不動産の選び方が難しいのは目に見える部分が少ないからです

不動産を選ぶときには、何度も現地を見ましょうという話をよく聞きます。もちろんそれは間違いではありませんが、不動産は見ただけでは分からない事の方が多いため、これだけでは的確なアドバイスとは言えません。

では何に気を付けたらよいのか、見えない部分はどのように判断すれば良いのかを考えてみたいと思います。

地面の下は当然見ることはできません

横浜のマンションの杭打ち偽装事件があったおかげで、地面の下がどうなっているかの注意、興味は皆さん強くなっているようです。ですが実際に、地面の下がどうなっているのかを正確に判断する方法はありません。

マンションの杭

地面の下がどうなっているかは、ほとんど分かりません。

今までは、検査がきちんとしている会社や信用できる会社の建物を選びましょう、という位しか対応策は語られませんでした。しかし、今偽造事件で問題となっている会社は、最も信用が高いと思われる大手の会社ですし、そもそも問題となっているのは、検査結果自体が偽造だったと言われている状況ですので、どちらの対応策もあまり当てにはなりません。

どこまでいっても、100%の安心を得ることができませんので、地面についてはなるべく地盤が良いと思われるエリアを狙う、というのが現実的な対応ではないかと思います。

そして地盤は目で見ただけでは分かる部分は少ないため、ネットなどを見つつ、安全性が高そうなエリアを探すという事になります。

具体的には、周辺と比べて標高が低いエリアは避けるですとか、昔の土地条件図を見て、地盤が悪そうなエリアは避ける、という方法を考えることになります。これは、実際の土地を見るだけではまず分かりません。

土地の標高や昔の条件図については「3-01-01.地図や地形図の見かた・調べ方をマスターしましょう」が、
地盤の強さについては「3-01-02.インターネットである程度地盤の強さを調べられます」のページが参考になります。

不動産選びの際には、すぐに現地を見るよりも、まずはネットで土地についての状況をある程度把握した上で現地を見るようにしましょう。事前知識がある中で現地を見る方が、漠然と見るよりも気が付くことが増えるからです。

建物の内側も完成後は見ることができません

地面の下はもちろんですが、建物の内側も建物完成後はほとんど確認することができません。これは一般の方であっても建築のプロであっても、それほど大きな差はありません。建物完成後はプロであってもチェックできる部分は限られるからです。

建物解体のイメージ

1度建ってしまった建物は外から見ても判断できることは限られます。

設計図があればプロならチェックできる、と言われることもありますが、やはり部分的にしかチェックはできません。図面があることで分かることは、設計上の問題と、実際の建物が設計図面からどのくらい異なっているか、の2点のみでしょう。

ですので施工上のミスは、まず判断することはできません。経験豊富な建築のプロであれば、感覚的に良し悪しを感じることができるかもしれませんが、判断精度は高いものではありません。

目視だけでなく、調査機器があれば完全なチェックができるのでは、とも言われますが、それでも100%のチェックには程遠い状況です。

当社:ふくろう不動産でも検査機器はそれなりにありますので、一般的な不動産会社よりも細かなチェックは可能です。レーザーレベルがありますので、建物の傾きはチェックできますし、サーモグラフィカメラがありますので、壁の雨漏りチェックや断熱材の欠損などはそれなりにチェックできます。ですが、どこまでいっても100%のチェックにはなりません。

例えば基礎のコンクリートの中にある配筋が正しく行われているかどうかは、完成後にはまず分かりません。木材を留める構造金物がきちんと取り付けられているかどうかも、判断することは不可能です。ですがどちらも構造的に重要な部分で、これらに問題があると構造的に強い建物にはなりません。

戸建ての基礎

戸建ての基礎も出来てしまえば、コンクリートの性質や配筋の状態は分かりません。

建物の内側をチェックする対策としては、住宅の建設中に、第三者による検査を頻繁に入れるしか方法はありません。建売住宅や中古住宅では完全なチェックは難しいでしょう。

ただ、完全なチェックは無理にしても、建物検査を入れることはそれなりに有効です。多少とはいえ、確認できる部分がありますし、明らかな問題物件は検査で見つけられることもあるからです。

もう1つ有効な方法は保険に入ることです。100%の判断ができない以上、建物に何か問題があるリスクは回避できません。しかし問題があった場合、保険に入っていれば、保険金で問題個所を修繕することができます。おそらくこれが、現実的な対処法ではないかと思います。

この場合、建物が保険に入ることができる建物かどうかが判断できれば、特に問題はありません。建物が保険に入れるかどうかは「2-04-10.中古住宅購入時に瑕疵担保保険に入れるかどうかの目安をお教えします」が参考になります。

リフォーム後の姿も事前に見ることはできません

土の中や壁の中といったように、物理的に見ることができないものはもちろんですが、未来のことも自分の目で先に見ることはできません。その中で問題になりやすいのは、戸建て住宅やマンションのリフォームした後の建物を見ることができないことです。

リフォームのイメージ

リフォーム後を見ることができないために、失敗することもあります。

一般の方がリフォームの前と後をイメージするのは簡単ではありません。そのため本来であればお買い得であるはずの中古住宅に高い値段が付かないという事がよくあります。

そして、見た目の良い物件を選んでしまう人が多いことから、新築物件やリフォーム済み物件に人気が集まることになります。このこと自体間違いとは言えませんが、経済的には損をする可能性は高くなります。

新築物件はマンションであれ戸建て住宅であれ、新築プレミアムとでも呼ぶべき価値が付きます。そのため購入したとたん中古物件となることで、価格が1割や2割下がる物件がたくさんあります。最初からそのことを織り込み済みで購入するのであれば問題はありませんが、知らずにきれいな方が良い、という考えだけで新築のみを購入対象とするのは、経済的に損をする可能性が高くなります

リフォーム済みの中古マンションや中古戸建て住宅も同じです。リフォーム済み物件は、売主が不動産業者であることが多いため、販売価格には当然不動産会社の利益が上乗せされています。また、見た目を良くするためのリフォームが中心となり、建物の性能を上げるためのリフォームが行われることはあまりありません。

さらにリフォーム前であれば、何かしらの問題が見つけることができたとしても、リフォーム後は建物の中を見ることができませんので、問題があっても分からないままとなります。

こう考えますと、経済的にも機能的にも、リフォーム済みの物件を購入するよりも、リフォーム前の不動産を購入し、自分でリフォームの手配をした方が、メリットは大きいと思われます。安く購入できますし、建物などの内容もリフォーム後の物件よりも正確に把握することができるからです。

しかし、リフォーム後の姿を事前に見ることができず、うまくイメージや判断をすることができないため、このメリットを享受できる方は多くありません。

リフォームの内訳を知る

リフォームの中身や金額を調べるうちに、イメージする力も付いてきます。

この対策は、新築と中古の価格にどのくらいの差があるのか、またリフォームでどのくらいの費用がかかるのかを事前にある程度知っておくことです。

予めリフォーム金額を知っておくと、いくらかけるとこのような家になる、というイメージをある程度は思い浮かべることができるようになります。

ローンを返済している自分の姿もイメージするのは難しいようです

他にも新生活のイメージをするのも難しいようです。特にローンの支払いなどは、絵的にイメージすることが難しいため、判断を誤ることがあります。特に少し返済を上乗せすればこの物件が購入できる、と思われる時に、判断を間違える方がたくさんいるようです。

ローンの重さ

自分がローン返済しているところをイメージするのも難しいことです。

実際に節約した生活をしてみないと、節約した生活がどのような生活となるかのイメージができません。住宅ローンの支払いが今の家賃よりも増える場合は、その分節約しなければならないケースが多いのですが、実際に行ったことが無い節約をイメージするのはとても難しいようです。その結果、ローン返済がうまくいかず、破綻してしまう方が一定の割合でいらっしゃいます。

この問題を防ぐには、1度想定金額内で生活できるかどうかを体験してみるしかありません。現在月々の貯蓄が全くできない方であれば、一定金額貯蓄できるかどうかを試してみる訳です。イメージだけの場合と、実際に試してみるのでは大きく異なります。どのくらいストレスが溜まるのかも、試してみないと分かりません。

この経験を経た上で、想定したローンが返済できるかを考えるべきです。試してもみない生活は自分で見ることはできません。そして見ていないものを判断するのは本当に難しいという事を知っておくべきだと思います。

住宅ローンが実際に払えるかどうかは「2-02-01.住宅ローンはいくら借入ができるかよりも実際に払えるかを考えましょう」の記事でも述べていますので、参考までに読んでみてください。

不動産は見えない部分の方が多いことを理解しましょう

このように、不動産については、物理的にも時間的にも見えないものがたくさんあります。見えるものよりも見えないものの方が多いことでしょう。

この見えないものを見るには、事前の調査や、想像力、シミュレーション力などが要求されます。しかし1番大事なのは、見えないものを予想するのは簡単ではないと理解することだと思います。

隠れているイメージ

見えないものを見るには、知識や調査が必要です。

簡単ではない、と分かれば、どうしたら良いのかを調べますし、より深く考えるようになります。まずは、見えないものを知るのは難しいという事を知っておきましょう。

当社:ふくろう不動産は売買中心の仲介会社ですが、物件の紹介よりも先に、物件の見かた、不動産の選び方についてお客様にお話しするようにしています。このページでお話しした内容もその一部ですが、他にも不動産を購入しようとしている人が知っておくべき内容について、色々とお話しし、ご理解いただいた上で、物件をご案内するようにしています。

このページの話の一部を動画でも説明しています

この記事の話を動画でも解説してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご覧ください。ふくろう不動産がどのような会社なのかは「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。

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