住まい選びのポイントは一口では説明できません

住まい選びや不動産の探し方等について、私は多くの本やサイト、テレビ番組などをチェックしています。その際に感じるのは、簡単に説明しようとするあまり、内容が間違っていたり、極論でしかない意見も多数見受けられます。あくまでも私個人の意見ですが、住まい選びでここだけ見れば良い、という意見の大半は間違っているように感じます。このページでは、こんな一口ポイントには注意しましょうというお話をしたいと思います。

住まい選びはバランスで決まるため、1点だけ注意すればよいものではありません

そもそも住まい選び、不動産選びは複数の要素のバランスで決まります。ここだけ注意すれば後は多少問題があっても大丈夫、というものではありません。

バランスのイメージ

住まい選びは様々な要素をバランス良く組み合わせなければなりません。

例えば当社では不動産選びの要素を「安全性」「経済性」「快適性」の3つの要素に分けて、各々のバランスをどう取るかについてお話ししています。どんなに安全性が高いとしても、その効果以上に価格が高かったり、快適性が損なわれるような物件は良い物件とは言えません(「失敗しない不動産選び」のページも参考にしてください)。

また安全性だけ見ても一口で言えるものではありません。建物の構造的なもの、地盤の強度、水害について強いかどうか等、見るべきポイントはたくさんあります。法的に再建築が可能かどうかも広い意味では安全性に関わる事でしょうし、室内で転倒しやすい家やシックハウスの危険が高い家も安全性の一部と言えるでしょう。

物を選ぶ方法というのは、その物によって選び方は変わるでしょう。ですが、ポイント1つだけ見れば良いという物はめったにありません。例えばスマートフォンを選ぶ時はどうでしょうか。画面のサイズだけ見ればよい、とかカメラの画素数だけ見れば良いという事があるでしょうか。実際には様々な要素を照らし合わせて、自分の使い方に合ったものを考えなければならないでしょう。

それでもスマートフォンであれば、失敗したとしてもしれていますし、問題があったとしても、問題の範囲が限られます。スマートフォンであれば完全な詐欺のような商品で全く使用できないという製品はほとんど無いでしょう。また最大のダメージでもスマートフォンの代金やキャリアの解約料などが上限ですから数万円から高くても十数万円の単位の損失です。

ですが不動産はどちらも状況が異なります。例えば戸建て用の土地を購入しても、土地に問題がありその土地に建物を建てられないとなると全く使えないという事もあり得ます。また損を被った場合の損害金額は他の商品の比ではありません。百万円単位どころか、一千万円の単位で損失ができる事がよくあります。数千万円の損を出した場合、ほとんどの人は、その人の人生の中で損を取り返す事ができません。

このように不動産は他の商品と比べ、問題がある率が高く、かつ失敗した時の金額のダメージがとても大きいという商品です。その商品の購入をあまり簡単に考えてはいけませんし、その選択が簡単にできるようになると考えてもいけません。

不動産選びはこの点だけ注意、の代表例について反論します

こういった商品であるにも関わらず、不動産選びは難しくない、とか、ここだけ見れば大丈夫です、という論調がたくさん見受けられます。簡単にできるという世の中の流れを反映しているのかもしれませんが、強引に簡単にしようとした結果、間違った結論や極論を出している例が多くあります。

そこでこのページでは、本やサイトやテレビ等でよく言われる「これだけ見れば大丈夫」ポイントについて、各々こんな問題があるので大丈夫ではないという話をします。

工務店や不動産屋を相性で決めてはいけません

トラブルについては、良い工務店や不動産屋を選ぶだけで良いという考えがあります。これ自体は正しい面もありますので間違いとは言い切れません。ですが問題はその選び方です。良い工務店や不動産屋を選ぶために、相性が良い会社や営業マンを選びましょうという意見があります。この方法は1つの例外を除けば、私はお勧めしません。例外については後ほどお話しします。

相性が良いイメージ

相性が良さそうという理由だけで工務店や不動産会社を決めてはいけません。

この相性で決める方法の最大の欠点は、相手方である工務店や不動産会社の能力が判断できない事です。皆さんは欠陥住宅は悪意がある不動産屋や建設会社がいるから起きる問題だと考えているかもしれません。もちろん相手に悪意がある事で問題となるケースもありますが、それよりも多いのは、相手方に能力が無いために欠陥住宅や欠陥不動産となってしまう事です。

相手方が建築や不動産のプロだからと言って、土地や建物のすべての問題について詳しい訳ではありません。ましてや土地や建物の問題は、大きな地震があったり、何十年後かの建て替えの時でなければその欠陥が分からないケースが多々あるため、販売している建設会社や不動産会社が問題があるという事を知らず、何十年も欠陥住宅を作り続けたり販売し続けたりという事も考えられます。

そしてこの能力の有無については、相性で決める方式では判断ができません。どんなに相性がぴったりでも、どんなに相手が誠意があってよい人だったとしても、能力が無ければトラブルに巻き込まれる可能性は高くなります。

これは会社選びもそうですし、担当者選びでも同じです。相性の良い担当者であれば何でも大丈夫かと言えば、先ほどの話と同様に相性が良くても専門知識が足りないがために、トラブルとなる事もあります。

先程お話しした唯一の例外が、皆さん自身が土地や建物に詳しい場合です。ある程度の知識があれば、明らかに問題がある不動産会社や建設会社は避ける事が出来ます。そして基本知識でチェックして問題が無いと思われる数社を見つけることが出来れば、その後は相性で決めても問題はありません。

ですが、この方法は「相性だけ」ではなく、他の判断基準があり、最後に相性で決めるというだけで、他の項目について何も知らず、相性が合えば良い、という決め方ではありません。

知識が無い時点で理想のライフスタイルや優先順位を考えてはいけません

他によく聞く住まいの選び方についてですが、まず理想のライフスタイルを考えましょう、というものがあります。最初に理想的な状況を考え、その後に何を削っても良いか、優先順位を考えるというやり方です。

この考え方自体は悪いものではありません。ですが不動産や住まいに関する知識が全くない状態で、理想的なライフスタイルを考えた場合、大きな失敗をしていても気が付かないという事があります。

理想の家のイメージ

知識が無い段階で理想の家をイメージしても、本当の理想にはなりません。

例えば環境の良さが最優先という考えで、不動産を選んだとします。ですが環境が良い街は往々にして元々低湿地であるケースも多く、地震や水害に弱い街である事もあります。予めそのようなリスクと比較して選んだのであれば価値観の問題ですが、知らずに選んだのであれば、トラブルの際に後悔することにもなり兼ねません。

また、利便性と価格重視で、再建築不可の中古物件を選んだ場合はどうでしょうか。その建物が利用できている間は問題は起きないでしょうが、いざ売却しようとする時に全く価格が付かなかった時、本当に購入時の選択は正しかったと言えるでしょうか。

不動産や住まいに関する知識が無い時点で理想の生活やライフスタイルや優先順位を考えても、あまり意味がありません。何が重要なのかが分からない状態で優先順位を考えるという事は、無理だという事を知っておくべきだと思います。

不動産選びや住まい選びは知らないと損をするという事を強く認識しましょう

繰り返しになりますが、不動産選び、住まい選びは、そもそも簡単ではありません。簡単ではないものを簡単にできると考えたり、ちょっとコツを聞けば大丈夫だと考えること自体に無理があります。

そしてこれも繰り返しになりますが、住まい選びで失敗した時の被害の大きさは他の商品と比べてもとても大きなものになります。致命的な失敗をした場合には、一生取り返しが付かないという事もあります。

知らないもののイメージ

住まいや不動産は知らないだけで損をしやすい世界です。

不動産選びで失敗をしないためには最低限の知識が必要です。そして最低限の知識は一口で説明できる程内容は少なくありません。当社では初回打ち合わせのお客様と不動産選びについて打ち合わせを行いますが、その打ち合わせ時間は大体3時間以上、長い場合ですと5時間以上かかる事もあります。それだけ時間をかけても、不動産選びの基礎知識を完全に伝えきる事はできません。お話ししなければならない話の量が多過ぎるからです。

結局初回打ち合わせの説明に加え、実際に物件を見に行った際に、個別に物件を見るポイントを説明し、善し悪しの判断の練習をしてもらうという経験を数回行った状態で、ようやく基礎知識が伝え終えたというレベルになります。

このやり方が絶対的に正しいという訳ではもちろんありませんが、知らなければならない事がそれだけたくさんあるとお考え下さい。そして本来知らなければならない事を知らないが故に損をするという事がたくさんありますので、不動産探し、住まい探しをされる方は、本当に色々な事を事前に調べた上で、お探しになる事をお勧めします。

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今回の記事と少し主旨は異なるのですが、似たようなお話を動画でも行っています。その動画がこちらです。

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