戸建住宅を建てる建設業者は、その規模や経営の進め方によって、呼ばれ方が異なります。正確な定義ではありませんが、建設会社は、注文住宅が中心で全国展開をしているハウスメーカー、建売住宅などを中心としているパワービルダー、小規模でエリア限定としている工務店などに分かれます。

このページではその中の工務店について、得意なジャンルや不得意なジャンルについてお話しします。イメージとして年間1~30棟くらいを建てている建設会社だとお考えください。

工務店は会社によってレベルの違いが本当に大きくあります

ただ一般的に工務店はこう、と言い切るには問題があります。それは工務店はその会社によって、技術レベルが本当に大きく異なるからです。トータルで見ればハウスメーカー以上と思える工務店もあれば、よくこれでプロと言えますよね、と聞きたくなるくらいのレベルの工務店もあります(あくまでも私見です)。

このレベルはざっくりと「誠意」の部分と「能力」の部分に分けられます。誠意とは、意図的な手抜き工事をしない、ですとか、コスト削減のために悪いと知りつつ問題のある材料を使わない、といったようなことです。最近では明らかな手抜き工事は減っているような印象を受けますが、完全に無くなった訳ではありません。

悪徳のイメージ

悪徳業者は昔と比べれば少なくなった気がしますが、それでも完全に無くなった訳ではありません。

もう1点の「能力」については、この不足による問題は今でも結構多いと思われます。新しい法律や技術に無関心な工務店もたくさんありますし、下請けなどで工賃を大きく下げられ、普通の施工では割に合わないため雑な施工になる場合もあります。

もっともこれは特に工務店に限らず、ハウスメーカーやパワービルダーであってもそうなので、工務店だから悪いという話ではありません。ただ、工務店に関してはこの能力のレベル差がハウスメーカーやパワービルダー以上に大きいように感じます(しつこいようですが私見です)。

ですので、工務店に建物の建築を依頼する際には、その工務店は本当に建設能力が高いのかどうかを事前に確認する必要があると思っています。

戸建住宅の建築では、知り合いだから、とか親戚だからという理由で工務店に仕事を頼むケースも多いと思います。知り合いであれば、「誠意」の部分では問題ないと思いますが「能力」の部分まで担保されている訳ではありません

大きな買い物ですので、こういった能力が高い工務店かどうかは慎重に見極めが必要なのではないかと思っています。

レベルの高い工務店への建物建設依頼は本当にトクだと思っています

ちなみに私は工務店を批判したり、使わない方が良いと主張している訳ではありません。実際にこの話をしている私は、自宅を工務店の設計・施工で建てています。そして今でも大変満足しています。

先程は工務店はレベルの差が大きいという話をしました。そして、レベルの高い工務店はトータルではハウスメーカーやパワービルダー以上の能力があると私は思っています。もちろんすべての工務店に当てはまる話ではありませんが、工務店には次のようなメリットがあるケースがよくあります。

自然素材を使った建物を割安で建てることが可能です

自然素材イメージ

無垢材や左官材など自然素材を使う住宅は工務店の方が得意なケースが多いようです。

これはその工務店にもよりますが、自然素材を使った建物の建築は、ハウスメーカーなどよりも工務店の方が得意としています

ハウスメーカーであれば規模が大きいため、建材や設備などは一定のロットで仕入れます。そのため建材を安く仕入れることができるというメリットがあるのですが、数が出ない自然素材などは大量仕入れることが難しいため、このメリットがあまり出せません。

そのためハウスメーカーではそれほど多く自然素材を使うことがなく、その結果材料の安さが出ないという事で割高になりやすくなります。

さらにはそのような特殊な工事が少ないため、特殊な工事を得意とする大工さんや職人さんもハウスメーカーには少なくなるという循環で、ますますハウスメーカーでは自然素材の建物を建てるのが難しくなります。仮にできたとしても価格が高くなりやすいという問題も出ます。

これが工務店であれば、もともと規模が小さいため、材料仕入れで大きく悩むこともありません。また、自然素材を得意としている工務店であれば、そういった素材を使い慣れている職人さんも確保しているため、価格の割には自然素材を多く使うことができます。

高気密高断熱に大きく特化した建物を建てることも可能です

寒さのイメージ

断熱については意識の低い工務店も多いのですが、一方マニアックなくらいに断熱に注力している工務店もあります。

こちらもハウスメーカーとの比較になっていまいますが、ハウスメーカーでは断熱材なども大量に仕入れます。そのため断熱材の種類や仕様などがある程度決められており、施工方法も一定の性能を出すように決められています。

ただ、ハウスメーカーの断熱は一部を除きとても高性能というレベルのものではありません(例外もあります)。長期優良住宅の温熱環境のレベルを満たす水準ではありますが、更に高性能を求めるような建物を作るには、もともとそのような仕様になっていないため、こちらも大変高額なものになりやすくなっています。しかしこれも断熱を得意とする工務店であれば、割安に高い断熱レベルの住宅を建てることも可能です。

一方断熱の意識が低い工務店もたくさんあります。断熱材を入れておけば良い、くらいの認識の工務店もまだまだたくさんありますし、断熱材の詰め方がひどい現場も見たことがあります。ですので工務店の能力レベルを判断するには、実際に断熱施工された現場を1度は見ておきたいところです。

一般的にはローコストで注文住宅を建てることができます

安いイメージ

同じ性能であればハウスメーカーよりも安く建物を建てられることが多いようです。

これも工務店によって差がありますが、一般的には同じ性能の住宅であれば、ハウスメーカーよりも安く建物を建てられることが多いと思います。

ハウスメーカーは独自の工法を持っていることが多いため、純粋な比較はできないのですが、耐震性や断熱レベルなどが同水準であれば、通常は工務店の方が建設費は安くなります。

大手の会社では宣伝費やモデルルームなどの費用、更には営業マンの経費などがかかるため、材料の仕入れで安くできたとしても、最終的な価格では高くなりがちだからです。

一般的には工務店はデザイン力に劣ると言われています

デザインのイメージ

一概には言えませんがで事案に難がある工務店もあります。

では、工務店の苦手なジャンルとはどのようなジャンルでしょうか。一般的にはデザインに難があると言われています。確かに建築家の住宅と比べるとデザイン性が劣る建物が多いかもしれません。もっともこれは設計士のデザイン力に左右される分が多いので一概には言えません。

ただデザインが劣る理由の1つには工務店が設計を行う場合、ある程度作りやすさや失敗のリスクが低いような設計をしたがるから、ではないかと思います。

例えば工務店の人には天窓やハイサイドライトの設置を嫌がる方が多くいます。これらはいくらうまく施工をしたとしても、雨漏りのリスクが高くなりますし、構造的にも弱くなるからです。

雨漏りが出た場合には、その責任は施工者である工務店にかかってきますので、こういったリスクが高い建物は設計したがらず、結果として一般的なデザインの建物に落ち着きやすいということもあります。

ハウスメーカーと比べてもデザイン力が劣る工務店の方が多いかもしれません。特にファサード、外観についてはハウスメーカーの方が良く考えられていると思われることが良くあります。

ただ、最近では工務店も外観には気を使うようになってきており、昔ほどの差ではなくなってきている感じを受けます。このあたりは感覚的な話も多いので、人によっては意見が違うかもしれません。

新しい建材や設備の導入には慎重です

最新設備の家のイメージ

すべての工務店がそうではありませんが、建材や設備に関しては保守的な方が多いような感触があります。

また、工務店の方は一般的に新しい建材や設備の導入については慎重な方が多い気がします。施工する立場から考えれば、なるべく慣れたものを使いたい、という意識が強いのではないかと思います。

もっとも新しい設備などでトラブルがあることもありますから、必ずしも悪いとは言い切れない気もします。ただ、最新の建材や最新の設備を入れた住宅を建てたい、と考える人には合わないかもしれません。

戸建住宅であれば何でもできる訳ではありません

なんでもあるのイメージ

なんでもやります、というタイプの会社は経験や実績を見たいところです。どちらかと言えば、特徴がある会社の方が選びやすい気がします。

時々、住宅のタイプで何でもできます、という工務店もあります。構造で言えば、木造軸組でも2×4でも大丈夫ですし、自然素材をふんだんに使う住宅でも、高機能住宅でも大丈夫という会社もあります。ただ本当にすべてのタイプについて大丈夫なのか、ちょっと不安が残ります。

特徴のある住宅には各々それなりにノウハウがあります。こういったノウハウがあまり無いのに、慣れない住宅を作り、本当に問題がない住宅を建てることができるのか、私には不安が残ります。

安心という面から見れば、その工務店が以前建てたタイプの住宅を見て、似たタイプの住宅であればノウハウがあると思われますが、全く違うタイプについては、100%信用するのは危険ではないかと思います。

長期優良住宅やフラット35の認定を嫌がる会社が未だにあります

住宅のイメージ

得意ではないタイプや普段作らない住宅のタイプを不要と言い張るのは止めて欲しいものです。

最近では少なくなっていると思いますが、未だに長期優良住宅の認定やフラット35の認定を嫌がる工務店があります。また、できなくはないけれども、大幅に費用が上がる工務店もあります。

1番問題だと思われるタイプが、これらの認定は必要ない、と言い張る会社です。長期優良住宅でなくてもしっかりした建物が作れる、フラット35よりも民間の住宅ローンの方が安いのでフラット35仕様は不要だと言い張る工務店もまだまだ多くあります。

長期優良住宅はハウスメーカーの建物用であって、工務店の建物ではない、と主張する工務店も以前はありました。

もちろん考え方は色々あって良いのですが、こういった認定を取れる建物を作る技術や経験が無いために、このような主張をしている会社も多数見受けられます。主張は主張として聞くとしても、しっかりした理由がなくこのような主張をする会社には注意して接する方が良いと思います。

ここで述べているのはあくまでも私見です

以上ここまで工務店について、色々とお話ししてきました。ただ工務店には本当に色々な会社があるため、一口では言い切れません。

またこのページの話は、今までに私が見たり聞いたりした中で感じた内容ですので、すべての内容がすべての工務店に当てはまる訳でもありません。単なる参考意見の1つとして読んでいただければと思います。

また、これらの内容などについて、当社:ふくろう不動産では皆さまからのご意見やご質問・ご相談などを随時受け付けています。ご連絡をされたからといって、後で当社からしつこい営業連絡をすることもありません。ご連絡は「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡をお願いします。

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