携帯電話の電波は高周波の電磁波です

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携帯電話や無線LANから出ているのは高周波の電磁波です。

まずは携帯電話などで使われている電波、高周波について解説します。電磁波のページでは、電磁波は電場と磁場の2つに分かれるとお話ししましたが、高周波ではこの2つが強く重なりあっているため、分けて計測することができません。

そのため高周波については、特に電場・磁場について分けずに1つのものとして考えます。携帯電話の電波はマイクロ波と言われる高周波の電磁波です。無線LANの電波も、このマイクロ波に分類されます。

高周波の電磁波が人の健康に影響を与えているかどうかは私には分かりません

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この高周波の電磁波が人の健康に影響を与えているのかどうかが私には分かりません。

さてこの高周波が人の健康に影響を与えるかどうかですが、正直私には分かりません。
マイクロ波が健康に影響があるという意見では、「日本のマイクロ波の基準が世界的に見ても甘い」という意見があります。例えば、
イタリア:9.5~100μW/cm2
スイス:6.6~42μW/cm2
などと比べて、
日本:1,000μW/cm2
という主張です(μW/cm2はマイクロ波の強さの単位)。

ただし携帯電話の基地局のマイクロ波は総務省の資料によると強い場所でも0.8μW/cm2ですので、基準のような高い数値が出ている訳ではありません。

また、上の表の比較だけで見てみますと、日本が突出して高い基準値のように見えますが、ヨーロッパのほとんどの国では900μW/cm2、カナダやアメリカでは日本同様に1,000μW/cm2となっていますので、日本のマイクロ波の基準が甘いというのは間違っているような気がします。もっとも危険なのか安全なのかは、これだけですと何とも分かりません。(意外と言っては失礼かもしれませんが、中国の基準は38μW/cm2と結構厳しい数値基準となっています。)

逆にマイクロ波が健康に影響が無いという意見では「WHOなどの基準を十分に満たしている」「テレビ局やラジオ局などのマイクロ波と比べても、携帯電話基地局のマイクロ波は、はるかに出力が小さい」といった意見があります。テレビ局などの電波で問題が出ていなかった(と思われる)のに、それより弱い携帯電話の基地局で出るはずがない、という意見です。

ただ携帯電話の基地局は場所が近いことも多く、数も多いので、これも一概には言え無さそうな気がします。また電磁波だけではなく、マイクロ波聴覚効果の問題もあるかもしれませんので、これもまだ良く分かりません。

高周波の電磁波が心配な方は、電波が弱い場所に住むという方法もあります

携帯電話の電波(高周波の電磁波:マイクロ波)について、どういう対策を取るのが正しいのかは、私は明確な結論が出せません。そこでやや消極的な対応策ですが、携帯電話の電波がなるべく弱いエリアを選んで住む、という方法を気になる方には提案します。そこで、携帯電話の電波の届き具合をネットでチェックしてみましょう。

これはOpenSignalという海外のサイトですが、携帯電波の強さを地図上に落としたものです。どの程度の正確性を持っているのかは分かりませんが、参考の1つとして見てみるのは良いと思います。地図を見てみると分かりますが、町中は電波が強く、郊外は電波が弱いという傾向はあります。

同じサイトで、携帯電話の基地局の場所も表示できるようです。ブラジルの調査では携帯電話の基地局から200m以内では、ガンのリスクが高くなるという報告結果もあるようです(500m以上であれば、ガンとの関係性はほぼ無いようです。ただこれらのデータの裏付けは取れておりません)。

もっともブラジルの携帯電話の基地局の出力などが分かりませんので、これを日本の基地局とそのまま同じように比較して良いかどうかは分かりません。ただ、心配な方は基地局の位置を調べ、なるべく近くに基地局がない場所で、不動産を探すことを検討しても良いと思います。

ちなみに日本の総務省では、携帯電話の基地局であれば、1m以上離れていれば電波は基準値を下回る、としています。

総務省の携帯電話基地局との距離の基準

出典:総務省

住宅に携帯電話の電磁波対策を施すと、逆に受動被ばくの危険性が高まります

高周波の電磁波(マイクロ波)については、マイクロ波が弱いエリアに住む、という以外、今のところ対策が思い付きません。この話をしますと、いや対策が立てられる、住まいをアルミホイルなどで包み、高周波を防ぐことができるはず、と言われる方もいます。

確かに家全体をアルミホイルや金属メッキ繊維などで包み、窓には反射材を使用したフィルムなどを貼れば高周波を防ぐことは可能です。ですがこの場合、別の問題を発生する可能性があります。

低周波のページでも説明しますが、家の中にも電磁波を発生する器具などが数多くあります。また携帯電話が家の中にあるのに家全体をシールドしてしまった場合、携帯電話や家の中から出た電磁波が家の中で反響しあい、かえって体にダメージを与える可能性があるからです(受動被ばくと呼ばれているそうです)。高周波対策で費用をかけたせいで、かえって健康を損ねるのでは意味がありません。

携帯電話の受動被ばく

携帯の電波を遮断するような素材、アルミホイルなどを住宅に巻いてしまえば、確かに電波を遮断することは可能です。しかし、その住宅内に携帯電話などの電波を発生するものを持ち込むと外以上に強い電磁波にさらされる可能性があります。

住宅内に高周波電磁波の発生原を持ち込まないとしても、住宅の外と中との電磁波ギャップに苦しむ可能性があります

また仮に、家の中からは高周波の電磁波が発生しないようにし、家の中に高周波の電磁波が飛ばないような作りの家ができたとしても、当然その効果は家の中だけとなります。そうなりますと、家の中が電磁波がほとんどない、外に出ると多くの電磁波が飛んでいるという状況を交互に繰り返すことになります。

これは確証や事例がはっきりあるわけではありませんが、そのようなギャップが多い環境にいると、かえって体調を悪くする可能性があるとも聞いています。

現在の日本に住んでいる以上、携帯電話の電磁波の範囲外で暮らすことは難しくなっています。現在影響がある人は別ですが、そうでない人は、この高周波の電磁波飛んでいる状況に体を慣らす方が現実的ではないかと考えています。現在影響がないにも関わらず、対策を立てたが故に、かえって体調を悪くするようなことがあれば、何のための対策だったのかが分かりません。

部屋の内外での電磁波のギャップ

仮に電磁波を遮断した家の内部に電磁波発生源を持ち込まなければ住宅内は電磁波を受けなくて済みます。しかし、外では電磁波を受けるので、そのギャップのためにかえって体調を悪くすることがあると聞きます。

個別の対策をお勧めしないのは怪しい商品が多いせいでもあります

詐欺のイメージ

マイクロ波対策商品は怪しい商品も多いので、とにかく注意が必要です。

また、個別のマイクロ波対策商品をお勧めしないのは、怪しい対策商品が多いという理由にもよります。マイクロ波対策商品の中には全く効果が無いものや、ほとんど意味が無いものもたくさんあります。しかし、精度が高い測定器がなければ、それらの商品の効果を確認することができません

ですが精度が高い測定器は当然高額ですので、簡単に測定器を購入する訳にもいきません。さらに上記で説明しました受動被ばくなどの危険性を考えれば、このような対策商品には頼らない方が良いのではないかと思っています。

このあたりは商品の知識やマイクロ波についての理解が深まれば、また意見は変わるかもしれませんが、現段階では商品を使った個別の対策は不要ではないかと思っています。

健康への影響が微妙である高周波対策よりも、問題がある可能性が高い低周波対策を考えましょう

高周波については、私の知識が足りないだけで、もっと深刻な話や、具体的な対応策があるのかもしれません。このあたり詳しい方がいらっしゃいましたら、教えていただければと思います。

今の私の考えとしては、高周波よりも低周波の方が健康被害を引き起こす可能性が高いのではないかと考えており、かつその対策も具体的な方法が考えられますので、そちらから対策を立てていく方が現実的ではないかと考えています。

低周波については、下記ページをご参照ください。
「2-02.家電や電気引き込み線などから出る電磁波は健康に被害を与えるか?」

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