神社があるエリアは自然災害に強いという説は本当ですか?

不動産業界で聞く話に、神社があるエリアは自然災害に強いという話があります。この話がどこまで本当なのかは分かりませんし、完全に正しいか間違っているかの証明は出来ないのですが、私自身が思っている事について、少し述べたいと思います。

津波災害については神社エリアが強いという説があります

神社だけではなく、お寺等があるエリアは自然災害に強いという話を時々聞きます。昔は今のような地盤調査データやハザードマップなどは無かったはずです。ですが、神社やお寺は人が集まる場所ですので、経験則で災害が少ない場所に建てているはず、という話から、神社エリアは災害が少ないという話ができてきたものと思われます。

また別の説もあります。津波などの災害があった場合、神社も被害を受けるのですが、神社はそのまま壊れたままにしておくという訳にはいきません。氏子さんたちが建て直す事になるのですが、災害があった場所に再建するのではなく、次は被害が無かった場所に建てるという事を繰り返した結果、現在残っている神社の場所は過去の災害が少なった場所である、という説です。

こういったお話は他にも多くの方がされています。バイヤーズエージェントの先駆けであるリニュアル仲介さんの代表である西生社長も、「日本の神様が教える安心・安全な土地(出典:LIFULL HOME’S PRESS)」という記事内で、神社がある場所は津波にのまれていなかった話を書かれています。

他にも土木学会の論文に「東日本大震災の津波被害における神社の祭神とその空間的配置に関する研究(出典:J-STAGE)」があります。この論文は東日本大震災の津波災害と神社の被害との関係性を調べたものです。この論文によりますと、スサノオを祀った神社、熊野系神社、八幡系神社の多くが津波被害を逃れている一方、アマテラスを祀った神社、稲荷系神社の多くは被災したとの記述があります。

この内容を見ますと、すべての神社が災害に強いという訳では無さそうです。一方でこれは津波被害についてのみの考察で、他の要素がどうであるかは分かりません。またこの結果だけ見て、アマテラス系や稲荷系がダメと結論付けるものでもないでしょう。実際に論文を見ても、稲荷系がダメという話ではなく、稲荷系の神社は人々の生活に密着しているため、安全な場所を厳選するよりも、人々にとって身近な場所に建てていたからではないか、という推測が語られています。

こういった内容の記事は、不動産選びに直接的に役立つというものではありませんが、参考になる部分もありますし、面白い面もありますので、ご興味がある方は1度目を通してみるのは良いと思います。

ふくろう不動産の場所の近くの神社ついて考えてみました

物事について調べる場合、様々な資料を見たり、他の人の意見を聞くという事は大変重要です。一方でそれらの資料や意見が本当に正しいかどうかはよく分からないという事もあります。そこで、自分で分かる限りにおいて、自分自身で調べて他から得た知識と照らし合わせすると、知識の理解が深まります。そこで当社の近くの神社の配置と、その神社がある場所の地盤について照らし合わせをしてみました。

まずはGoogleMAPで自社の近くを示し、次に「神社」というキーワードで検索してみます。その結果出てきた画面は次のようになります。

ふくろう不動産周辺の神社

ふくろう不動産は住宅地の中にありますが、予想以上に神社の数が多いようです。

ただこれだけ見ましても、これらの神社が自然環境の中で良い場所にあるのかどうかは分かりません。そこで「地理院地図」の地盤が分かるページで照らし合わせてみました。サイトは「地理院地図」>「ベクトルタイル提供実験」>「地形分類(自然地形)」のページです。

このページで、上記の神社がどのような地盤の上にあるのかを確認してみました。その内容がこちらです。

ふくろう不動産周辺の自然地形と神社の位置

オレンジ色の部分が台地・段丘で割と地盤が良い部分です(出典:地理院地図)。

この地図上に、神社がある位置を丸で囲んでみました。地盤が良いと言われている台地上(オレンジ色)にある神社は赤で囲み、地盤が良くない場所にある神社は青で囲んでいます。

見てお分かりの通り、神社はオレンジ色の台地上にある率が高く、10件中8件は台地上にあります。この点だけ見ますと、神社は自然上の立地が良い場所にある率が高い、と言えるかもしれません。しかし、この地図を見ていて何か気づきませんでしょうか?それは台地上にある神社は多いものの、台地とそうではない土地との境に神社があるケースが多いという点です。

例えば花見川近くの神社の位置を見てみましょう。

花見川近くの神社と地盤

見難いかもしれませんが、画像の中に神社は5つあります。

上記の画像の中に神社は5つありますが、その内の1つは地盤が悪いと思われる「後背低地・湿地」にあります。ですが残りの4つは台地上にあります。ただその4つのうちの3つは、台地と他の地盤の境目に近い位置にあります。

ここから考えられることとして、神社自体は確かに地盤が良さそうな場所に建てられているものの、その近くの地盤が良いとは限らない、という事です。神社から台地側に行けば地盤は良いのでしょうが、反対側に行けば、悪い地盤である可能性があります。そう考えますと、神社の近くだから良い、とは簡単には言えないという事になります。

ここから少し南に下がった場所も見てみましょう。

天戸台周辺の神社

こちらには6つの神社があります。

こちらの画像も分かり難いと思いますが、神社は全部で6つあります。その内1つは崖上(紫色の部分)にあり、残りは台地上にあります。ですが台地上にある5つは、どれも他の地盤との境にあります。たまたまこのエリアがそうなのか、何かしらの意味があるのかは私には分かりません。言えるのは、確かに神社単体は良い地盤にある率は高そうですが、その周辺が良いとは限らない、という点です。

このような内容を見ますと、単に神社の近くが良い、と簡単に考えずに、地理院地図の地盤データなどを見て、個別に判断する方が良さそうだと思います。

もっともこれは意見の1つでしかありませんので、この記事を読んでどのように思うかは、読んでいる皆様次第だと思います。

この記事の内容の一部を動画でも説明してみました。

このページでお話しました内容の一部を動画でも解説しています。その動画がこちらです。

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