このページでは一般的な日本の住宅が、電磁波についてどのような状況になっているかをお話しします。大変残念なことですが、日本の住宅は世界でもトップレベルで電磁波の影響を受けやすい住宅になっています。理由は4つあります。

それは
1.アース付きコンセントやアース付き家電が少ない
2.電流の流れる量が多い
3.電気使用量が多く、配線が多い。さらにその位置が考えられていない
4.長時間接触する電気機器が多い

の4つです。
これだけでは分かりにくいので、もう少し詳しく説明しましょう。

アース付きコンセントやアース付き家電が少ないため電場が多く出ます

皆さんは海外で三口のコンセントを見たことはありませんか。またはPC用のコンセントで、丸いピンのようなものを差し込むようになっているコンセントを見たことはないでしょうか。

この3つ目はアースを取るために付けているものです。日本の住宅でも数は少ないですが、アース付のコンセントはあります。主に水周りのコンセントで感電防止のために付けられています。

アース付きコンセント

我が家の洗濯機置き場の横のコンセントです。こちらはアース付きコンセントで、下に見えている緑の線がアースです

上の写真がアース付きのコンセントです。私の家は古い家ですので、このアース付きコンセントはこの場所くらいで、他は通常の二口コンセントとなっています。

二口コンセントしかない場合は、仮に家電製品がアース付きの電源ケーブルを用意していたとしても、そのアースをつなげるところがありません。その結果強い電場を出す家電製品は、アースなしでそのまま使われることになります。

pcのアース付きコード

私のデスクトップPCとディスプレイの電源コードにはアース線が付いていますが、コンセント自体にアースがつながっていないため、アース線は何にもつなげられず、結果として電場は強いままとなっています。

アースがないため、電場を逃がすことができず電磁波が強い住宅になっています

上の写真の黄色と黄緑の線は、PCとディスプレイの電源コードに付けられているアース線ですが、コンセントにアースが無いため、どこにも付けられません。結果として私のPCからは強い電場を発生しています。

最近では各部屋に1つ以上、アース付きコンセントを付けようという動きがあるようですが、それほど普及している訳ではありません。また、家電製品自体の電源コードにアースが付いているものが少ないため、仮にコンセントだけが普及しても、家電からアースを取り、余分な電場を逃がすことが難しくなっています

法律の制限が無い結果、電磁波の強い住宅ができあがりました

右寝室床材の電場

この家の床は、安全な基準と言われる25V/mを大きく上回る110V/mと高い数値です。

これは日本独自の問題です。それは日本のコンセントにアースを取り付けなければならないという法律がないからです。

日本の住宅の電圧は100Vが中心です。ヨーロッパや中国など200V以上としている国では、感電死の危険を避けるためにコンセントにはアースが付いています。日本の場合、電圧が100Vと低く、万一感電しても死ぬ危険が低いために、アースが義務付けされなかったと思われます。

また、アメリカやカナダのように電圧が120V近くと低い電圧の国は他にもありますが、これらの国は訴訟社会のため、訴えられる危険を減らすために最初からアース付きの住宅とするようです(仮に電気火災が起きた場合、アースなしの住宅であれば火災保険料が下りないと聞いたことがあり、このようなリスクを減らすためと思われます)。

結果として日本のみアース付きコンセントが普及せず、電場の高い住宅を作る結果となっています。これが特に問題になりやすいのは木造住宅です。

マンションのようなRC造(鉄筋コンクリート造)であれば、躯体のコンクリートに配線が触れることで、そのコンクリートがアースの役割を果たし、余計な電場が発生しにくくなるのに対し、木造住宅では電場の逃げるところがありません。そのため電場の高い木造住宅がたくさんできることになります。

電流の流れる量が多いため磁場が多くなっています

先程日本の住宅の電圧は100Vと低い設定になっているお話をしました。このために流れる電流は逆に多くなります。それはこのような仕組みのためです。

消費電力(W:ワット)=電圧(V:ボルト)× 電流(A:アンペア)
消費電力は使う家電などの器具によって決まっています。例えば同じ1000Wの消費電力の器具を使ったとしても、電圧が100Vの日本と250Vの国では、流れる電流が大きく異なります。

日本 1000W=100V×10A
海外 1000W=250V×4A

同じ消費電力の器具でも、電圧が低い分流れる電流の量が多くなるわけです。その結果、磁場が大きくなります。先程お話ししました電場は電圧が高いところで高くなりますが、磁場は電流の流れる量が多いところで強くなります。日本は電圧が低いため、流れる電流が多くなり、その結果磁場が強くなります。

磁場測定器

もっとも一般の家庭内では磁場が強い場所はそれほど多くありません。

電気使用量が多く、配線が多く、さらにその位置が悪いため電磁波の影響を受けやすくなっています

日本の住宅は1.の理由で電場が、2.の理由で磁場が強くなりがちです。
これらの理由に加え、日本の住宅は電気配線が長く、家全体に張り巡らされていることがさらに問題を大きくしています。

電気製品の数が多いため、部屋の至る所にコンセントがあります。当然そのコンセントまで電気配線が引かれているため、壁の中や床の下を数多くの電気配線が通っています。電気配線の長さは35坪の一戸建てで950mにもなると言われています。家によっては、1Kmもの長さの電気配線に囲まれているケースもあるでしょう。

これは電気製品の数の多さに加え、照明の多さも影響していると思われます。海外の家で、そもそも天井に照明が無い家を見たことはないでしょうか。部屋の照明はスタンドだけで、天井には照明を付けないという国も結構あるようです。

それに比べると日本の住宅は天井に照明がないというケースはあまりありません。1階の天井に照明があるということは、2階の床下に電気配線が通っているということになります。

最近の住宅では天井高を高くとるために、1階の天井と2階の床の間を薄くし、1階の天井高を稼ぐケースもよくあります。その場合、狭いスペースに配線が押し込まれるため、2階の床材と電気配線との隙間があまり取れません。そのため、2階の床の電磁波、特に電場が強くなることがよくあります

幹線の位置によって強い磁場を住んでいる人に与えることがあります

室内の磁場が高い例

普通の床上は問題が無くても、幹線の上の床は磁場や電場が高いことがあります。

さらにその配線の位置です。通常のコンセントにつながっている電気配線はまだしも、外からの電気引込線から家の分電盤までつながっている幹線は大きな電流が流れています。そのためその幹線の近くには大きな磁場が発生します。

これが寝室や子供部屋から遠ければ問題になりにくいですが、寝ている頭のすぐ近くを通るようですと問題です。ですが、実際にこの幹線がどの場所を通るかは設計士や工務店の方はほとんど把握していません

設計図書を見ても、正しく電気配線の位置を示しているものもあまり多くありません。電気工事士にお任せしてしまうことが多いからです。そして電気工事を行う方も電磁波について詳しい訳ではありません。

電気工事士も工事費や作業日程の問題からなるべく簡単な工事で済ませたいと考えます。その結果、悪意は全くないのですが、滞在時間の長い寝室の横や下に幹線を引くことも珍しくありません

これらの理由で、電磁波の多い家ができあがっていくことになります。

長時間接触する電気機器が多いため電磁波の影響が大きいのが問題です

さらに日本独自の問題があります。それは長時間接触する家電が多いことです。
長時間接触する機器の代表はパソコンで、これは日本だけに限りません。

しかし日本ではこれに加え、ホットカーペット、電気毛布、電気こたつ、マッサージチェアなどがあります。また、一部の床暖房でも電磁波が強いものがあります。

電源を入れているときの電気毛布の電場

この電気毛布の電場は510V/mでした。基準の25V/mから見れば20倍以上です。

これらの機器は電磁波が強いだけでなく、長時間人の体に触れているため、大きな問題となることがあります。こたつはもちろん日本独自のものですが、電気毛布やホットカーペットもあまり海外では見られません。これらの商品は使用していて大変気持ちの良いものですが、電磁波ということを考えると体に良いものではありません。

ホットカーペットの上や電気毛布を使って寝ていて、体がだるくなったことがある人はいらっしゃらないでしょうか。それが電磁波のせいかどうかは分かりませんが、全く影響がないとも言い切れません。

電磁波カットと書かれている商品でも磁場しかカットされていない商品も多くあります

ホットカーペットや電気毛布で電磁波カット、と記載されている商品も最近では出てきました。しかしその製品説明書を見てみると「電磁波カット(磁場)」などと書かれていることもあります。

これは電磁波の磁場のみカットされているということで、電場については全く対策がなされていない商品だったりします。表記はウソではありませんが、電磁波のことをよく知らない人に誤解させる表現ではないかと思います。

電磁波について知っているだけで立てられる対策もあります

これまで述べてきましたように、様々な理由で日本の住宅は電磁波を多く受けやすい住宅となっています。
だからと言って、日本の住宅はダメと言っているのではありませんし、ホットカーペットなど一切使うなと言っている訳でもありません。このような状況でも取れる対策はあります。

やみくもに怪しい商品に走ることなく、正しい知識を身に付けたうえで、正しい対応策を取り、受ける電磁波を減らすことは可能です。ただ、まず最初に現状はこのような状況で、何らかの対策を考えた方が良い、ということだけ知っておいていただきたいと思います。

次のページはこちら 「02項 日本の電場の参考例」

電場が高いという話を動画でもまとめてみました

このページの話の電場の部分を動画でも説明してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

ふくろう不動産では仲介のお客様に電磁波の測定を無料で行っています

ふくろう不動産は、電磁波測定士の資格も取得しています。電場や磁場の測定はもちろん実際にどのような対策を撮れば良いのかのアドバイスも可能です。

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また仲介業務とは別に電磁波の測定サービスや、健康配慮系のインスペクション(建物検査)も行っています。
電磁波の調査サービスについては「3-02.仲介業とは別に電磁波測定サービスも行っています」のページを、
健康配慮系のインスペクションについては「6-01.健康に住めるための建物検査を行っています」のページをご確認ください。

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