エコ設備は太陽光発電だけではなく、他にも多くのエコ設備が売られています。大掛かりなものではエネファームやエコウィルといった給湯とセットにした発電システムがあります。また給湯単体でのシステムとして、エコキュート、エコジョーズ、エコフィールなどがあります。どれも名前が似ていますが、システムは大きく異なります。

給湯系のエコ設備がエコであるというのは、次のエコ要素のいずれかに該当するからです。そのエコ要素とは
1.CO2(二酸化炭素)を発生しない
2.発電時や燃焼時に出る無駄な熱を給湯に再利用する
3.電気の送電ロスが無い
4.熱を発生させるのではなく、熱を移動させるだけなので効率が高い
の4つです。

エネファームは1.と2.と3.が、エコウィルは2.と3.が、エコキュートは4.のみが、エコジョーズとエコフィールは2.のみが対応しています。

これらのエコ設備は本当にエコなのか、また他のデメリットは無いのかについて考えてみたいと思います。

エネファームは家庭用燃料電池のことです

まずはエネファームです。エネファームとエコウィルは両方ともガスを使いますが、発電のシステムは大きく違います。エコウィルではガスを燃やして発電機を動かしますが、エネファームではガスに含まれている水素と空気中の酸素を反応させて発電するというシステムになっています。

エネファームのエコ要素は3つあります

電池のイメージ

エネファームはガスを利用する燃料電池です。

このシステムの何がエコかと言えば、
・発電に何かを燃やすわけでは無いのでCO2が発生しない
・発電時に発生する熱を給湯に利用する
・家のすぐそばで発電しているので、送電によるエネルギーロスが無い
の3点がエコと言えるからです。

3番目の送電ロスについてはエコウィルの話の際に説明します。

2番目の何かしら発生する熱を給湯に利用する、というのはエコウィル、エコジョーズ、エコフィールでも行われています。特にエコジョーズとエコフィールは、その点でしかエコと言える部分がありません。そのくらい、排熱を使う、無駄になる熱を使うという手法はポピュラーな手法になっているようです。

1番目のCO2が発生しないというのは燃料電池すべてに言えるメリットです。自動車でも燃料電池車が売りに出されていますが、こちらも排ガスが発生せず、基本的に発電後に出るのは水だけ、というシステムです。

エネファームの価格も発売当初は300万円以上していましたが、今では100万円台のシステムも売られており、補助金などを併せれば100万円近くで設置することも可能となっているようです。

ただこのエネファームが本当にエコになるのかどうかはよく分かりません。排熱を利用するというだけならエコジョーズの方が機構が簡単な分だけ安全性も高いと思われます。

CO2を発生させないという点だけ見ると確かに良いのかもしれませんが、それは燃料電池単体で見た場合です。燃料電池の燃料に、純粋な水素だけを使えば確かに、水しか発生しないのですが、その水素単体を作るのにもエネルギーが必要ですし、保管なども大変です。

そのためエネファームでは水素単体ではなく、ガスから水素を取り出しているのですが、そのため余分な成分は何かしらの処理をしなければなりません。この処理のためにエネルギーもかかりますし、このために排出するCO2はゼロとはならないようです。

エネファームはエコの面より住人の健康に悪影響を与える可能性が残ります

騒音被害のイメージ

エネファーム、エコウィル、エコキュートは低周波音被害を受ける可能性、与える可能性があります。

エネファームで気を付けたいのは、エコの面よりも住んでいる人や隣人に与える健康の影響です。具体的には低周波音の問題です。すべてのエネファームに当てはまるかどうかは分かりませんが、エネファームの中には低周波音を発生させる機種があります

エネファームは燃料を燃やしている訳ではないので音がしない、と思われがちですが、実際にはそれなりに音が出ています。また一般の人の耳では聞くことができない超低周波音である16Hz前後の音を大きく出している機器もあるようです。12.5Hzの音圧レベルが大きい機器もあると聞いています。

耳で聞こえないからといって影響が無い訳では無く、実際にこれらの超低周波音を聞き続けたことによって、低周波音過敏症となり、体調を悪くされる方はたくさんいらっしゃいます

現在エネファームを作っているメーカーは、低周波音被害を認めていません。認めていないために、どの機種がどのくらい低周波音を出しているかの公開データもありません。そのため、どのエネファームがどのくらい危険性が高いのかを判断することは難しくなっています。

エネファームを設置された家庭や隣地の家庭のすべてに低周波音被害が出ている訳ではありませんが、一定の率でこのような健康被害を起こす可能性があります。

また現時点では低周波音過敏症の症状が出ていないとしても、今後も出ないとは限りません。私見では、エネファームは低周波音過敏症となるリスクがあり、かつエコ度合いがはっきりしていませんので、導入についてはお勧めしていません

エコウィルは家庭用のガス発電システムです

燃やすイメージ

エコウィルはガスを燃やして発電しています。

エコウィルもガスを使って発電する、という点ではエネファームと同じですが、違う点はがすを燃やしてエンジンを動かし発電しているという点です。考え方としては火力発電所と同じで、通常の電気は火力発電所で作った電気を電線を通して利用しますが、エコウィルでは家の隣に小型の火力発電所がある訳です。

これの何がエコかと言えば、
・発電時の排熱を給湯にも利用する
・家の近くで発電しているため、送電によるエネルギーロスが無い

という点がエコ要素となるからです。先程お話ししたエネファームのエコ要素のうち、CO2を出さないという点を除けばエコウィルのエコ要素になります。

排熱利用については、他のエコ機器と同じです。送電ロスが無いというのは確かにエコの要素はあると思います。発電所からの距離や他の要素にも影響されますが、送電によってエネルギーの60%以上が無駄になってしまうようですので、それが無いというのは確かにエコの要素があるのでしょう。

ただ、家庭用の発電機と専門の火力発電所の発電機と効率が同じとも思えません。この効率の差と送電ロスによるエネルギーの損失とどちらがエコなのかは、私も良く分かっていません。

ただ、このエコウィルも騒音・低周波音の問題が出ます。こちらはそもそもガスエンジンで発電していますので、騒音はゼロにはならないでしょう。こちらも機種によるでしょうが、バイクのエンジンのような音がします。こちらも聞こえる音だけでなく、聞こえない超低周波音の問題も出ていると聞きます。

エコウィルは住んでいる人や隣地の人の健康に悪い影響を与える可能性が、エネファーム同様にあります。エコのために人の健康に悪影響を与えるのであれば、それはやはり問題ではないかと思います。

エコキュートは効率が良いのが最大の特徴ですが…

エコキュートのイメージ

エコキュートは確かにエコだと思いますが、低周波音被害の可能性が高いのが難点です。

エコ設備では太陽光発電と並んで普及が進んでいるのがこのエコキュートです。こちらは単なる給湯器ですので、発電する機能はありません。ただ、昔の電気給湯器と比べて、効率が良いため、エコ設備と呼ばれています。

なぜ効率が良いかと言えば、電気で何かを発熱させてお湯を沸かしているのではなく、空気の熱を移動させることで熱を取り出しているため、消費する電気の3倍から4倍の熱を得ることができるからです。

一般的なエネルギー保存の法則であれば、1のエネルギーが2や3になることは無いのですが、これは熱の発生ではなく移動という使い方をするため、効率が高くエコであると言われています。

またエコであるというだけでなく、光熱費が安くなる、というケースも多いため、毎年どんどん増えているエコ機器でもあります。光熱費が安くなるのは、価格が安い深夜電力を使うからであって、エコであるからという理由ではないのですが、経済的なメリットに加え、エコであるという理由で普及が急速に進んでいる印象を受けます。

しかし、このエコキュートは低周波音問題を1番良く聞くエコ機器でもあります。エコウィルやエネファームも低周波音を出しているのですが、出荷台数がエコキュートほど多くないため、エコキュートの低周波音問題が目立ちやすいという点もあるでしょう。またエコキュートは稼働時間が深夜になることが多く、そのため他の音と区別もしやすく、問題が表に現れやすいという点もあるのではないかと思います。

このエコキュートの低周波音問題は私自身も良く聞きます。実際にお客様に頼まれてエコキュートの稼働時に音圧レベルを測定してみますと、特定の周波数のみ大きな音を出している低周波音を計測することができます。

このエコキュートは稼働時間が、電気代の安い深夜に稼働することが多いため、午後11時から午前7時頃までのどこかで稼働することがほとんどです。そのため、睡眠時間にこのエコキュートによる低周波音が感じられ、不眠を訴えられるケースが多くなっています。

エコキュートはエコ、という観点から見れば確かにエコだと思います。ただ、これだけ低周波音問題が多く発生している状況を考えますと、低周波音も含めた騒音問題を技術的に解決できるようになるまでは、エコキュートは積極的にお勧めしたくない機器の1つでもあります。

エコジョーズは効率が良いガス給湯器です

ガスボンベ

エコジョーズは少し効率が良いなったガス給湯器です。

エコジョーズはこれまでもあったガス給湯器の発展形です。いままで捨てられていた排熱を給湯にも利用するだけですので、効率が上がったガス給湯器と考えて構いません。そのため、機構自体はシンプルですし、価格も他のエコ設備と比べると高くありません。

また使い方は一般的なガス給湯器と同じですので、お湯を使う際にのみ稼働する機械です。この機器も騒音や低周波音の問題が全くない訳ではありませんが、稼働時間が短いために、ほとんど問題になっていません。

個人的には給湯系のエコ機器であれば、このエコジョーズはお勧めです。別のページでは、新しい設備や材料はどんな問題があるか分からないので、極力枯れた技術のものを使いましょうという話をしました。そういった点で見ると、エコジョーズは排熱を使うという事以外、新技術を使っていません。昔からある技術が中心の機器ですので、新たな問題が出る可能性は低いのではないかと思っています。

エコフィールは灯油が燃料ですが首都圏では見かけません

灯油のイメージ

エコフィールは燃料が灯油になるだけで、考え方はエコジョーズと変わりません。

エコフィールは灯油を使った給湯器です。こちらも排熱を利用するという点ではエコジョーズと変わりません。燃料がガスであるか、灯油であるかの違いだけで、考え方はエコジョーズと同じです。

どちらかと言えば北国中心で使われている機器のようで、首都圏ではほとんど見かけることがありません。燃料が灯油のため、灯油タンクなどを設置しなければならず、安全には注意しなければなりませんが、その点が問題ないのであれば、こちらもお勧めのエコ設備の1つになります。

個人的にはエコジョーズ以外はお勧めしにくい設備です

エコのイメージ

エコと健康のバランスを考えるとエコジョーズ以外はお勧めしにくいです。

このページでは給湯に係るエコ設備を紹介してきましたが、首都圏に関して言えば、お勧めはエコジョーズだけです。エコフィールもお勧めではありますが、首都圏では灯油の給湯器が一般的ではありません。

エコジョーズ以外のエコ系給湯設備は低周波音の問題を完全にクリアできません。ひょっとすると機種によっては低周波音を出さない機器もあるのかもしれませんが、そのあたりもはっきりしません。また機器の取り付け方法によっても、騒音や低周波音の出方や大きさも変わってくるようで、はっきりしない部分がたくさんあります。少なくとも今の段階では、リスクがある機器はお勧めしません。

低周波音については色々な意見が出ています。これらの機器は低周波音を出していない、という意見や、低周波音が出ていても人の健康に影響が無い、という意見もあります。ただ、私が今まで調べた範囲で言えば、これらのエコ設備で低周波音を出している機器がたくさんあります。また健康に影響がない、という意見にも明確な根拠はありません。

低周波音が健康に影響が無い、と主張される方の意見は
・耳に聞こえない音は健康に影響がないはずだ
・自分には聞こえないし、悪影響もない
という意見の2つに集約されます。

ですが、すぐに体に感じられなくても悪影響を及ぼすものがたくさんあることを考えると、聞こえないから影響が出ないという意見には根拠がありません。視覚の例で言えば、紫外線は目に見えませんが、人体への影響はあります。これが聴覚であれば大丈夫であるとは言い切れないでしょう。

また自分自身は問題がなくてもすべての人に問題がないとも言い切れません。花粉症で無い人が、自分には影響がないので、花粉そのものが存在しない、ということは無いはずです。

実際に私に相談の連絡をされる方の中には、エコキュートが原因で体調を悪くしたという方からたくさん相談の連絡を頂きます。そのすべてが本当にエコキュートが原因だと私が確定できるものではありませんが、状況を聞く限りでは明らかに関連性を感じます。

エコや低周波音についても色々な意見があります。ですが、1度低周波音の過敏症になってしまうと、そこから回復するのは本当に大変です。そして、自分で機器を選べるのであれば、わざわざこのようなリスキーな機器を選ぶ必要はないと思います。

ふくろう不動産では低周波音測定器を所有し、調査も行っています

低周波音測定器

人の耳では聞き取れない超低周波音も検知可能な測定器を利用しています。

当社:ふくろう不動産は売買仲介専門の不動産会社です。ですので、住宅の設備の選定には何の権限もありません。ただ、私を通して不動産を購入されるお客様には、なるべく危険を避けて欲しいと考えています。

そのため、自社でも低周波音の測定器を所有しており、お客様が購入予定の土地や戸建住宅付近の騒音や低周波音をチェックし、危険が高そうな場所であれば、その旨お客様にアドバイスを行っています。

また、低周波音の測定や電磁波の測定をセットにした物件検査も有料ではありますが行っています。検査については「6-01.健康に住めるための建物検査を行っています」のページをご確認ください。

このページでお話ししました内容の一部を動画でも説明しています

この記事内でお話ししました内容を動画でも解説してみました。その動画がこちらです。

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