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先日読んだ「なぜ新耐震住宅は倒れたか」の中では、熊本地震で倒壊した建物を見て、筋かいで耐力壁を作っている建物は壊れている率が高いのでは、という内容の記載がありました(実際には違う表現ですが、そう思わせられる表現の内容でした)。他にも耐力壁に関するページや筋かいそのものに関するページもあり、筋かいは少し危険なのでは、と思わされる内容がいくつも見受けられます。

なぜ耐震住宅は倒れたか表紙

なぜ耐震住宅は倒れたか(出典:日経BP社)内容はとても良い本だと思っています。

私は建築や木造住宅の専門家ではありませんので、詳しい事はもちろん分かりませんが、この話について少し違う考え方を持っています。あくまでも私個人の意見ですので、内容の信憑性は全くありませんが、自分の考えをまとめるために、意見を述べたいと思います。

筋かいそのものが問題というよりも、使い方に問題がある気がします

これは、前述の書籍の中でも触れられていましたが、新築の建物であっても筋かいの使い方が間違っているものが多い印象があります。間違った使い方とは、
・端部の留め方が適当
・角度が急な筋かいは強度が低い
・断面欠損が大きな筋かいがある
・節が大きな筋かいを使っている
等です。

筋かいのイメージ

筋かいそのものの問題というよりも…

筋かいは適切な使い方をして初めて計算通りの強度が出ます。しかし適当な筋かい施工では本来の強度を発揮できません。適当な建物を建てる会社では、筋かいを取り付けるのに金物を使わず釘だけで留めているものもあるのでしょう。

このような適当な筋かいの使い方をしている建物が多いと、倒壊する建物では筋かい利用の建物の率が高くなるというのも分かるような気がします。筋かいそのものが悪いという事では無く、筋かい利用の建物には適当な施工の建物が一定数あるという事なのだと思います。

なぜその会社は耐力面材を使わずに筋かいを使っているのかを考えましょう

そもそもですが、最近建てられる建築物で、なぜ構造壁に筋かいを使うのかを考えなければなりません。今の世の中には、構造用合板等の耐力面材がたくさん売られています。その中で、耐力面材を使わずになぜその建設会社は筋かいを使うのかを考えなければなりません。

構造用合板

なぜその会社は構造用合板を使わないのでしょうか?

通常は構造用合板を使う方が筋かいを使うよりも強度は強くなります。では、なぜ皆さんが買おうと考えている新築建物は、構造用合板を使わずに筋かいを使って建物を建てているのでしょうか。その理由を考える事は、建設会社選びの良い参考になります。

その建設会社に直接聞いたとしても、本当の理由が分かるかどうかは分かりません。ですが、それでも聞いてみる方が良いと思います。恐らくは、わずかとはいえコストが安くなるという点、もう1つは今まで筋かいを利用してきて問題があるという意識が無いという点ではないかと思います。

しかし構造用合板を使う場合と筋かいを使う場合で、それ程大きなコストの差が出る訳ではありません。その中で、わずかなコストの為に安全性が低くなっても構わないという方針なのであれば、その会社の姿勢に問題があるような気がします。また、今まで通りで良いという考え方の会社は、技術的に大丈夫なのだろうかと不安になります。

そしてそのような姿勢の会社が、前述した筋かいの正しい使い方をしてくれているのかどうか、不安に感じます。わずかのコストを抑えたい会社は、構造用金物も惜しんで筋かいを釘留めするのではないか、技術が低い会社は筋かいの角度などは考えないのではないか、等々考えてしまいます。

もちろん中にはきちんと考えて筋かいを使うという会社がある事も知っています。接着剤を使う事を良しとせず、極力無垢材中心で家を建てたいという方針の会社がある事も知っています。もっともそのような会社は構造用合板を使わない代わりに、単なる筋かいではなく、TIP構法とか貫(ぬき)を使った特殊な造りを目指す事も多いため、単純な筋かいだけというケースはほとんど見る事はありませんが。

筋かいは断熱材がきれいに入れ難いという難点もあります

ちなみに構造的な問題だけでなく、筋かいの利用する場合は断熱材が入れ難いという問題もあります。この問題を、外貼り断熱にしているとか、セルローズファイバーの吹込みを利用しているとか、何らかの対処策を採っているのであれば問題にはなりませんが、単純な筋かいのみで良しとしている会社は、往々にして断熱も適当である事があります。

断熱材

筋かいのある建物に断熱材を入れるのは意外と難しかったりします。

このような建物の作りや標準仕様はちょっとしたことでもあります。ですがこのちょっとしたことがうまくできない会社が安全で快適な住宅を作る事ができるとは思い難いという点もあります。

このページで述べた話は私の個人的な意見であって、何ら正しさを証明するものではありません。ですが、安全性の高い建物を建てたいと考えている方は、ぜひこのような話も考えてみてください。

この記事の内容を動画でも説明してみました

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