前ページの「6-03.戸建住宅のインスペクションの費用と内容について」では当社の通常のインスペクションの内容についてお話ししました。しかし一般的な内容を聞いても、どのようなインスペクションなのかのイメージが湧きにくいと思います。そこでこのページでは報告書に記載される内容を説明しながら、インスペクション・建物検査の内容をより詳しく説明します。
概要は事前にお客様からヒアリングします
敷地や建物の概要については、依頼されるお客様から予め確認しておきます。実は建物検査は現地に到着してから始まる訳ではなく、事前に確認しなければならないことがたくさんあります。住所は現地訪問の行先を聞くだけではありません。
周辺の建物との位置関係と検査日の天候を事前に確認します
住所を確認した後に、その建物の周辺の建物やその距離などをざっくりと確認します。実はサーモグラフィカメラを使う時は、日が照っていて日中の温度差がある方が判断しやすくなります。
しかし周辺の建物が密集していると、晴れていても日光が当たらないこともありますし、また外観の撮影もしにくくなります。その場合は調査時間を余分に取れないかなどをお客様に打診する時もあります。
また検査日当日の天候や温度によっても調査のしやすさが異なります。晴れていて日中の温度差が大きな日の方がサーモグラフィカメラの計測結果がはっきりと出やすいので、もし検査日に融通が利くのであれば、1週間の天候スケジュールを確認し、検査に適した期日をお願いするようにしています。
もっともお客様や売主さんの都合もありますので調整できないケースもあります。その時にはその条件を記載し、与えられた条件の中で検査を進めることになります。
まずは外観の目視と撮影から行います
検査日当日は建物の外観を確認し撮影します。まずはざっくりと外観を確認し、構造的に弱そうなところ、雨漏りのし易そうなところを確認します。
外観で雨漏りしやすい場所が分かるのかと思われるかもしれませんが、雨漏りしやすい家にはパターンがあります。そのパターンをある程度は外観で判断することができます(「4-02-01.雨漏りしやすいタイプの戸建住宅について知っておきましょう」参照)。
特に屋根については遠くから望遠カメラなどを使って撮影します。これは後から写真を拡大し、穴や割れなどの有無を確認します。新築ではあまりありませんが、中古住宅の場合はそれなりの率で屋根や外壁に割れや穴などを見つけることができます。
通常の目視だけですと見つけられないケースが多いので、色々な角度から撮影し、後から1枚1枚拡大して調べます。この建物では問題ありませんでしたが、例えば下の写真のような例もあります。
報告書では図面や写真を多く使い、分かりやすく説明できるよう心掛けています
建物の傾きチェックは、どの面を調べたかを図面上で示し、参考例を1点写真で紹介しています。この建物では傾きが認められませんでしたので、この説明は簡単ですが、1か所以上に傾きが見つかった場合にはこれらの写真や図面説明はもっと多くなります。
サーモグラフィカメラの内容説明も多く使います
サーモグラフィカメラを使い、外壁の水の残り具合をチェックし、その後に室内側から同様に水の残り具合をチェックします。
図面でどの場所に問題がある可能性があるかを示し、サーモグラフィカメラの画像でその問題の根拠を示します。上の図では外壁側から水がある可能性を示し、その後に同じ場所の室内側では確認できなかった旨の説明をしています。
防水は外壁側の1次防水と防水シートなどによる2次防水がありますが、外から水が確認できて室内からは確認できない場合には、1次防水に問題はあるものの2次防水がきちんとできていると思われます。
この建物では2次防水ができていると思われ、実際には雨漏りは起きていませんが、今後この箇所から雨漏りを起こす可能性があることを示しています。
サーモグラフィカメラで200枚以上の写真撮影を行います
報告書にはサーモグラフィカメラの画像がたくさん掲載されますが、それでも報告書に載る画像はほんの一部です。実際にはサーモグラフィカメラを使って撮影する枚数は一棟の戸建住宅で200枚以上になります。それを撮影後会社に戻り、1枚1枚温度幅などを調整しながら問題がないかどうかを画像チェックで判断します。
報告結果の説明が検査日当日ではなく、翌日以降になるのは、このチェック時間が必要なためです。実際にはこのチェックだけでも2時間以上かかります。
床下の撮影とチェックも行います
当社のインスペクションでは床下のチェックも行います。本来であれば床下に潜り込んですべての個所をチェックしたいのですが、入りにくい床下が多いことや、入り込むことで万一建物にダメージを与えることがると取り返しが付きません。
そこで床下探査ロボットを使い、見えない床下部分もチェックしています。床下の地面の状態にもよりますが、人が入れない部分でもロボットが入ることができるスペースがあれば、ロボットを使った撮影し、床下をなるべく広い範囲でチェックします。
換気口からもできる範囲でチェックします
換気口からも取れる範囲で床下を撮影します。こちらでもある程度床下の状況を知ることができます。ただ最近の建物は基礎パッキンなどの利用が増え、換気口が無い戸建住宅も増えてきました。その建物にはこのやり方は使えません。
給湯器や外壁も一通りチェックします
また、外観チェックで分かった内容についても報告書に記載します。外壁については、クラックやシーリングの切れなどについて報告しています。
なるべく図や写真で説明するようにしています
当社の報告書はこのような形式で作られています。実際にはここで挙げた内容だけではなく、もっと報告事項が多い報告書になります。図や写真は20項目ほどで作成しますが、問題が多く見つかった場合にはその分項目は増えていきます。
ふくろう不動産のインスペクションはこのような形で行っています。より詳しい内容につきましては、ふくろう不動産までお問い合わせください。お問い合わせは「お問い合わせフォーム」のご利用が便利です。