さて低周波の電磁波についてです。この電磁波はある程度強くなると、健康に被害を与えると言われています。ここで述べています低周波の電磁波とは、
・5Hzから2KHzまでの極低周波
・2KHzから400KHzまでの超低周波
を指しています(Hzはヘルツ、KHzはキロヘルツ)。

電磁波の電場と磁場には安全と言われる基準数値があります

低周波は電場と磁場とに分けて考えます。この電場と磁場は、どちらもその強さによって人の健康に被害をもたらす可能性があります。どのくらいの強さで被害を受けるかは人によりますので、どの数値であれば必ず健康に問題が起こる、と断言することはできません。

ですが、この位の数値であればおそらく問題ないだろう、という数値を色々な国、機関が設定しています。日本では全国区電磁波測定士協会がEMEAJ-01(エミアージュ・ゼロワン)という基準を設けています。
その基準では、極低周波で安全と言われる数値を
・電場 25V/m未満
・磁場 3mG未満(0.3μT未満)
としています。

V/mはボルトパーメーターと読み、電場を計測する単位です。mGはミリガウスと読み、磁場を計測する単位です。磁場はミリガウスではなくμT(マイクロテスラ)で計測・表現されることもありますが、1マイクロテスラは10ミリガウスのことで考え方は同じです。ただ、こういった数値だけ見てもイメージが湧きにくいと思います。そこで試しに身の回りにあるものの電場を測ってみることにしました。

PCは高い電場を発生しています

まずは私自身が使っているノートPCです。ノートPCを電源を差したまま使っている場合、このような数値がでました。

コード付きノートPCの電場

電源コードを入れた状態のノートPCの電場です。私のノートPCからは750V/mという高い電場が測定されました。

結果は750V/mとなりました。上で述べました基準の30倍の数値です。電場は空気中は伝わりにくいので触れていなければ問題になりにくいのですが、PCのように実際に触っているとその影響を大きく受けます。

使用時間が短ければそれほど問題にならないでしょうが、仕事などで使用している人は簡単に使用時間を減らすわけにもいきません。この場合、どういった対策を取れば良いでしょうか。

電場は電圧がかかっている場所で大きく発生します。そこでノートPCの電源コードを外して再び測ってみました。その写真がこちらです。

電源コードを外したノートPCの電場

同じ条件で電源コードを外してみました。電場は急速に下がり、この状態では基準値以下です。

結果は20V/mとなりました。これであれば上記の基準内に入っています。コードを外しているだけで電源そのものを落としている訳ではありません。バッテリーが持つ間はそのまま使用可能です。

ノートPCは単体ですとPC内は直流電流しか流れないようになっているとことですので、その結果としてこのように数値が大きく下がったものと思われます。

最近のノートPCはバッテリーの性能などが上がり、長時間充電しなくても使用できる機種も増えていますので、可能な範囲で使用時には電源コードをつながないというやり方は有効だと思われます。

しかし仕事で長時間PCを使用している人はそうもいかないでしょう。他の案として、ノートPCからデスクトップPCに変えるという方法も考えられます。

もちろんデスクトップPCも電場を発生していますが、キーボード自体が独立しているため、実際に触れる部分についてはノートPCよりも電場が低いことが多いためです。実際に自分のデスクトップPCのキーボードで電場を測ってみました。

デスクトップPCキーボードの電場

デスクトップPCのキーボードの電場を測ってみました。電源コードを入れたノートPCよりも低いものの、結構高めの数値となっています。

結果は520V/mと確かにノートPCよりは低い数値でしたが、安全と言われる数値からはほど遠い結果です。これは机の上にディスプレイや電話機なども置いているため、机自体にも強い電場があるせいかもしれません(机は300V/mほどありました)。ただ、それでも電源コードを差したノートPCより低いのは確かですので、少しでも電場を少なく、ということであればこういった対策も考えられます。

ノートPCの電場の話を動画でも説明しています

ノートPCの電場の話は次の動画でも解説しています。

よろしければ、動画もご確認ください。

電場や磁場が高いと健康被害を起こす可能性があると言われています

この電場についてですが、こちらはその電場が強いと、自律神経や皮膚などに悪影響を与えると言われています。アトピー性の皮膚炎などをイメージしてください(※もちろんアトピー性皮膚炎の全てが電場の影響と言っている訳ではありません。ただこのような皮膚炎を起こす可能性が高くなるということです)。

磁場についてもその磁場が強いと健康被害があると言われています。遺伝子の損傷や発がんの可能性があるとも言われています。

これら電場と磁場については、なるべく多くの対策を取った方が望ましいと私は考えています。と言いますのも、日本の住宅は世界でも有数と言われるくらい、電場と磁場が多いつくりとなっているからです。
「2-02-01.日本の住まいは世界トップレベルで電磁波が強い」を参照

日本の住まいは電磁波を多く浴びるつくりになっています

低周波の電磁波、という観点で見た場合、日本の住まいはかなり特殊です。それも残念ながら悪い方に特殊なつくりとなっています。

アース付きのコンセントが少ないため、電場が多い住まいになってしまいます

例えば電場です。住まいの色々な箇所でかなり高い電場を計測することができます(「2-02-02.日本の住まいの電場の参考例」参照)。

電場は高い電圧がかかっている部分で発生します。電場の発生を抑えるためには通常はアースを使います。アースを使い余分な電場を除くことで、住まいの中で余計な電場の発生を抑えることができます。

外国のコンセントで3ピンとなっているコンセントを見たことがある人も多いでしょう。海外ではアース付きのコンセントが主流となっているため、余計な電場があまり発生しません。しかし日本ではアース付のコンセントは標準ではありません。アース対応のコンセントは、冷蔵庫や水周りでいくつか見受けられるものの、リビングや寝室のコンセントはアースなしのコンセントが普通です。

また家電自体アース対応としている家電は多くありません。家電のコードにアースが付いているのは、PCなどの一部です。仮にPCのコードがアース対応していたとしても、コンセントそのものがアース対応でなければ、そのアースはぶら下がったままで用を足しません(恥ずかしながら我が家のPCもそうなっています)。

100Vという低い電圧を使うため、流れる電流が多くなり、その結果磁場も大きくなっています

磁場についても同様です。磁場は電流が強く流れている部分で大きくなります。この磁場は電場のようにアースを付けるなどの対策が取れません。磁場はその発生場所から遠くなればなるほど低くなりますので、対策としては強い電流が流れている場所から離れる、ということにつきます。

住宅内で強い電流が流れているのは、外部からの引き込み線で、分電盤までの電線です。この電線はなるべく寝室など居住時間が長い場所を避けて通したいのですが、こちらも残念ながらそういった配慮がされている住宅はまれです。また、日本は100ボルトという世界的にみて低い電圧を使っている社会なのですが、そのせいで同じワット数であれば、流れる電流が多くなります。

家電の数が多いため、住宅内の電磁波が強くなっています

そして家電数の多さです。日本の住まいにある家電の多さは今さら言うまでもないでしょう。このような様々な理由で、日本の住まいは電磁波対策という点で見ると最低クラスです。

新築住宅であれば、最初からアース付きのコンセントを多数作っておく(1部屋に1か所以上がお勧めです)ことや、引き込み線の位置を最初から寝室から離しておくなどの対応策が可能ですが、中古住宅の場合はそのような対処が難しくなります。

この場合、使い方を変える(寝室を別の部屋に変えるなど)とか、電磁波遮断グッズを使う(ベッドに遮断マットを敷きアースを取るなど)リフォームする(コンセントをアース付きに変えるなど)といった対応策をとることになります。

気を付けなければならないのは、電磁波遮断グッズで、効果があまりない、あるいはまったくない、さらには悪影響を与えるかもしれないいかがわしいものも多くあります。対策商品を選ぶ際には、数値計測とセットできちんとした商品を使うように心がけましょう。

日本の住宅はこのように電磁波についてはあまり良い状態ではなく、また正しい知識や対策が取られていないことが多いため、結果として健康被害を起こす可能性が高くなっています。

もう少し具体的な話や、実例については、下記にも示しています、細論ページに記載しました。大きな工事などを行わなくても取れる対策はたくさんありますので、まずはできることからやっていきましょう。

細論のページとしては、下記の記事があります。
2-02-01.日本の住まいは世界トップレベルで電磁波が強く出ています
2-02-02.日本の住まいの電磁波(電場)の参考例
2-02-03.日本の住まいの電磁波(磁場)の参考例

ふくろう不動産は電磁波測定サービスが充実しています

ふくろう不動産では、お客様が電磁波による健康被害を受けるリスクを減らすために、購入予定の不動産については、電場・磁場を測定し、その結果についてお話ししています。

残念なことに日本の住宅で電磁波の問題が全く無い、という不動産はほとんどありません。ただし、影響が少ない不動産はありますし、仮に問題があったとしても、その状況が分かっていれば取れる対策もあります。また対策が取りにくいようであれば、その物件の購入を見合わせるという選択肢ももちろんあります。

電場測定器FM-6

ふくろう不動産で使用している電磁波測定器(電場用)の1つです。これはドイツ製のファウザーメーターFM-6という測定器です。

上の写真は、ふくろう不動産で使っている電磁波測定器です。電場の測定はこの測定器で行っています。磁場は下の測定器で測っています。

磁場測定器

3軸センサーで磁場を測定するアメリカ製のUHS2という測定器です。先に紹介したFM-6という機器も磁場の測定が可能ですが、1軸(一方向)でしか磁場の計測ができません。なるべく精度の高い測定をすべく、磁場はこちらの機器を使用しています。

ふくろう不動産では、お客様の検討物件に対して電磁波測定を必ず行っており、かつ追加費用は一切かかりません。しかし、単に計測して教えてもらうだけだと不安だというお客様には、有料ですが電磁波測定士協会が発行する報告書を付けることも可能です。私自身電磁波測定士の資格を持っていますので、私が計測し、電磁波測定士協会に認証してもらうことになります。

他にも電磁波について、どのように対処したら良いのか、何に気を付けたら良いのかのアドバイスもある程度はできると思いますし、実際に数値を計測したうえでのお話ができますので、具体的な対策が取れると思います。

不動産を探していて電磁波について心配されている方は、ぜひ当社にご相談ください。ご相談はこのサイトの「お問い合わせフォーム」で受け付けています。

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