる前の最初の段階で安全サイドに立った考え方をするべきです。つまり譲れる範囲内で家賃の安い物件に住むべきだと思います。

今の時点で分不相応な無理な生活をしているにも関わらず、その生活が基準になると、そこからレベルが落ちる住まいに引っ越すのは結構大きな抵抗を感じる事でしょう。

条件が良い住まいを借りている人は、買える家の選択肢を狭めます

ここからようやく本題に入るのですが、住まいを購入される方は、影響の大きさの違いはあれ、その時点で住んでいる物件との比較で、購入する不動産を考えます。そして、収入に対して分不相応の生活をしている方は、その生活と同レベルの生活ができるような購入物件を考えます。

ですが、その時点で収入に比してレベルが高い生活をしている方が認めることが出来る物件は、当然価格が高い物件です。最近の住宅ローンはローン返済が年収の35%とか40%近くになっても貸し出しをしてくれることが多くなっているため、価格が高い物件でも買えなくはありません。ですが、収入に対する比率がこんなに高くて、本当に大丈夫だろうかと私は不安を感じる事もあります。

家とお金のバランス

高い生活レベルを維持するために買う物件はやはり高いものになります。

また、これまでに建物がきれいな物件にしか住んだことが無い方は、中古住宅を選ぶ際の目がとても厳しくなります。古くて安い住まいに住んでいた方であれば、この位の汚れや古さは気にならない、というレベルであっても、きれいな物件にしか住んだ事が無い方は、とてもこんな物件には住めない、買えないとなってしまいます。

どのような物件を買うかはもちろん買う人の自由なのですが、きれいな賃貸物件にしか住んだことが無い方は、物件の選択肢が大きく狭まるという事がよくあります。このような方は中古物件は見向きもせず、新築中心で考えますので、その分高い物件しか選択肢として残りません。

何を買うかは買う人の自由ですが、お金が少ない状況で、厳しめのローンを組み、資産価値が落ちやすい新築を狙うという悪い循環に陥りやすいタイプになっているように感じます。

収入の割に高い家賃にお住まいの方は頭金が少ないケースが多いように感じます

また例外も多いのですが、収入に比して高い家賃の部屋にお住まいの方は、頭金が少ないという事もそれなりにあります。住居費で多額のお金を取られる訳ですから、その分貯蓄に回せるお金が少なくなってしまうようです。

頭金のイメージ

高い家賃を払っている方は頭金が少ないケースも珍しくありません。

不動産の売買は残念な事にお金が無い方が、トータルでお金がかかるという理不尽なシステムになっています。頭金が少ないというために、金利が高いローンを選ばざるを得なかったり、つなぎ融資に余分なお金を必要としたりなど、現金が少ないがために損をするというケースはたくさんあります。

月々の支払いを安くするために返済期間を長くとれば、その分支払利息も多くなります。借入金が多かったり、返済期間が長いことで、保証料や保険料なども高くなります。お金が無い、少ないというだけで損をする事が本当にたくさんあるのです。

ですので今は賃貸に住んでいるけれども、将来は自分の家を持ちたい、という方は、生活パターンの維持や頭金の確保という2つの面から、あまり高い賃料の部屋には住まない方が良いのではないか、と思います。

最初は我慢できる最低ラインから始める方が良いとは思いますが

このように考えていくと、最初に住む賃貸物件は我慢できる範囲内で極力安い住まいにする方が後々良いのではないかと思います。こんな部屋はどうしても無理、という事であれば仕方がありませんが、なんとか我慢できる、という範囲であれば最初は安い方から選ぶ方が安全です。

王宮の暮らしのイメージ

最低の生活レベルが王宮の暮らしクラスであれば、仕方がありませんが…。

後から条件が良い住まいに引っ越す事は可能でも、生活レベルを下げる住まいに引っ越すのは本当に難しいですし、その時のダメージにも大きなものがあります。

これが収入の何パーセントなのかの説明にはなっていませんが、世間一般のFP系の方々は大体20%以内に抑えろと話をします。この考えが正しいとすれば、そして自分で我慢できそうという事であれば、収入の20%以内の家賃の部屋に住み、耐えられるか、問題がないかどうかを試しつつ、後は状況を見て変えていくのが良いのではないかと思います。

という訳で、家賃は収入の何%以内が良いのか、という質問に対しては20%以内が望ましいというのが私の意見になります。

実際に当社で家を探されている方の中で、現在ボロボロの社宅や官舎に住んでいるという方は、多少古くても気にしないという方が多いように感じます。こういった方であれば、選べる中古物件の幅が広がり、結局お買い得である物件を選べる率が高くなります。

これは考え方の1つですから、この話が絶対的に正しいというものではありません。ですが、単に収入の何%が普通だからと簡単に考えず、先々の事を考えた上で、住まいを探してほしいと思っています。

繰り返しになりますが、最初の賃貸、特に最初の一人暮らしの住まい選びは、その後の住まいの基準を決めることがあります。臨時的な仮暮らしだからと簡単に考えますと、実は一生を左右するという事もあり得ますので、ゆっくりと考えながら住まいを決めてもらえればと思います。

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