低周波音問題でG特性と呼ばれる数値はかえって問題を大きくしている気がします
2015年2月に書きました記事で
「低周波音の問題が少しずつ分かってきました 」の記事や
「低周波音の問題本を読みましたが疑問に思う点がたくさんあります」の記事では多くの方からコメントを頂いたり、Twitterなどでご紹介頂きました。この場を借りて、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
また、複数の方から参考となるサイトを教えて頂き、大変助かっております。少しずつではありますが、低周波音問題についての理解が深まってきています。3月中には低周波音の問題について、簡易的な検査ができるような体制を整える予定です。
G特性と呼ばれる方式での音圧チェックの意味が理解できません
さて、低周波音の勉強を進めていて未だに疑問に思いますのは、G特性と呼ばれる音圧(dB)の表示方法です。
普通の人が聞こえる音の範囲にA特性というものがあります。これは同じ音圧(dB)であっても、周波数によって人が感じられる大きさが違うために、人の感じ方に合わせて音圧の数値を補正したものです。補正といっても、聞きにくい周波数の音を何dBか引いて表示するといったものです。
A特性であれば、実際に聞こえる分と合わせているということで意味が分かるのですが、このG特性の補正の意味が正直私にはわかりません。G特性の説明文として「人に与える心理的・生理的影響の加重特性としてISO-7196で規格化された周波数補正特性」とあります。しかし、20Hz以下の超低周波音は人の耳で聞こえる音ではありません。A特性は人の耳で聞こえる感覚に合わせて作られたということで分かるのですが、そもそも聞こえない超低周波音でどうやって感覚を合わせたというのでしょうか。
人によっては、超低周波音は人に感知できないので健康に対する影響は無い、と主張されていますが、感知できない、または影響がないのであれば生理的影響の加重特性などというものを考える必要もありませんので、話が矛盾している気がします。
この補正によって、実際の音圧と違う数値が表示されます。例えば周波数が2Hzであれば、60dBの音圧であっても30dB分減らされますので、表示上は30dBとなってしまいます。30dBの差というのは可聴域で考えると相当に大きな差です。こういった補正分がかえって人の健康に与える影響に間違った判断を与えているのではないかという気がします。
一方で超低周波音の被害を考える際に、このG特性を基準として考えましょうという考え方の人もいるようです。しかし実際に低周波音の被害を受けている人が受けた低周波音のデータを見ますと、F特性(補正しない音圧、サイトによってあはZ特性とかFLAT特性と書かれているようです)でのピークが認められた場合に出ているようです。となると、わざわざG特性を使う意味を感じません。なぜこのG特性という基準が作られたのか、またこれを基に考えようという話になったのかが疑問です。
2013年12月20日に日本弁護士連合会から出された「低周波音被害について医学的な調査・研究と十分な規制基準を求める意見書」にも似たような話が書かれているのを見つけ、やはり普通に考えるとそうですよね、と思わされました。この疑問に対する明確な内容をネット上で見つけることができませんでしたので、もしG特性について詳しい方がいれば、教えて頂ければと思います。
(低周波音被害について医学的な調査・研究と十分な規制基準を求める意見書)参照
G特性の設定と参照値が多くの誤解を生んでいる気がします
このG特性の考え方を基に、環境省が参照値を作ったという話もあります。そうであれば、もともとはっきりしないG特性をベースに作った参照値が、被害を起こさない数値であると考えるのは無理がある気がします。そしてこの参照値を元にメーカー等が低周波音の基準を考えているのであれば、本当にこのG特性を基準とした罪は大きいのではないかと思います。
結局人の健康に影響があるかどうかを考える時には、1/3オクターブバンド分析が行える機器を使用し、周波数ごとの音圧を見ないと判断が付かないということになりそうです。ここまで判断できる機器は大変高価であるため、一般の被害者の方が購入するには抵抗があるでしょう。そして、安価に抑えるためにG特性のみ調べられる機器で調べた結果、問題なしと判断され、かえって問題が大きくなるのではないかと思います。
最初からこのG特性という考え方が無ければ、実際の意味が無い参照値が作られることも無かったかもしれませんし、このG特性の音圧の数値を見て、誤解されることも無かったのではないかと思うと、とても残念な気がします。
今の私の理解では、このように感じています。測定器メーカーであるリオン社との打ち合わせ前までに、もう少し詳しくなるよう勉強し、適切な測定機器の購入を考えたいと思います。もしこの話に、私の理解が及んでいないが故の間違いなどあるようでしたら、どなたかご指摘を頂ければと思います。ご連絡は
お問い合わせフォームか、直接hnakagawa@296fd.co.jpまでメールを頂けると助かります。
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