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不動産の営業マンがよく言うセリフの1つに「大丈夫ですから」というのがあります。不動産業界の中では、この大丈夫と言う言葉をどこまで押し通せるかで、セールスの成績が決まるという伝説まである位です。ここでは伝説と言いましたが、実情に近い気もします。

大丈夫と主張されても

不動産営業マンの大丈夫は本当に大丈夫とは限りません。

しかし、当たり前の話ですが、この「大丈夫」という言葉はどこまで根拠があるのかを聞かなければなりません。このページではこの大丈夫という根拠がどの位あるのかについて、お話ししたいと思います。

住宅ローン返済の大丈夫という話は何の根拠もありません

不動産の営業マンの大丈夫という話を1番良く聞くのは、住宅ローンの借り入れと返済に関する話ではないでしょうか。住まいを買いたいというお客様のほとんどは、こんなに多額の住宅ローンを組んでも大丈夫だろうか、本当に35年も返済が出来るだろうかという不安を抱えています。その時に不動産の営業マンのほとんどは、大丈夫ですよ、と言うでしょう。

ローンの大丈夫は本当か

これだけのローン返済も大丈夫ですよ、と言われる事は多いと思いますが…。

ですがこの大丈夫という話の根拠を聞いても、きちんとした話が返ってくることはあまりありません。返される話のほとんどは「皆さんこの位の金額を借りていらっしゃいます」とか、「銀行さんが問題ないと言って貸している金額ですから問題ありません」という位ではないかと思います。あるいは「これだけ年収があるのだからまったく問題ありません」と言われる事もあるようです。

一見安心できそうになるこの話も、根拠があるかどうかは微妙です。まず他の人がいくらの借り入れをしていようと、あなたがその金額を返済できるかどうかを保証するものではありません。ましてやその話自体が本当かどうかを確認することもできません。

また、金融機関の判断や年収からの判断も正しいかどうかは分かりません。住宅ローンの返済が可能かどうかの判断は、どれも収入でしか判断していないからです。

どれだけ収入があっても、その分支出が多い方は当然破綻しやすい訳ですから、本来は収入ではなく収支でローンが返済可能かを判断すべきですが、その点について触れる営業マンや金融機関はほとんどありません。

実際に金融機関が問題が無いと言って貸し出した融資の内、一定の割合で破綻する方はいますし、返済が苦しくなる方の率は更に高くなります。

お金のイメージ

実際に支払いが厳しくなる人は一定の率でいます。

不動産の営業マンは物件を買ってもらうのが仕事であり、その後の返済については営業マンは何も関わりませんし、何の責任も負いません。

一方で多額のローンを背負ってもらう、つまりは高額の不動産を買ってもらえれば、営業マンには手数料が入りますし、売買代金が高ければ高いほど手数料も高くなります。つまりお客様に無理なローンを組んでもらっても高い不動産を買ってもらった方が、営業マンは儲かるという仕組みになっています。

このような背景から、不動産の営業マンは多少無理と思われても多額のローンをお勧めしますし、根拠なく大丈夫だと言い張る事で、お客様に不安を感じさせないように気を使っています。

ですが、住宅ローンの借入額や返済額については、不動産の営業マンと不動産を買うあなたとではメリットデメリットが完全に相反します。利益が相反する人の意見をそのままうのみにしてはいけません。

住宅ローンの破たんについては「2-01-03.住宅ローンで破綻する可能性が高いタイプはどんな人でしょう」のページを、また実際に返せる金額はいくらなのかの考え方については「2-02-09.結局いくらの不動産を購入することができますか?」のページで意見を述べていますので、これらの記事も参考にしてください。

変動金利でも大丈夫という話は過去の話でしかありません

他にも「大丈夫」という話はよく聞きます。住宅ローンでどのような商品を選ぶかで固定金利か変動金利かで迷われる方も多いでしょう。その際に不動産の営業マンから変動金利でも大丈夫ですよ、と言われるケースも多いと聞きます。

金利の説明は単なる予想

金利についての話は、過去の事例や単なる予想でしかありません。

これも話の根拠として「これまでたくさんのお客様に変動金利のローンをお勧めしてきて、1度も失敗したことがありません」と言う話や「今の日本の経済状況を考えて、高金利になるはずがありません」と自信をもって断言される営業マンはたくさんいます。

過去20年位を振り返ってみれば、住宅ローンは固定金利ではなく変動金利の商品を選んだ方が得をするパターンがほとんどだったでしょう。ですが、この先10年20年も同じ状況が続くかどうかは誰にも分かりません。

また日本の経済状況がどうという話は、バブルの時にもよく聞きましたし、その後も多くの人が日本経済や世界経済の状況から金利や不動産価格の予想をしていました。ですが、こういったプロの方々の将来予測や経済予想が外れるところを何度も見てきました。

複雑な計算のイメージ

一見複雑な計算をしているように見えても、実際には単なる予想でしかない事もあります。

結局は単なる予想でしかないものを、大丈夫だと言い張っているだけだったりします。この点で大丈夫だと言い張る営業マンにはタイプが2種類あり、1つは本当に大丈夫であると信じているタイプと、もう1つは信じてはいないけれども、確信犯的に大丈夫と言い張るタイプです。

当初の支払いが安い変動金利でローンを組んでもらう方が、お客様に安いと感じてもらいやすいですし、その結果多額のローンを組んでもらいやすくなります。つまりは金額が高い不動産を買ってもらえる率が高くなるというメリットが営業マン側にあるため、大丈夫かどうかは分からないけれども、大丈夫と主張するタイプが確信犯タイプです。

どちらのタイプにしても、不動産を買うお客様のためになるかどうかは分かりません。もちろんこれは変動金利のローン自体がダメと言う話ではありません。ですが、変動金利で大丈夫と勧める人は、どういった考えでそのローンを勧めているのかについては、正しく把握すべきだと思います。

固定金利が良いか変動金利が良いかについては「2-02-03.住宅ローンは固定金利と変動金利のどちらを選ぶのが正解でしょうか」のページでも意見を述べていますので、よろしければ参考に読んでみてください。

建物が大丈夫という話は見た目だけの話が大半です

建物についても「大丈夫」という話をよく聞きます。もう後何十年かは大丈夫ですとか、この建物はしっかりしていますから地震に対しても大丈夫です、という話もそこそこ聞きます。

この「大丈夫」は根拠がある場合もありますが、何の根拠もないケースも多々あります。

レントゲンで検査

この建物は大丈夫、と言われても建物にレントゲン検査をしている訳ではありません。

根拠がある例としては、建物検査がきちんと終わっている、瑕疵保険に入る準備が出来ている、というケースがあり、不動産の営業マンがこのような説明をしてくれるのであれば、ひとまずは大丈夫の根拠がある事になります。

しかし大半の「大丈夫」は、きちんとした根拠なく語られています。一般的に不動産の営業マンは建物についてはあまり詳しくありません。技術的な内容が分かる営業マンはめったにいませんし、多少は技術が分かる人がいたとしても、検査などを行わない限りは正確に建物の状況を判断することはできません。

そのため建物の大丈夫は単に見た目が大丈夫そうだからそう答えているだけ、というケースも結構あります。構造的な問題は大きな地震が来ない限り、問題が発覚することはありません。そして、それだけ大規模な地震が起きる事はめったにありませんので、多少適当な事を言っても、営業マンの責任が追及される事はほとんどありません。

このような状況で話を聞くわけですから、話を聞く皆さんは、なぜ大丈夫と言えるのか、万一トラブルが起きたらどうするのかを、営業マンに聞かなければなりません。

建物が大丈夫であるかどうかの根拠や対処策について、きちんとしている不動産会社であれば、
問題がないかどうか→建物のインスペクション(建物検査)を行って確認している
トラブルが起きた時の対処→瑕疵保険に入る事で、万一の時には保険金を使って建物を修繕する
といったような提案をしてくれるでしょう。

もちろん他の提案もあるかもしれませんが、最低でも上記の提案や確認をしれくれる営業マンでなければ、その「大丈夫」は単なる言葉だけである可能性が高いと思われます。

売れば終わりの不動産営業マンはアドバイザーではありません

売買を行う不動産の営業マンは、基本的に引き渡しが終わってしまえば、その後の付き合いは出てきません。不動産は一般的な商品と異なり、リピーターが出ない種類の商売です。また、不動産のトラブルは、大きな地震が起きた時や将来売却するときでなければ、問題が出にくいため、販売時の説明が正確でなくても、売り切った方が営業マンが得をする事が多い業態となっています。

売れればよいというスタンス

不動産の営業マンは売れた後の話には責任を持ちません。

このような背景から、販売時に適当な話をしても、とにかく売り切った方が勝ち、という風習が不動産業界には残っています。その手段の1つとして、大丈夫だとお客様を安心させて押し切ろう、という手法がよく使われることになります。

また、不動産を買いたいというお客様の心理として、安心させてもらいたい、というものがあり、その気持ちが営業マンの強気を後押ししている面もあります。本当は安心でも何でもないのに、不動産のプロが大丈夫だと言っているので安心だ、と解釈してしまう訳です。

ただ、不動産の営業マンは不動産を売るプロであっても、住生活のアドバイザーではありません。そして不動産の営業マンは、売れた不動産の数や額によって、収入が決まりますので、無理をしてでも売ろうというインセンティブがあります。

ですので、営業マンの話は聞くとしても、その内容すべてを素直に受け取るべきではありませんし、安心を営業マンから買おうとしてもいけません。情報は情報として受け取るにしても、安心できるかどうかの判断は皆さんご自身で決めるべきだと思います。

当社:ふくろう不動産も不動産仲介会社である以上、無理してでも売りたいという考えを完全に捨て去る事はできません。幸いふくろう不動産は個人営業に近い形態のため、営業ノルマなどがないため、他社さんと比べれば、売らなければいけないというプレッシャーは強くありません。

ふくろう

ふくろう不動産は最初に基準を設定して説明するために、それに反するようなお客様に無理をさせる主張をし難くしています。

また、建物調査やローンの考え方などについては、自社で基準を持っていますので、その基準についてお話しすることで、明らかにお客様に無理をさせるような営業が出来ないようになっています。当社の基準では、ローンにしても建物の技術的な内容にしても、最初にサイト等で基準を公開しているため、その内容から大きく離れた提案がし難いからです。

もっともこのあたりは当社の考え方でしかありません。実際には当社の話も話としては聞きながら、最終的にはお客様ご自身の考えて決断してもらう事になります。

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