このページでは、測定機器を使うのではなく、自分の目や感覚で土地や建物のチェックをしている内容についてお話しします。
前のページまでで、測定器を複数使い、土地・建物についてチェックをしてきました。しかしこれだけではまだ不十分です。これら測定結果に加え、人の目、感覚で問題がないかどうかを見なければなりません。

実はこの部分が測定以上に重要だったりします。人の感覚は結構優れたもので、問題がある建物はなんとなくおかしな印象を受けることがあります。測定はどちらかといえば、そのおかしな感覚が正しいかどうかを確認するために使うと言ってもよいかもしれません。

床下チェックは嗅覚をフルに使います

例えば床下のチェックです。通常の戸建は床下点検口が付いています。次の写真は、物置の床の一部が点検口となっていた例です。

床下点検口

床下点検口の写真です。この住宅では階段下のスペースに点検口を設けています。キッチンや脱衣所の下に設けるケースも多くあります。

本格的な点検であれば、ここから人が入り込み、中をチェックします(ふくろう不動産では床下探査ロボットが調査します)。また床下の写真も多く撮ります。ですがその前に感覚が役に立ちます。この場合は嗅覚です。つまり床下に頭を入れて覗き込んだ時にどんな匂いがするかで、問題を感知できることがあります。

床下のチェックポイントは複数ありますが、特に気を付けなければならないのは腐朽菌などが繁殖していないかです。これは床下の換気がうまくいかなかったり、雨漏りや上下水道管からの水漏れなどで、床下の湿度が高くなると腐朽菌が発生しやすくなります。その場合、少し変な嫌なにおいを感じることがあります。点検口を覗きこんだ瞬間にそのにおいを感じるようだとその建物は危険かもしれません。

土台や大引などが腐っていると取り換え工事などで多額の出費が必要となるのはもちろんですが、そもそもその原因を解決しないと、何度も同じトラブルに巻き込まれることになります。雨漏りが原因であれば雨漏りを、水道管の不具合であれば水道管を直さなければなりません。しかし、こういった修繕は簡単ではありません。その結果大掛かりなリフォームが必要となり、本当に大きな出費となります。

このような変なにおいがする、という分かりやすい例以外でも、その土地・建物から受け取る感覚は大事にしています。

人は土地や建物の色々な問題を様々な感覚器官で感知します

人の感覚

聴覚、嗅覚、平衡感覚など人の感覚をフルに活用してチェックすることも必要です。

例えば内覧する建物内で何か嫌な感じを受けたとしましょう。あくまでも感じ、だけで具体的に何かはっきりとした問題が分かる訳でもありません。しかしその嫌な感じ、は何か原因があるかもしれません。

例えば
1.床がわずかに傾いていて、三半規管に影響を与えている
2.結露や雨漏りで壁の中にカビが発生して、においは気が付かないまでも嫌な感じを与える
3
.ホルムアルデヒドなどの化学物質が多く浮遊している
4.強い電場・磁場などがある
5.床の剛性が低く、歩いた感じが良くない
6.排水などの低周波音など耳に感じられない音を実は感じている
7.断熱や通風が考えられておらず、部屋によって温湿度が大きく異なる

など、何かがあるのかもしれません。

何かおかしいと感じれば、その分様々な測定を慎重に行い、より精度の高いチェックができます。1.であれば水平や垂直をレーザー測定器で、2.や7.であればサーモグラフィーカメラで、3.はホルムアルデヒドだけなら検知器で、4.は電磁波測定器で、5.は内視鏡などで床下チェックを入念に、などである程度の確認ができます。

ただこれは感覚が先に注意を促しているからで、先に測定器ありきではありません(もちろん変な感覚がなくても一通りの調査は行います)。この感覚と科学的な測定とをうまく組み合わせることで、より安全な不動産をお客様に提供したいと考えています。

ちなみに6.の音については、どのような対処策を取れば良いのかが私には分かっていません。詳しい方がいらっしゃれば、ぜひアドバイスをよろしくお願いします。

知識があれば目視による建物チェックも有効です

このような感覚と並行して、目視も十分に行います。目視は文字通り見て確認することですが、主に建物のひび、外壁の浮き、金属部分のサビ、塗装の剥がれなどを見ていきます。ひびなどは構造に問題があるかどうかを含め、その大きさや深さなどを見ていきます。

ひびの幅を確認中

ひび割れも単にあるなしではなく、ひびの幅を調べます。クラックスケールというものを使い、幅を確認します。構造的に問題があるひびなのかどうかの確認が重要です。

他にも建物の細かな部分を見ていきます。昔は和室を見れば大工の腕が分かる、と言われていました。鴨居や長押、床の間の仕上がりの状態を見て、大工さんのレベルを判断していたようです。「一事が万事」と言われるように、大工さんが行った仕上げのレベルがこれであれば、構造体のレベルはこのくらいであろう、と判断できた訳です。

しかし今では構造はプレカットが中心となりましたし、和室自体が減っていますので、昔と同じような判断はできません。壁も柱が見えない大壁中心となり、梁も見えない建物が多いとなおさらです。建具周りもケーシング(窓や建具の枠の既製品とお考えください)が大半ですので、ここでも施工レベルを判断するのは難しくなっています。

ですので施工精度は、床下や屋根裏などの見える部分を見て、見えない部分を判断することが多くなっています。後は仕上げのレベルでしょうか。仕上げは本来建物の構造など機能的な部分には関係がありませんが、構造が雑な作りの建物はえてして雑な仕上げとなることも多いので、仕上げの丁寧さも確認するようにしています。

他にどういったチェックをしているかは、戸建のチェックシートの内容もご覧になってください。

次のページはこちら  「2-09.土地の事前チェックだけでもシートは4枚」

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