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マンションや建売住宅、中古住宅を買う際にはコンセントの位置や数を選ぶことはできません。しかし注文住宅であれば、自由にコンセントの位置やタイプについて選ぶことができます。コンセントについて何を選ぶのかと考える方もいらっしゃいますが、このコンセントの選び方1つでも、生活の快適度合いが変わる事もありますので、コンセントの注意点について基本的な内容をお話しします。

コンセントは十分な数を確保しましょう

コンセントに関する不満でよく聞くのはコンセントの数が足りないという話です。昔の住宅であれば、寝室に二口コンセントが2か所、合計四つ分のコンセントがあれば十分という作りだったのですが、今はこの数では足りない事が多いでしょう。

コンセントの数が足りない場合には、たこ足配線などでコンセントの数を強引に増やすことになりますが、このやり方はあまりお勧めできません。あまり知られていませんが、たこ足配線が多くなりますと、そこから熱が出て火事になる可能性があります。

たこ足配線のイメージ

タコ足配線では、その周りやコードなどから熱が出て火事になる危険性があります。

そのため消防庁のサイト等では、たこ足配線は絶対にやめましょうと指摘しています。熱が実際に出るのは1つのコンセント当たり1,500W以上の電気を使った場合に限られるようで、すべてのタコ足配線で熱が出るとは限らないようです。しかし実際に使用ワット数を計算して使うというやり方も難しいため、最初からタコ足配線を行わずに利用できるよう、コンセントの数を準備する方が望ましいと思います。

今後の電気製品の展開が分からない以上余裕をもった数を用意しましょう

コンセントの数が不足がちになった理由は簡単で、利用する電気製品が増えたからです。特にスマートフォンやタブレット等はすごい速さで普及し、携帯ゲーム機なども含めれば、一人2,3台の機器を持っている事も珍しくありません。そして各々の機器は充電するためコンセントを独占します。4人家族で1人平均2.5台の機器があれば、それだけで10個分のコンセントを余計に使う事になった訳です。

スマホとPC

1人でスマホとタブレットとPCをもっているというケースも珍しくありません。

他にも無線LANの機械やBluetooth対応のスピーカー等、昔にはなかった電気製品は年々増えています。PCも1人1台どころか複数台が当たり前というご家庭もあります。

よく設計の際に、利用状況を考えてコンセントの数を考えましょうという話があり、その考え自体は有効なのですが、一方で将来も同じような電気製品の使い方で済むかどうかは誰にも分かりません。しかし最近10年の変化を見ますと、今後はさらに日常で利用する電気製品が増える可能性は大いにあります。

そう考えますと、今想定できる範囲プラス余裕を見てコンセント数を設定すべきだと思います。

コンセントの数が多すぎると固定資産税が高くなるという話もありますが

コンセントの数をあまり増やさない方が良いという意見の1つに、コンセント数が多いと建物の固定資産税が高くなるというものがあります。ただ、税金の金額増と火事の危険性や日常生活の利便性を考えた場合、固定資産税の増額はそれほど大きな問題だとは思えません。

仮にコンセント1個増えるごとに6,500円位高く評価されるとしますと、10個余分に作ったとしても評価額は6万5千円の増額です。固定資産税は原則評価額の1.4%ですから、そのまま課税が増えたとしても年間910円の増額ですので、それほど大きなものとは思えません。実際には減額措置などがありますから、増額分はもっと小さいでしょう。

更に言えば、最近では固定資産税の評価でコンセントの数は見なくなっているという話もあります。このような状況を考えますと、税金が上がるからコンセントの数を減らそうという考えは、あまり意味は無いのではないかと思います。

コンセントの数は内線規程の推奨数プラスアルファで考えましょう

では具体的にコンセントの数をいくつにすれば良いかですが、個人的には内線規程で推奨されている数+1個位で充分ではないかと思います。内線規定とは(一社)日本電気協会が電気工事のマニュアル的なものとして作った決まりですが、この内線規程の中に、コンセントはこの部屋であればいくつが良いといった推奨数値があります。

内線規程の表紙

コンセントの数の目安は内線規程に書かれています。
出典:一般社団法人日本電気協会

この推奨数値では居室はその広さによって推奨する数は異なります。部屋の広さが
4畳半まで 100Vのコンセント数2個
6畳まで  100Vのコンセント数3個+200Vのコンセント数1個
8畳まで  100Vのコンセント数4個+200Vのコンセント数1個
10畳まで  100Vのコンセント数5個+200Vのコンセント数1個
13畳まで  100Vのコンセント数6個+200Vのコンセント数1個
となっています。

ただ私は個人的に部屋の面積が狭い場合でも
1部屋当たり 100Vのコンセント数4個+200Vのコンセント数1個
を最低ラインと考えたいと思っています。

先程述べましたように、今後電気製品はもっと増えていきます。そして部屋が狭いとしても、寝室として使う以上必要な電気製品数はそれほど変わらないと考えていますので、原則4個プラス200Vのコンセント1個は欲しいところです。

ちなみにこの1個とはコンセントが二口でも三口でも同じ1個と数えるようです。ですので部屋が狭く、100Vコンセントの位置が3個所しか取れないようであれば、全部三口コンセントとして、数を確保するという考えもあると思います。

更に他のタイプの部屋のコンセント数を考えてみましょう。内線規程の推奨数は次のようになります。
キッチン  100Vのコンセント数6個+200Vのコンセント数1個
ダイニング 100Vのコンセント数4個+200Vのコンセント数1個
洗面室   100Vのコンセント数2個+200Vのコンセント数1個
トイレ   100Vのコンセント数2個
玄関    100Vのコンセント数1個
廊下    100Vのコンセント数1個
と、なっています。

リビングの表記は無いのですが、基本的に居室と同じように考えて良いと思います。ですので、リビングダイニングで10畳くらいのスペースがあれば、ダイニングを4畳分と考えダイニング+6畳の居室と考えますと、
リビングダイニング 100Vのコンセント数7個+200Vのコンセント数2個
という計算になります。

一見多すぎるのではないかと感じますが、リビング部分で使う可能性のある電気製品を考えてみますと、テレビ、ビデオ、テレビゲーム機、固定電話、オーディオ、電気スタンド、電気ストーブ、加湿器、電気カーペット、パソコン、掃除機、スマホなどの各種充電、という内容を挙げていきますと、意外と使うという事が分かると思います。

こういった内容を考えますと、4LDKの住宅でトイレが2か所、各居室が6畳以下だとしても、内線規程から考えますと100Vのコンセント数33個+200Vのコンセント数8個となり、合計41個のコンセントが必要という計算になります。

恐らく皆さんが考えているよりもコンセント数は多いのではないでしょうか。ですが今や、日本電気協会ではこの位の数が必要だと考えていますし、将来電気製品がますます増えていくと考えた場合には、これよりもさらに多めにコンセントを作る方が安心ではないかと思います。

コンセントの設置高さにも注意しましょう

コンセントの数について考える方は多いのですが、高さについては気にしない方も多いでしょう。ですが、特定の条件に当てはまる方は、設置する高さにも注意する必要があります。特定の条件とは、犬や猫を飼う方と赤ちゃんがいる方です。

コンセントの床からの高さ

何も考えなければ、床から20cmくらいの高さにコンセントを取り付ける事になるでしょう。

普通のコンセントは、コンセントケースの下端が床から20cm位の高さに、コンセントの中央で25cm位の高さに設置される事が多いでしょう。建設会社に特に高さを指定をしなければ、この位の高さに取り付けられます。

ただ、猫を飼っている方はもっと高い位置にコンセントを設置すべきです。猫はスプレー行為と呼ばれるマーキングを行う事があります。その際に尿がコンセントにかかり、電気がショートし火災を起こす可能性も考えられます。

マーキング対策以外にも、猫が爪でコンセントカバーを壊してしまうという事もあるようです。壊されるという問題はもちろん、猫が感電してしまう危険もあります。

こういった諸々の危険を防ぐためにはコンセントの下端の高さを50cm以上にする等何らかの対応を行う必要があります。

また犬の場合には、コンセントから出ているコードやプラグをかじってしまう事があります。この場合は犬種にもよるのですが、犬が立ち上がっても届かない高さにコンセントを設置する必要が出るかもしれません。

小さな赤ちゃんがいるご家庭も注意が必要です。赤ちゃんがはいはいして濡れた指でコンセントに触ってしまった場合も感電事故の可能性があります。これもある程度コンセントの設置位置を高くすることでトラブルを避ける事ができます。

ただ、すべての状況に対応しようと思いますと、どれだけ高さを上げても無理という事もありますし、高すぎて使い難いという事もあるでしょう。ですので実際にはコンセントカバーを使う事と並行して、子ども対策、犬猫対策を考える事になります。

ただ、高さを変える事で対応できるという事があるのも確かですので、新築でコンセントの位置を決める事が出来る場合は、一度どの高さにするかを考えてみてください。

また、コンセントの高さが低いとお年寄りにも辛いという話もよく聞きます。コンセントを差し込むのにしゃがみ込むのが大変ですし、車椅子での生活が中心になりますと、床から25cmの位置に手を出すのも難しくなります。そう考えますと、今後は高さが50cmとか60cmが中心に変わっていくのではないかという気もしています。

洗濯機や冷蔵庫、エアコン等使用内容が予め分かっている場合には、それらの機器が使いやすい高さにコンセントを設置する必要があります。ただこれらのコンセントの位置や高さについては最近では大半の建設会社は考えて位置を決めていますので、それほど心配する必要は無いかもしれません。

極力アース付きのコンセントを付けてもらいましょう

コンセントのタイプと言うのは、アースが使えるコンセントかそうでないかとの違いがあるだけです。ただアース付きコンセントといっても、接地極付コンセント、接地用端子が付いたコンセント、接地極と接地用端子の両方が付いたコンセントがあります。

接地極付きコンセントとは、3本のピンがあるプラグが刺さるコンセントの事です。

接地極付きコンセント

アース用のプラグが挿せるコンセントが接地極付きコンセントです。
出典:panasonic

接地用端子が付いたコンセントとは、冷蔵庫や洗濯機の電源をつなぐコンセントでよく見る形のものです。

接地用端子が付いたコンセント

洗濯機等のアースを緑色の線でつなぐための端子があります。
出典:panasonic

そして接地極と接地用端子の両方が付いたコンセントもあります。

接地極と接地用端子の両方があるコンセント

接地極と接地用端子の両方があるコンセントです。今後はこのタイプが主流になるのではないかと思います。
出典:panasonic

前述の内線規程では、キッチン、トイレ、洗面室は接地極付きのコンセント、それも接地端子もある接地極付きのコンセントの設置を勧告しています。この勧告とは義務ではありませんので、普通のコンセントを付けても法律違反ではありませんが、推奨よりも更に強く守って欲しいと期待している言葉です。

このように日本電気協会が強く推しているにも関わらず、新しい家でトイレやキッチンがこの接地端子もある接地極付きのコンセントを入れているかと言えば、必ずしもそうではありません。

更に内線規程では、居室などのすべてのコンセントを接地極付きのコンセントを使うよう推奨していますが、こちらに至ってはほとんどの新築の家で取り入れられていません。恐らく建設会社がコスト削減のために、指摘をされない限りは安くできる通常のコンセントを使おうと考えるからだと思います。

接地極や接地用端子、すなわちアースは感電防止のためと考えられており、それはそれで正しいのですが、実はそれだけではなく、アースをうまく使えば電磁波の内の電場を大きく下げる効果があります。「2-02-01.日本の住まいは世界トップレベルで電磁波が強く出ています」のページでもお話ししましたが、日本の住宅は家電が多い割には電場対策がなされていないため、大変電場が高い住まいになっています。

電場対策とは突き詰めていけば、アースを取って余計な電場を外に逃がすしかありませんが、アースが無ければ余分な電場を流すことが難しくなります。今でこそ、アース付きの家電の数は少ないため、アース付きのコンセントも普及していませんが、電磁波の問題がもっとクローズアップされ、その対策を迫られた時にはアース付きコンセントが必須となるでしょうし、それほど遠くない将来にはそのような展開になる事は充分考えられます。

こう考えますと、キッチン等のような家電を多く使う機会が多い場所はもちろん、すべての居室のコンセントでアースが使える、それも様々な形でアースが使える接地端子もある接地極付きコンセントを入れるべきだと思います。

新築であれば通常のコンセントよりも多少高くなりますし、電気工事費も高くなるでしょう。ですが長い目で見れば、電磁波対策として有効ですし、当然感電の危険性も減らせますので、これから工事をされる方は、なるべくアース付きのコンセントを最初から入れる事をお勧めします。

コンセント周辺の壁は電磁波(電場)が高いのは確かですが建物にもよります

他によくある質問で、コンセントの数を増やすとそれだけ電線の数が増え、電磁波が高い家になってしまうのではないかと聞かれる事があります。この意見自体は間違いでは無いのですが、そこだけ気にしても仕方がありません。コンセントが無い壁でも電磁波(電場)が高いという例も多々あるからです。

コンセント横の電場

このコンセントのすぐ横の壁の電場は130V/mと高い数値を出しています。

確かにコンセント周りは電線が壁に付いているせいか、電場は高くなります。上記の写真では130V/mを記録し、電磁波協会の基準である25V/mを大きく上回ります。

コンセントから少し離れた壁の電場

コンセントから少し離れますと、電場の数値は低くなります。

このコンセントから少し離れるだけでも電場はずいぶん小さくなります。実際にこれらの電場が人の体に影響を与えるとすれば、この壁にベッドやテーブルが接触しており、そのベッド等から人に電場が伝わるケースでしょう。ですので、ベッドやテーブルなどは、コンセントに直接触れさせない、あるいは壁との間に少し隙間を空けるという方法で対処が可能です。

ただ問題があるのはコンセントが付けられている壁だけかと言えば、そうとは限りません。

電線が入っていないと思われる壁

場所的に電線は入っていないだろうと思われる壁の電場は確かに低いのですが…。

と言いますのも、どの壁の電場が高いのかは実際に計測してみないと分からない事が多いからです。

コンセントが無い壁でも電場が高いことも

実際にはコンセントが無い壁でも電場が高い壁はあります。

様々な場所で電場を計測してみますと、コンセントが無い(その裏側にも無い)壁であっても電場が高い事はよくあります。その壁内に他につながる電線が通っていることがあるからです。そして、どの壁の電場が高いかは計測してみないと分かりません

どの壁に電線を通すかは電気工事士が判断して行いますので、建設会社も把握していない事が多いでしょう。一般的な電気配線図ではどこにコンセントがあるかは分かりますが、どの部分に電線を通すかは書かれていない事が多いですし、書かれていたとしてもその通りに工事しているかどうかも分かりません。

結局コンセントの位置とは関係なく電場が高い壁は出来てしまいます。これを避けるためには、設計時に電線の通る位置を完全に指定して、寝室など滞在時間が長い場所の近くをなるべく通さないようにするか、オールアース住宅で設計するかという事になります。オールアース住宅については(株)レジナさんが運営している「オールアース住宅」のサイトをご確認ください。

後は電磁波測定士に各々の場所の電場を測定してもらい、電場が高い壁面については日常的に触れないように注意するという方法もあります。当社でも電磁波測定業務を行っていますので、ご興味がある方は「3-02.仲介業とは別に電磁波測定サービスも行っています」のページをご確認ください。

実際には電場で体調を悪くされる方の率は、それほど高くないと思われますので、特に体調に影響が無い方は気にしないという考え方もありますし、気になる方は電磁波測定士に測定してもらい、個別に対策を考えるという方法が現実的だと思います。

この記事の内容を動画でも解説してみました

ここまでお話ししました内容を動画でも説明してみました。その動画がこちらです。

コンセントという事1つを取り上げても、このように考えなければならない事がたくさんあります。家づくりや不動産探しはこのような細かな話の積み上げで出来るものだと考えてください。

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