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当社:ふくろう不動産には様々な質問が届くのですが、その質問に対して簡単に短く答える事があまりうまくできません。特に短い質問に対しては、一言で答えるのは無理があります。強いてひと口で返事をしようと考えた場合「人によって異なります」「物件によって異なります」という返事しかできません。

似たような話を「住まい選びのポイントは一口では説明できません」の記事でもお話ししましたが、今回は少し違う切り口で、ひと口で言えるほど簡単ではないという話をしたいと思います。

不動産は物件個別の差が大きいため、1つのジャンル区切りでは判断できません

短い質問とはどのようなものかと言えば、
・駅から遠い物件は買わない方が良いですか?
・新築マンションは買わない方が良いですか?
・変動金利のローンは使わない方が良いですか?
といった質問です。

そしてこれらの質問に対しては、ひと口で答える事は出来ません。物件の違いによって、損しやすい物件もあれば、損し難いと思われる物件もあるからです。そしてこれは、物件の違いだけでなく、購入者の違いにもよります。

ひと口のイメージ

ひと口で正確に返答することはできません。

例えば今回の例の「駅から遠い物件の良し悪し」は、駅自体にもよりますし、実際の距離にもよりますし、駅以外の要素にも影響されます

例えば郊外の私鉄の駅から徒歩21分の物件となりますと、将来の資産価値に不安を感じる物件もありますが、例えば新宿駅から徒歩21分という事であれば、まず問題にはならないだろうと予想されます。バス便物件でも同様で、この駅基点のバス便はOKだけれどもこの駅基点のバス便は市場性があまり無い、という事もあります。

同じ駅から徒歩18分の物件であっても、戸建住宅であれば市場性がありますがマンションとなると不安というケースもあります。また戸建て住宅同士でも、130平米前後の土地は需要が大きいが70平米の土地はほとんど需要が無いため、資産性が怪しいというエリアもありますし、逆のパターンとなるエリアもあります。

同じ駅のバス便同士でも、その物件は有名な公園が目の前で環境がとても良いという場合と、単なる郊外の住宅地では全く価値が異なるという事もあります。あるいはリバーサイドであるとか、大型ショッピングセンターがすぐ近くにあるとか、様々な要素で物件の価値は変わります。

このような条件を抜きにして「駅から遠い物件はダメ」と一言で言う事は出来ません。結局個別の物件次第という点があるからです。

購入者自身の状況が大きく異なるため、人によってお勧めできる物件は異なります

物件の状況と同様に、購入者の状況によっても良し悪しの判断は異なります。例えば大変資産価値の高いマンションを購入しようと考えた場合、その価格は大変高額になる事がよくあります。都心の資産価値が高いマンションであれば、中古価格でも8,000万円とか1億円という価格が平気で付きます。

資産性の高い家

資産価値が高い不動産は、そもそも価格が高い傾向にあります。

十分な資産や収入がある方であれば、ローンの返済に問題なく、また売却時にはほとんど値段が下がらず、結果としてたいへん安い支払いで10年間その場所に住むことが出来ました、という事もあるでしょう。

ですがローン返済が厳しく、住んでいた期間の生活の質が下がるのであれば、その不動産の購入にどんな意味があるのかを考えなければなりません。お金がある方にとってはトータルで安く済ます事が出来るとしても、お金が無い方にとってはその期間の生活に耐える事が出来ないという事もあります。ローンの返済が出来ず、破産する事になってしまえば資産価値のメリットを生かすことは出来ませんし、破産しないまでも生活レベルが大きく下がるのであれば、その不動産購入が成功とは言い難いでしょう。

変動金利の選択にも似たような事が言えます。お金が十分にあり、金利が高くなって借り入れのメリットが少なくなれば、残債をすぐに返済できる資金がある方は、変動金利のメリットを存分に受ける事ができます。住宅ローン減税もフルに使える手が打てるでしょうし、金利が安い期間で残債を早く減らすことも出来ます。

一方で充分な現金は無く、かつ金利が3%台にまで上がるともう返済できません、というタイプの方は変動金利を組むのはそれなりにリスクがあります。現在(2017年12月時点)は変動金利は0.5%台とたいへん安い金利ですが、全期間固定金利でも1.2%台の商品を普通に見る事が出来ます。もし金利が2%台に上がるともう支払いが厳しいという方であれば、固定金利でローンを組む方がリスクは小さくなります。リスクは小さくなりますが、その一方で低金利の期間内は余分な利息分を支払わなければなりません。このあたりをどう考えるかは人によって異なるでしょう。

資産価値についてもローンについても、お金がある方がより有利な選択肢が増えるというのが、残念ながら実情だと私は思っています。今回の例ではざっくりしたお話ですが、実際にはもっと細かな事を考え、どういった選択が良いかを考えなければなりません。そう考えますと、短い質問に一言で答えるのは無理というお話も分かって頂けると思います。

タダでもいらない不動産以外は、価格次第で善し悪しが決められます

先程物件によります、という話をしましたが、もう少し正確に言えば、物件とその価格によります、という話になります。駅から遠い物件の例で言いますと、駅から遠い方が資産価値は維持し難くなるという傾向は確かにあります。ですが、現時点で相場よりもたいへん安いですとか、最終的に資産価値がゼロに近くなったとしても、十分元が取れる、という物件もあったりします。

タダのイメージ

タダなら欲しい物件であれば、後は価格次第です。

実のところ、その物件を買うかどうかの判断は価格がいくらになるかという点が大きかったりします。仮にタダでその物件をもらっても使い道がないし住むこともできない、と言う物件であれば、値段に関係なく買う事はないでしょう。ですが、タダであれば欲しい、使いたいという物件であれば、後は価格次第です。

タダの物件なんか無いと思われるでしょうが、実際にはタダに近い価格で売りに出している物件もあります。そしてそういった物件は現実問題としてタダでも引き取り手が無いのが実情です。

話は戻って、タダであれば欲しいのであれば、では1万円であれば買うか、10万円であれば買うか、100万円であれば買うかというように、後は金額次第という事になります。そしてこれらの金額で売り手と買い手が折り合えた時点で売買が可能となります。逆に言いますと、売れない物件は、折り合える金額まで価格が下がれば十分に売れるという事でもあります。

このお話は「私に売れない家はない、価格さえ決めさせてもらえればですが」の記事でも説明しています。そして首都圏の居住用不動産で、再建築不可物件等でなければ、ほとんどは価格次第で売れる売れないが決まります。

つまりこの物件はこういったデメリット、問題点がたくさんあるが、この価格なら仕方が無い、と割り切れる線というものがあるという事です。そのため、タダでも要らないという物件以外は、絶対に買ってはダメという物件がある訳では無いという事にもなります。

こういった状況を考えていきますと、物件選びは難しいとも言えますし、逆に簡単だと思われる部分もあります。不動産選びで方向性が決まらずに迷っている方は、こういった考えも取り入れる事で頭が整理される事もあります。

マスコミ等で「こういった物件は買ってはいけない」「こういった物件を買いましょう」というような話はよくありますが、その話は単純化され過ぎており、実際にはそれだけでは役に立たないケースがたくさんあります。

マスコミの話は知識としては知っておいて良いと思いますが、タダであれば欲しいという物件であれば、価格次第で買っても良いかどうかが決まるという事も知っておきましょう。あまり単純化された結論には飛びつかないように、慎重にかつ冷静に不動産選びを楽しんでもらえればと思います。

この記事の価格次第の部分を動画で説明してみました

今回説明しました内容のうち、価格に関する部分を動画でも説明してみました。その動画がこちらです。

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