自然素材の利用や地元の建材使用以上に、エコであることを大きく宣伝しているのは設備関連です。ウチはこういったエコ設備を使っているのでエコでしょ、という内容の宣伝を本当に多く見かけます。

エコ設備にはもちろんエコである要素はあるのですが、本当にエコであるかどうか、まだはっきりしないものもたくさんあります。更にエコ設備の中には、様々なデメリットを持つものもたくさんあります。

そこでこのページでは代表的なエコ設備である太陽光発電について取り上げ、本当にエコなのか、どのようなデメリットがあるのかについてお話しします。

太陽光発電システムは本当にエコなのかが微妙です

太陽光発電のイメージ

太陽光発電が本当にエコなのかは少し疑問があります。

太陽光発電システムは代表的なエコ設備です。ですが、太陽光発電システムが本当にエコなのかは少し疑問があります。よく言われているエコの根拠として、

1.電気を作ることで購入する電気が少なくなる
2.自家発電を増やすので、原発を無くすことが可能
3.発電時に有害物質を出さない
4.太陽エネルギーはクリーンでかつ再生可能

ということが言われます。これらの各々について一理ある部分もありますが、エコと言うには少し無理がある部分もあります。もう少し詳しく見ていきましょう。

支払う電気代が安い事とエコであることは同じではありません

電気代のイメージ

電気代が安いことが直接エコになっている訳ではありません。

太陽光発電では電気を作ることができます。作り出した電気を使うことで、本来電力会社から購入する電力が少なくて済みます。また余った電力を電力会社に売却することができ、そのお金を購入した電気代と相殺できますので、さらに電気代を安くすることができます。

そのため、電気代については、太陽光パネルを入れていない住宅と比べると確かに安くなるのですが、電気代が安いということと、エコであることについて直接の関係はありません

使用するエネルギーが少ないのであればエコと言えますが、太陽光パネルがある家は実際には多くの電気を使っています。その使っている電気が発電所が作った電気であるか、パネルが作った電気であるかの違いがあるだけです。

また電気代が安く済むのは、電気の買取価格が政策のために高い金額に設定されているからです。補助金が出たり、高い買取価格が設定されているのは国の政策上の都合であって、エコであるから安くなっているのではありません。

むしろ電力会社は電力の買取を嫌がっています。手間がかかり事故の危険性も上がるのに、高い金額で電気を購入しなければならないからです。ですので電力の買取は採算上は赤字になるのですが、政策上仕方が無くこの設定としています。ですが、企業である以上この損失はどこかで回収しなければならず、結局一般家庭が使う電気代に上乗せされることになります。

この部分だけ見れば、エコの要素はまったくありません。

太陽光パネルが増えても、今まである発電所の量は変わりません

原子力発電のイメージ

現状のシステムでは、いくら太陽光パネルが増えたとしても原子力発電所は減りません。

太陽光発電が増えれば、原子力発電所が不要になるのではないか、という意見もあります。ただ残念なことに、いまの太陽光発電の技術では安定した電力を供給することができません。その結果、電力の安定供給のために、今まである発電所も維持しなければなりません

将来何らかの技術革新があり、太陽光発電で安定した電力が供給できるようになれば、そしてそれらの電力を安定して様々な場所に送る技術が確定すれば、これまでの発電所を減らすことができるかもしれません。ですが今の技術では恐らく無理です。

近い将来に、技術レベルが上がり、安定して太陽光発電で電気を作る時代になる、と考えられる方も多いかもしれません。しかし家電製品のように機器単体で作るものであればまだしも、地域の送電線も含めたインフラにまで手を入れるのは簡単ではありません。少なくとも数年や10年20年の単位では難しいと思います。結局数十年単位で見ても、発電所は減らない、という可能性が高いと思われます。

発電時に有害物質を出さなくても、制作時と廃棄時に有害物質を出します

ゴミ問題のイメージ

電気を作る際はクリーンでも制作時と廃棄時の問題を忘れてはいけません。

太陽光発電では電気を作る時に、有害な物質を出しません。火力発電所のように何かを燃やすことはありませんし、原子力発電所のように放射能性のゴミを出すこともありません。ですが、これは電気を作るときだけの話です。

実際には太陽光パネルを作る際にはそれなりに環境破壊があります。太陽光パネルで使用するレアアースを採掘する時の環境破壊はもちろん、工場で製作されるパネルには多くのエネルギーがかけられています。

さらに問題なのは廃棄時です。太陽光パネルの分別とリサイクルがきちんと行われているかどうかに不安があります。太陽光発電協会のサイトの資料ページに書かれている「使用済み太陽電池モジュールの適正処理・リサイクルQ&A」のページには、基本的には大丈夫という内容ではあるものの、詳しく中身を見ていくと、本当に大丈夫なのかが不安に感じられます。

例えば「太陽電池モジュールについては~分別解体と再資源化が義務付けられる特定建設資材には該当しない」ということになっており、これを読む限りでは法的にはリサイクルを義務付けている訳では無いようです。

他の表現でも、「当協会が見聞した事例では~埋め立てはない」「効率的な運搬・処理が可能となっていると推察される」「現時点で問題点等は顕在化されていない」など、やや逃げがある表現に終始しています。

考え方によっては、この協会は無いものをあるとは言っていませんので、まじめにサイトを作っているとも言えます。このまじめなサイトが「太陽光発電システムの寿命等を考慮すると、大量排出の時期はまだ先のことと考えられますので、上記技術開発に要する時間的余裕はあると考えております」と書いているところを見ると、現段階では効果的な対策は無いように思われます。

太陽エネルギーのクリーンさは太陽光単体だけを見ているからです

水力発電のイメージ

水そのものはクリーンであっても、水力発電のシステム全体を見ると、大きな環境破壊を引き起こします。

最後に太陽光のクリーンなイメージについてお話しします。確かに太陽光自体には悪い成分が入っていることもなく、何度でも使える持続可能なものだと思います。ですがそれは、太陽光を単体で見た場合の話であり、太陽光発電のシステム全体で見た場合は、必ずしもクリーンではありませんし、持続可能でないものもたくさんあります。

この話を理解しやすくするために、水力発電について考えてみましょう。水力発電のエネルギーの元となる水自体もクリーンなものです。また川の流れも持続的なものですので、こちらもエコの条件を満たしています。

ですが、これが水力発電のシステム全体で見た場合はどうでしょうか。水力発電を行うには大きなダムを建設しなければなりません。このダムを建設することで川や山の生態系が大きく変わります。更にはダムより先に流れる水や土などが変わることで、下流域や海の生態系にも影響を与えるものだということも分かり始めました。水自体はクリーンなものですが、水力発電のシステムまでクリーンではありません

太陽光発電についても同じことが言えます。太陽光そのものはクリーンかもしれませんが、本当にそれがエコになるかどうかはシステム全体で見なければなりません。そして、ここまでお話ししてきた内容を考えますと、現時点ではエコとは言い切れないと思っています。

環境に対してという事以外にも人や建物の健康に影響を与える可能性が高くあります

建物の耐震性のイメージ

太陽光パネルを屋根に載せることは予想以上に耐震性を低くします。

ここまでは単にエコという切り口で見てきました。他にも太陽光発電は住んでいる人や近隣の人、そして太陽光パネルを載せる建物にも悪い影響を与えることがあります。

例えば屋根に重量があるものを載せることで、建物の構造バランスが悪くなるため、建物の耐震性は悪くなります。また、屋根へのパネルの取り付け方によっては、雨漏りのリスクも高くなりまし、屋根の耐久性も落ちる可能性が高くなります

そして住んでいる人への影響も考えなければなりません。太陽光パネルやパワーコンディショナーによる電磁波の影響や低周波音の影響などです。これらの過敏症になる率は低いとはいえ、ゼロではありません。そして一度過敏症になってしまうと、その家ではもちろん一般的な家でも生活することが難しくなります。

これら人や建物への影響については「4-02-02.太陽光発電システムにはデメリットも多くあります」のページで解説していますので、そちらもご覧ください。

また太陽光パネルや関連システムは電気設備ですので、電気火災の可能性もあります。ガスや石油と違い、電気は火災と関係が無い、とお考えの方も多いかもしれませんが、実際には電気火災はそれなりの率であります。そして電気火災は通電の危険もあるため、消火活動も簡単ではありません。あくまでも万一の話ではありますが、このようなリスクを含んでいるということを予め知っておきましょう。

エコ設備は枯れた技術で作られた設備の方が安心です

枯れたイメージ

いわゆる枯れた技術で、安定した設備や建材を使う方が安心です。

ここまで太陽光発電について、あまり良くない話をしてきました。私は太陽光発電という技術そのものに否定的ではありません。ただ、まだこれら太陽光発電に係る技術は完成形からほど遠いと思っています。

これは設備でも建材でもそうですが、新しい設備、新しい材料はどんな問題が出るか、事前に予想が付きません。アスベストの問題も実際に問題が出始めて初めて問題であると分かった訳ですし、断熱材についても、建物の壁内で結露が発生して、初めて気密(水蒸気密)の重要性が分かるなど、当初には予想できなかった問題が出てきます。

ですが新しい問題は、実際に問題が出始めてから、解決されるまでは、数十年単位の時間が必要になります。アスベストやシックハウスの問題も、問題ではないかと言われてから法的な規制が整うまで20年以上の期間が必要でした。断熱材の気密性については、未だにきちんと施工されていないケースも多くあります。新しい技術が正しく普及するには本当に長い時間がかかるのだと思います。

それを考えると、材料や設備で新しいものを入れ過ぎるのはリスキーです。特に住まいは長い時間、その場所で生活します。そして大人だけではなく、小さな子どももその場所で生活し、大事な時期を過ごします。その期間を、結論が出ていない材料や設備の家に住まわせるのは、私はあまりお勧めできません。健康被害を起こす可能性がどのくらいあるのかが分からないからです。

どの材料が安心か、どの設備が問題ないかを一言で言うのは難しいのですが、考え方としては昔から使われている材料や設備については安心度合いが高いと思います。いわゆる枯れた技術で作られたものです。

昔からあるものは、それなりに理由があるために残っているものが多いですし、また問題があった場合にも、その問題が既に解決されていることも多いため、新しい材料よりは安心感があります。

設備についても、何が危険で何が安全かの判断は簡単ではありません。ただ迷った時はなるべく安全サイドを選ぶ方が危険が少ないのではないかと私は思っています。

ふくろう不動産はこのような考えで不動産の案内を行っています

ふくろうのイメージ

ふくろう不動産は一般の不動産会社や住宅会社が語らない情報も公開したうえで、お客様に判断してもらうスタイルです。

一般的にこのような太陽光発電のデメリットや問題点について、住宅会社や不動産会社の人が説明することはありません。住宅を販売する、という立場で考えれば、太陽光発電システムのような価格が高いものをお客様に付けてもらう方が、売り上げや利益が上がるからです。

それ以上に、住宅会社や不動産会社の人はこのようなマイナスの情報をあまり知りません。付き合っている会社が主に設備などを供給している会社であるため、メリットを多数聞くことがあっても、デメリットを聞く機会があまり無いからです。

ですが、一歩別の角度から見るようにすれば、様々なデメリットも見えてきます。メーカーや販売者の話す内容を聞いているだけでは、何がエコなのかということを理解できません。様々な角度から情報を集め、自分で考えなければエコを理解するのは難しいと思います。

当社:ふくろう不動産は売買仲介専門の不動産会社です。ですので、太陽光発電システムを入れる入れないという話に利害関係がありません。そのため、第三者的な立場で、太陽光発電システムについて意見を述べることが可能です。

太陽光発電システムに限らず、どんなエコ設備を入れるかは最終的にはお客様の判断で決めることになります。ただ、間違った情報に振り回されないように、勢いだけで余計な費用を出さずに済むように、アドバイスをさせて頂いております。

当社はこのような方針で活動しています。ご質問やご意見などがございましたら「お問い合わせフォーム」などをご利用の上、当社までご連絡ください。ご連絡されたからといって、当社からしつこい営業を行うことはありませんので、ご安心ください。

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