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2017年1月16日の朝日新聞の一面(千葉県版)に、住宅の耐震化が目標に届かないという記事が掲載されました(「進まぬ住宅耐震化 期限で達成、41都道府県が「困難」」朝日新聞より)。「耐震化」という言葉自体が分かり難いのですが、要は古い既存住宅に耐震改修工事を行ったかどうかの率と考えれば良いと思います。

一部屋だけでも耐震化とか

古い住宅でも人が死なないような耐震補強工事を行うのが、耐震化という事です。

この耐震改修工事が進まない、というのは正直予想通りです。そして、今の方針のままでは今後も耐震化はあまり進まないだろうと予想できます。このページでは耐震化や耐震改修工事について、思うところを述べたいと思います。

耐震化の対策が戸別訪問と言うのは押し売りの発想です

耐震改修工事が進まない最大の原因は、工事の費用が高額であるという理由だと私は思っています。他の理由として挙げられている「リスクを負っても構わない」とか「地震が来るという実感が湧かない」という理由は後付けの理由であり、本当の理由は経済的な問題である事がほとんどだろうと考えています。

国や自治体にこの認識が無いために、耐震化を進めるための対策が、意味の無いものになっている印象を受けます。今回の記事にあった対策の1つに「戸別訪問を行い、住民に直接耐震化を勧める」というものは、その最たるものだと思います。

耐震改修工事を行わないのは、お金が無い、あるいはそんな事に使いたくないからという理由であって、耐震改修工事の存在を知らないからではありません。その相手に、戸別訪問して耐震改修工事を促すというのは、押し売りの発想でしかなく、実際にも効果は出ないと私は思います。

押し売りのイメージ

対策が戸別訪問という感覚は何とかならないものでしょうか。

以前テレビで耐震改修の特集が放映された時にも感じたのですが、どうも対策を考える方々は大きな誤解をしているとように感じます(「耐震診断や耐震補強の番組を見て、不動産屋が感じた違和感をお話しします」参照)。

耐震改修について、新聞の一面で扱われるのは、告知という点でとても良い事だと思います。一方で対策がこのようなお粗末なものでは、今後もあまり耐震化は進まないだろうと予想できます。

一般住宅の耐震化より避難所の耐震化を最優先で進めるべきです

私見ですが、個人住宅の耐震化を進めるよりも先に、まずは公共建築物の耐震化を早くすべきだと思います。もちろん国や各自治体が耐震改修工事を少しずつ進めているのは知っています。ですが、現時点でもまだ100%ではありません。

公的な建物のイメージ

まずは公的な建物の耐震化率を100%にすべきだと思います。

熊本地震の際にも、本来は対策本部となるべく自治体の建物自体が壊れ、対策本部としての機能を満たしませんでした。個別の住宅の耐震改修工事の予算を中途半端に取るよりも、まずは自分自身の建物について耐震化を終わらせる方が先だと私は思います。

当社がある千葉市でも、市所有の建物については少しずつ耐震改修工事を行っているようです。ですがそれでもまだ100%ではありません。

千葉市所有の建物の耐震化率

市民への告知も大事ですが、まずは自分の建物の耐震化率を上げるべきだと思います。
出典:千葉市

もちろん自治体にお金が無いのは分かっています。ですが、自分の分すら終わっていなのに、一般の方に対し、理解が無いとか分かっていないという論調はどうかと思います。

別の方策を考えないと、今後の耐震化もお題目を唱えるだけで終わるでしょう

どの自治体も今後の耐震化率の目標は下げるようです。自治体の考えだけで達成化率を決められるものではありませんので、目標設定を変えること自体に文句はありません。

外れ

的外れな対策は考え直すべきだと考えます。

ただ、耐震化率が進まない理由が告知不足だと考えているようでは、今後も耐震化率は大きく上がらないでしょう。もっと意味のある対策を立てないと、結局は同じ話の繰り返しになると思われます。

個人的には、
1.耐震診断を完全に無料とする事で、問題がどの位あるのかを正確に把握する
2.補助の範囲でできる工事でもOKとする(安全な部屋が一部屋だけでも大丈夫など)
3.空き家になっている耐震性の弱い住戸は解体する
等のやり方を組み合わせることで、少しでも効果を上げられるように考え直すべきだと思います。

なぜこういった対策が効果が上がると思っているかについては、長くなりますので説明はしませんが、本当に耐震性が高い住宅を増やしたいと考えるのであれば、目標が達成しませんでした、とか、目標を低く設定しなおしました、という話では無く、違う方法を考えて欲しいものだと思います。

今回の記事は、家を買いたいという人に役に立つものではありませんが、耐震化について思うところを述べてみました。