50歳代で家を買う事は可能ですが、条件が整っているかどうかを考えましょう

不動産系のサイトや雑誌では、色々な層の方に対して、不動産を買いましょうという宣伝を行っています。昔からよくあったタイプとしては、若いうちからでも家を買いましょうとか、女性1人でも家を買いましょうという内容です。年齢や性別だけでなく、収入が低い人ほど家を買いましょう的な話もありました。

これに加え、最近では年配の方向けに家を買いましょうというタイプの広告や記事も数多く見かけるようになっています。不動産を買うのに、何歳でなければならないという決まりはもちろんありませんし、何歳だから有利であるとか不利であるという話も原則としてはありません

年を取ってからの購入

何歳だから有利とか不利という話では無いと私は考えています。

ですが、広告系では敢えて問題部分を隠し、とにかく様々な年齢層の方に不動産を買ってもらうべく、間違ったロジック、おかしな理屈でこの年代の方は家を買いましょう、という記事も見受けられます。

私個人は、不動産は何歳であっても誰で買って問題ないとは思っていますが、各々満たすべき条件があると思っています。このページでは、50歳代の方が不動産を買う場合の注意点等について、お話ししたいと思います。

50代の購入のメリットが本当にメリットなのかをもう1度考えましょう

50代の不動産の購入というテーマで検索してみますと、多くの記事を目にすることができます。そしてそれらの記事の多くは、50歳台で不動産を買うのもメリットが大きいですよ、という話です。

しかしこの話が本当に正しいかどうかは、内容を1つ1つ検証する必要があります。実際にあった記事で挙げられていたメリットにはどのようなものがあったかをまとめてみました。

私が読んだ記事で50代の方が不動産を購入するメリットとして
1.住宅ローンには団信が付くため、生命保険の代わりになる
2.子供の教育費が終わっていれば、住居費以外の大きな出費が無い
3.子供が独立していれば、小さな住居でも問題ない
4.50代であれば転勤の可能性が低い
5.定年までの残り年数が少なければ、期間が短い分倒産のリスクが低い
といったものがありました。

ひと口でこれが正しいとか間違っているとか言えるものではありませんが、これらの意見に対し、私個人が感じた事をお話しします。

住宅ローンが生命保険の代わりになるのは本当でしょうか?

この団信(団体信用生命保険)の話は、購入を促すネタとして良く使われます。別にこの話自体が間違いという訳では無いのですが、購入者の方が死ぬ前提で組み立てられるセールストークはいかがなものかと感じる事もあります。

保険の代わり

生命保険の代わりになるのは、50代だからメリットが大きいという訳ではないと思います。

私見では、団信はあくまでも万一の時の保険として考えるべきであって、購入の動機として考えるには弱い要素だと思っています。よく一般的な生命保険よりも安いと言われますが、掛け捨ての保険と比べて本当に安いかどうかは疑問ですし、それ以前に住宅購入ではセットで大きな費用負担が出ますので、総費用を考えますと本当に得かどうかは分かりません。

また、この団信は50代だから、よりメリットが大きいかと言われますと、特に年齢には関係がないと思います。むしろ年を取る事で団信に加入できる条件が整わない事がありますので(健康に問題がありますと団信に加入できず、結果としてローンの借り入れも出来ない事があります)、メリットというよりはむしろ借入不可のリスクを高くしているのではないかと思います。

子供の教育費との兼ね合いは確かにあります

50代であれば子供の教育費が掛からないという主張も良く聞きます。ただこれは購入者の年齢よりも個別の要素の方が強いのではないかと思います。若い方でもお子さんがいらっしゃらないご家庭も増えましたし、逆に50代でもお子さんが小学生というご家庭も普通に見ます。

子供の卒業

子どもの教育費が不要になったという前提は分からなくもないですが…。

またお子さんの教育費の支払いが概ね終わっていて安心というご家庭の場合、教育費の出費は無くてもその分でお金を使い切ってしまったため、頭金に出来そうな現金が大変少ないというケースも珍しくありません。そのような自己資金が足りない状態の方は不動産を買うのに得な状況であると言えるかと言えば、疑問が残ります。

結局は購入される方の状況次第で、買う方が良い時期かそうでない時期かの違いは出るのですが、それが単純に年齢で分けて良いかと言えば、違うのではないかという気がします。

子供が独立していれば住まいは小さくてもOKですか?

これは考え方としては面白いと思いますし、条件がうまくはてはまる方であれば、年を取ってから小さな住宅を購入するというやり方はあっても良いと思います。

一方でこの考えも個別性が強いため、一律50代の方全員に当てはまるとは思い難い感じはします。私は結構な数のご年配の方の家を見ていますが、大きな家に荷物が大量にあるというケースは珍しくありません。ご年配のご夫婦やお1人のご家庭であってもです。特に今までそれなりに広い家に住んでいた方であれば、思い出の品等も多くなるため、荷物が多くなりがちです。

こういった荷物などを処分できる方、ミニマリストになれるという方であれば、お子さんが独立後に小さな住宅を買うという方法は有効だとは思いますが、正直なところ、こういった条件に当てはまる方は少ないのではないかと思います。

50代であれば転勤の可能性が低いという説は本当ですか

この意見が本当に正しいのかどうか、私には分かりません。元の記事を書かれた人の会社ではそうなのかもしれませんが、会社によって状況は異なると思います。転勤は無くても会社によっては、出向やリストラなどの話もあるでしょう。次の話である倒産についてもそうですが、さすがにこのあたりの話は漏り過ぎではないかと思います。

定年までの残り年数が少なければ倒産のリスクは低いという説は正しいのでしょうか

この根拠となると、もはやこじつけのような気はします。時間が短い分、倒産のリスクは低くなるのかもしれませんが、その分リストラの率は高くなるような気もします。また、この理由を挙げる方がどういったローンを提案するかと言えば、定年後にも返済が続くローンを平気でお勧めしている事もあります。

定年退職

退職までの期間が短いから安心という話は本当なのでしょうか?

倒産リスクが低いという事であれば、その期間内に返済が終わるという前提で考えるべきだと思うのですが、どうなのでしょうか?このような矛盾した話を持ってくる方の話は、単なるセールストークだと考える方が良さそうです。

買う買わないは、資産を現金で持っているか不動産で持っているかの違いです

よく不動産を買う方が得か、買わない方が得かという比較の話があります。この話については色々な説がありますが、考え方としては資産を現金で持つか不動産で持つかという違いです。そして50代まで不動産を持っていないという方であれば、その分の資産は現金(または他の金融資産)で持っていなければなりません

現金で持つか

資産を不動産の形で持つか現金の形で持つかの違いではないでしょうか。

その場合、持っている現金を不動産に代えるかどうかは、その方の生活スタイルや価値観によって決まると私は考えています。

一方で50代になり、不動産も現金も持っていないという事であれば、それは今まで得たお金は消費で使ったという事になります。これには反論も多くありそうですが、資産にならないものにお金を使う事を消費と定義すれば、やはり消費してしまったと言うべきだと思います。

もし50代に差し掛かり、かつ現金などの資産が無いという事であれば、その先不動産を買う場合には、残りの働ける期間内に返せるようなローンで、買える範囲の物件を買うという方がリスクが小さいと思います。

問いに答えられないお勧めは、単なるセールストークです

50代を過ぎて不動産を購入しようと考える方は、こういった諸々の事を考えなければなりません。もし50代で不動産を購入する方が得ですよと主張される方がいらっしゃった場合、こういった問題についてどう考えているのかを聞かなければなりません。

ここまでお話したような内容について、的確に答えられないという事であれば、50代の購入の方が良いという話は単なるセールストークだと考えるべきです。私個人の意見としては、詳しく質問するまでもなく、50代の購入が良いという意見は、全てセールストークだと思っています。

当社のお客様も50代で不動産を購入される方はいらっしゃいますが、それは50代だから買うという話では無く、その時点で必要になったから買うというケースがほとんどで、50代が有利だから買うという方はいらっしゃいません。

不動産業界では多くの人に不動産を買ってもらいたいと考え、様々な理由を考えだします。そしてその理由が正しいかどうかは、業界にとっては関係ありません。取引自体が成立すれば、それで目的は達したことになるからです。

不動産購入を考えている方は、変なキャンペーン的なものの惑わされず、自身にとって良いと思われる判断をして頂きたいと思います。

この記事の内容を動画でも説明しています

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