エコであると言われている住宅タイプの1つに低炭素住宅があります。低炭素住宅とは国が認めたエコ住宅のスタイルの1つです。考え方としては、住宅の断熱性能を高くして冷暖房費で余計なエネルギーを使わなくても済むという点と、1次エネルギーの消費量が少なくて済むため環境への負荷が小さいという点の2つについて評価しています。

1次エネルギーと言うのは、自然から採取されたままの物質をエネルギー源とするもので、石油や石炭などで使うエネルギーは1次エネルギーに分類されます。電気などは、石油などを使って発電して作っていますので、2次エネルギーと呼ばれます。

ただこのページではあまり複雑なことは考えません。ガス代が安いとか電気代が安いとか、エネルギーの種類が複数あると計算しにくいために、計算しやすくするために、元の1次エネルギー換算でどのくらいのエネルギーを使っているのか、という判断基準を作ったものだと考えて構わないと思います。

このページでは、このエコ住宅の1つのタイプである低酸素住宅についてお話しします。

断熱は建物から逃げる熱と、日射で入る熱を計算します

先程は断熱性を高くして、とお話ししましたが、正確に言いますと、断熱性を高くすることと、窓などから入ってくる日射熱をどのくらい取り入れるかの両方を計算して、併せて断熱性能を考えています。

断熱性は屋根や壁の一定面積当たりの逃げる熱量を計算します

熱が逃げるイメージ

建物全体でどのくらい熱が逃げるのかを示す指標があります。

断熱性が高い、というメリットを色々な住宅メーカーや建材メーカーが主張しています。その中にはきちんとした主張もありますが、中にはごく一部の性能だけをアピールして断熱性が高い、と言われている場合もあります。

建物全体の断熱性が高いのかどうかを考えた場合には、この屋根や壁の一定面積当たりの逃げる熱量と言う考え方は役に立ちます。これは外皮平均熱貫流率と呼ばれ、一般的にはUA値(ゆーえーち)で表現されます。この数値が低いほど、建物の断熱性能が高いことになります。

この数値がなぜ役に立つのかと言えば、建物の外に面している部分の熱の逃げ方の平均値を示しているからです。例えばどんなに性能が高い断熱材を使って壁の断熱性を上げても、窓が多く、窓の断熱性能が低ければ、建物自体のUA値は良くなりません。建物の断熱性能全体を示すのに、UA値は分かりやすい指標です。

数字は見るだけでも嫌いという方は多いかもしれませんが、この数値を知っておくだけでも、イメージに惑わされずに済むことはたくさんあります。

先日建物の知識がほとんどない知人と話をした際に、○○社の建物は断熱性が高いから良さそう、という話を聞きました。なぜそう思うのかを聞いたところ、外壁材の下に火が付けられており、その外壁材と思われる板の上をヒヨコが歩いているコマーシャルを以前見たことがあったため、そんな高性能の断熱材(実際はそれは断熱材ではなく外壁材なのですが)を使っている会社であれば、性能が高そうだ、という判断だったようです。

実際にはその外壁材そのものは断熱性能が高いものではありません。ただ、そのコマーシャルのイメージがあまりにも強烈だったので、その会社の建物がイコール断熱性が高いと思い込んでいたようです。他にも一般の方は断熱については思い込みだけで間違った知識を持っていることが良くあります。ただ、これも建物の断熱性を数値で把握できるようになれば、イメージだけでごまかされる危険は少なくなります

ちなみにこのUA値は、エリアによって基準値は異なるのですが、千葉県内であれば基準値は0.87です。ただこの0.87という数値はさほど高性能ではありません。しかし、この数値ですら満たさない建物は本当に数多くあります。

新築の戸建住宅を購入される場合、断熱性が高いかどうか心配な場合には、このUA値を販売会社に聞いてみてください。残念ですが、住宅販売会社の営業マンの半分はこのUA値の内容そのものを知らないでしょう。

残りの半分のうち、UA値という言葉は知っていたとしても、販売している建物についてUA値が計算されているのはさらにその半分以下です。また実際に計算されたとしても、基準を満たせる建物はそれほど多くありません。

このUA値の計算方法はさほど難しいものではなく、エクセルがあればフリーソフトなどで簡単に計算できます。建築家では無い私でも、おおざっぱな計算であれば行うことができますし、それほど大変な手間でもありません。

その小さな手間すらかけず、このUA値を公開していない、あるいは計算していない新築住宅については、さほど断熱に対して注意して作られた建物ではない、と考えた方が良いと思います。

UA値とC値については動画でも説明しています

このUA値についてとC値については動画でも説明しています。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

日射については外付けブラインドの有無とLow-Eガラスについてのみ考えれば済みます

日射のイメージ

日射についてはLow-Eガラスと外付けブラインドについて考えましょう。

日射については、それほど深く考えなければならないことはありません。ただ、外付けブラインドの効果とLow-Eガラスの効果については知っておいた方が良いと思います。

外付けブラインドは、その名の通り、窓の外側に付けてあるブラインドです。一般的にブラインドは窓の内側にカーテン代わりに付けられていることが多いでしょう。ですが、省エネという観点から見れば、窓の内側にあるブラインドは省エネ効果は高くありません

日射で温められたブラインドが室内にあれば、そのブラインドが室内の空気を暖めやすく、冷房の効率を悪くするからです。それに対し、窓の外にあるブラインドは、ブラインド自体が温まっても、その熱は外に逃げていくため、省エネ効果が高いと言われています。

この夏場の冷房対策のために、窓のガラスをLow-Eガラスにする住宅も増えています。このLow-Eガラスも実は色々なタイプがあるのですが、一般的には明るさはそのままで暑さを遮るガラスと考えれば良いでしょう。

Low-Eガラスは夏に冷房効率が良くなるため確かに省エネという要素はあるのですが、冬は逆に暑さが室内に入らないために、暖房効果を大きく落とします。

それでも夏の冷房代の方が大きいだろうと思われるかもしれませんが、エネルギー消費量を考えると実は逆です。夏の冷房よりも冬の暖房の方がはるかに大きなエネルギーを必要とします。これは北国はもちろん千葉を含めた関東全域でそうですし、更に言えば鹿児島県であっても計算上は冬の方が大きなエネルギーを使います。沖縄を除くほとんどの地域では、冬場の方が大きなエネルギーが必要なのです。

ですので、年間のエネルギー消費量を考えた場合には、Low-Eガラスを入れない方が省エネ効果が高いケースが多いことになります。そして、先程お話ししたローテクである外付けブラインドの方がはるかに省エネに貢献します。夏はブラインドで日射を防ぎ、冬は逆に日射を取り入れるように、ブラインドの角度を調整すれば良いからです。

省エネと言うと、すぐに大きな設備や建材を思い浮かべることが多いかもしれません。ですが、省エネ効果はちょっとしたローテクの方が効果が高いことがよくあります

この外付けブラインドもそうですが、ブラインドが無くても、葭簀(よしず)なので同様の効果が得られます。低炭素住宅の計算シミュレーションではこの日射についても簡単に計算できますので、興味がある方は試してみてください。

1次エネルギーは実際にWeb上で計算してみることで何が効果があるのかが分かります

低炭素住宅のもう1つの要素は1次エネルギー消費量です。これも自分で全て計算することはできませんが、概算でよければ無料でWeb上で簡単に計算することができます。

住宅・省エネルギー性能の判定プログラム(建築研究所)

1次エネルギー

1次エネルギー消費量判定プログラムの画面
出典:建築研究所

このWeb上のソフトで1次エネルギーを計算するためには、色々な情報をたくさん入れないと正しく計算が行えません。ただ、建物の面積などを簡単に入れた上で、他の分からない個所はそのままの数値でも構いませんので、条件を変えた場合1次エネルギーがどのくらい変わるのかを見てもらうだけでも、何が省エネ効果があるのかはある程度分かります。

例えばガス給湯器をエコキュートに代えた場合には、どのくらい年間のエネルギーが変わるのか、数値でチェックすることができます。また太陽光発電などの発電設備を入れることで、どのくらい1次エネルギー消費量に差が出るのかも数値で確認できます。

精度には問題もあるかもしれませんが、今まで何となく環境に良い、と思っていたことが、実際の何割くらい良いのか、どのくらい良いのかという目安を把握することができるようになります。エコ住宅を建てたいと考えている方は、1度このWeb上の計算を行ってみると良いと思います。

ただこの考えは政策的な内容を多く含んでいるように感じます

政治家のイメージ

低炭素住宅の基準は、計算に基づくものもありますが、政策的に決められている要素も大きいように感じます。

低炭素住宅はこのような考え方の住宅タイプです。私はこの考え方自体間違っているとは思っていません。ですが、省エネの計算や考え方には政策的なものが多く入っているように感じます。

政策的なものが入っている、という考えを証明する証拠はありません。ただ、1次エネルギーを減らすためには高効率のエアコンを入れた方が良い結果が出ますし、ガス給湯器よりもエコキュートの方が1次エネルギー消費量が少なくなります。さらには太陽光発電や新しい発電システムなどを入れた方がより良い数値が出る設定になっています。

これは考え方の1つで、この内容はこれで正しいのだろうと思います。ですが、本当に省エネということを考えれば、もっと断熱性能などを強化して、使うべきエネルギーが少なくて済むような形にした方が省エネ効果が高いように感じられます。

それを断熱性能などはそこそこにして、断熱が足りない部分は高効率の設備を入れればOKという形にしている部分や、太陽光発電でエネルギーを作り出せば、作った分はマイナスとして計算できる、という考え方は個人的にはあまり賛同できません。

太陽光発電のページでもお話ししましたが、電気を発電所で作るか、個人の住宅で作るのかの違いはあるにしても、エネルギーを使う事には違いが無いはずなのですが、この分をマイナス計算できることで、太陽光発電の普及を後押しするようにしていると見受けられます。

この章の他のページでもお話ししていますが、省エネであることや環境に良い事と、人や建物の健康に良い住宅であることは必ずしもイコールではありません。特に新しい設備を入れることで健康被害の可能性を大きくしている可能性もあります。

エコという考え方では、この低炭素住宅と言うのは確かに1つの考えではあると思います。またエコであるという根拠もそれなりにあります。ただ、エコと言うのはエネルギー消費量だけで決められるものではありません。長寿命の住宅と言うだけでエコと言う要素がありますし、建材も地元の建材を使うというだけでもエコの要素は出てきます。低炭素住宅ではそういったことは考えられていません。

エネルギー消費量について考えるのは良い事だと思いますし、皆さんにも色々と試してほしい内容もたくさんありますが、1つの切り口だけでエコであると決められるものは無い、という点は予め知っておいて欲しいと思います。

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ふくろう不動産は小さな会社ですが、正しいと思われる情報を包み隠さずにあなたにお話しすることをお約束します。エコ情報についても公にされない話も数多くあります。当社はサイト上でも極力多くの情報を出していきたいと思っていますが、それでも公開できない話がたくさんあります。ただ、こういった情報についても、お客様には全てお話しした上で、お客様に不動産を選んで頂く、というスタイルを取っています。

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