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一戸建て住宅、特に中古の戸建住宅を購入する際に、その建物は本当に問題が無いのか、気になる方は多いと思います。しかし実際には特に対策も立てず、売主さんや不動産会社の大丈夫でしょう、という言葉だけを信じて購入してしまう方の方が多いようです。

個人間売買の中古住宅の場合は、売主が瑕疵担保が付けたとしても、その期間は通常3か月程度でしかありません。ですが建物に問題が無いかどうかは、1年間、四季を一通り経てみないと分からないという事もよくあります。雨漏り1つにしても、1度台風が来てみないと問題が無いかどうか分からないという事もよくあるからです。

台風に耐える家

1年経ってみないと、その家に問題があるかどうかが分からない時もあります。

建物に不安がある時の対処策の1つに建物検査、インスペクションを受けるという方法があります。インスペクションを受ける事で、絶対に大丈夫と判断できる訳では無いのですが、それでも一定の割合でダメな建物を見極める事ができます。

では、何でも建物検査を頼めば良いのか、どの検査会社に頼んでも同じなのかと聞かれますと、そんな事はありません。検査を頼む人の目的と、頼まれる検査会社がどのような検査をするのかによって、どの会社に頼むべきかは大きく異なります。このお話をもう少し詳しくこのページで説明します。

なお、この話は中古の戸建住宅の個人間売買の話に特化して説明しています。マンションや新築の戸建住宅の場合は、少し話が異なる点が出てきます。あくまでも、売主が不動産会社ではなく個人の場合で、建物が中古の戸建住宅の場合、という観点でご覧ください。

検査を頼む人は3つのどのジャンルに当てはまるのかを把握しましょう

まず建物検査を頼む方は、自分がどのジャンルにいるのかを把握しなければなりません。検査を頼む人自身がこの事を知っていないと、結局は無駄な検査を頼むことになり兼ねません。基本的にジャンルは3つあります。

その3つとは、
1.瑕疵担保保険に入るために受けなければならない検査
2.購入する不動産が問題が無いかどうかを確認するための検査
3.既に所有している不動産に問題がないかどうかを確認するための検査
の3つです。

三択のイメージ

建物検査を依頼する人は3つのジャンルに分けられます。

1.は分かりやすいと思いますが、2.と3.は何が違うのかと思われる事でしょう。実際に検査項目を見ていると、ほぼ同じような項目になりますので、違いは分かりにくいと思います。

ですが、この2つは大きく違うと私は考えています。そして本来であれば、2.か3.かによって、頼む検査会社も可能であれば使い分けるべきだと考えています。

瑕疵保険に入るための検査は、保険に加入が出来ればそれで問題ありません

1.の瑕疵保険に入るために受けるインスペクションの場合は、判断基準は簡単ですし、ポイントも2つしかありません。2つのポイントとは、
・保険会社と提携している検査会社を選ぶ
・検査料が安い会社を選ぶ
という2点です。

保険証書のイメージ

保険の付保証明が取れればよいので、他は金額が安い方が良いという考えもあります。

瑕疵保険に加入するために検査を受ける場合は、保険会社と提携している会社に依頼するということは言うまでもありません。保険に入る事が目的ですから、当然保険会社が指定した会社の検査を受けなければ保険に加入することができません。

中古住宅の瑕疵担保保険を扱う保険会社は2016年8月時点では5社しかありません。ですので、この5社の中からどこかを選び、その会社の指定検査会社に依頼することになります。実際には、仲介する不動産会社と提携している保険会社を選ぶことになるでしょう。当社:ふくろう不動産も提携している保険会社(正確にはその代理店)が2社ありますので、そのどちらかをお勧めして使ってもらっています。

2つ目のポイントである検査料金についてですが、通常は検査内容と価格のバランスで決めるべきものです。ですが瑕疵担保保険の加入という目的で検査を受ける場合であれば、調査料金で判断しても構わないと思っています。

と、言いますのも、各保険会社で設定している検査項目にはそれほど大きな違いがありません。そのためどの検査会社に依頼しても、検査内容がそれほど大きく異なる事はあまりありません。もちろん実際には検査員のレベルによって、内容が異なる事があるはずなのですが、一方で検査に何らかの見落としがあったとしても、この検査の後には保険に加入できている訳ですから、万一問題があれば保険金を使って問題点を修繕することができます。

問題がある建物

保険に加入できていれば、最悪問題が発覚した場合、保険金で修繕することができます。

それに、この瑕疵担保保険に入る目的ですが、建物に万一の事があった場合の保険という本来の意味で使う場合もあれば、住宅ローン減税を受けるために使うという方もたくさんいます。

中古住宅の購入で住宅ローン減税を受けるためには、原則として築20年以内の住宅を買わなければなりません。しかし築20年以上の住宅であっても、瑕疵担保保険に加入することでローン減税を受ける事ができるというテクニックがあります。この減税を受けられるかどうかで、その先10年間で最大200万円近く税金が戻ってくることがあります。

建物のチェックはついでで、ローン減税が主な目的である場合は、検査内容がどうであれ、最終的に保険の付保証明書が取れれば良いので、同じ証明書が取れるのであれば、費用は安い方が良い、という考え方もあるでしょう。

もちろん検査内容が優れているに越したことはありませんが、一方で前述しましたように検査項目がそれほど変わらないのであれば、安い方がお得ですから、この場合は単に費用が安い方を狙う、という考え方があっても良いと思っています。

不動産購入前の検査は買うか買わないかの判断ポイントが分かる内容がある検査を受けましょう

より慎重に検査会社を選ばなければならないのは、瑕疵保険目的以外で建物検査を受ける場合です。そして、この検査はその建物を買う前と後では本来求められる検査内容が異なります。

検査のイメージ

建物の購入前と購入後では本来検査内容は異なるはずです。

購入前の検査であれば、基本的に検査内容は浅く広くという内容が要求されます。この話は少し分かり難いので、建物に雨漏りという問題があった場合を例としてお話しさせてください。

通常のインスペクションでは雨漏りの検査は目視のみです。ですので、部屋の内側に水が入っていないと売主も検査員も雨漏りを確認することはできません。ですが最近ではサーモグラフィカメラの使い方が発達したおかげで、室内に入っていなくても、壁の中にある水をそれなりの精度で見つける事が出来るようになりました。

当社:ふくろう不動産でもサーモグラフィカメラによる雨漏り検査は標準として検査メニューに組んでいますので、雨漏りがあった場合にはそれなりの精度で見つける事ができます。

しかし、このサーモグラフィカメラによる雨漏りチェックは、建物購入後と購入前では求められる内容が実は大きく異なります。購入前であれば、雨が壁の中などに入っているかどうかを確認すれば済みます。壁内に雨が入っている建物は、構造体にも悪い影響を与えている可能性がありますから、買わなければ良いと決めてもらうだけです。

サーモ画像の例

購入前のチェックであれば、雨漏りがあるかどうかだけ確認できればそれで済みます。

ところが購入した後の建物であればどうでしょうか。壁の中に雨水が入っているという事であれば、当然修理を行わなければなりません。ですが、壁の中に水が入っているかどうかの判断は簡単だとしても、その水がどこから入っているのかを確定させるのは簡単ではありません

ふくろう不動産では水の有無は調べる事が出来ても、水の侵入経路の確定まではとてもできません。雨の侵入経路まで調べようと思うと、より精度の高い機器の利用や、状況によっては建物の一部解体も必要になるからです。

実際に水の侵入経路まで調べる雨漏り調査を行う会社では、検査費用は20万円近くします。これはその会社が不当に利益を上げているのではなく、実際に人手や時間がかかるからです。

ふくろう不動産の建物検査はサーモグラフィカメラによる雨漏り調査を入れても、58,000円からという割と安い価格設定をしています。これは雨漏り調査が単に水の有無だけを調べているからです。侵入経路まで確認しようと思うと、当社の体制では不十分で、とてもこの金額内で調べられるものではありません。

逆に、建物購入前のチェックとしては水の有無を調べるだけで十分だと考えています。雨漏りの侵入経路までは分からなくても、雨漏りしている事が分かれば、その建物は買わないという判断ができます。ですのでそれ以上精度が高い検査を行う必要がありません。

チェック用バインダー

買うか買わないかの判断ができる検査を行える会社を選ぶべきです。

他の検査項目でも同じような事が言えます。建物の傾きについて調べ、基準以上の傾きがあれば、何らかの問題があると考えて、その建物の購入については、見送ってもらえれば済みます。傾きの原因が何であるかは、より詳しい調査を行わないと判断ができません。しかし補修費用を考える場合には、傾きの原因まで把握しなければなりません。

つまり不動産の契約前の検査は、大きなトラブルがあるかどうかが確認できる検査を行える会社に頼むべきです。逆に大きなトラブル以外、例えば建具のチェックとか、傷の有無などの小さなチェックは購入前の検査ではそれほど重要な内容ではありません。

購入後の建物検査は、気休めか解約トラブルかの2択となることもあります

不動産購入後の調査は、本来であれば本当に精度の高い調査を行わなければなりません。前述しました雨漏りで、もし雨漏りが判明した場合、どこから雨が入っているのかを確定させないと、修繕費用の目安が立ちません。建物の傾きがあった場合も、それが地盤によるものなのか、建物の施工不良によるものなのかが分からないと正確な対策が立てられません。

対策が分からないとなれば、当然対策費用もいくらになるのかが計算できません。不動産の購入契約後であった場合、よほど大きな問題が無いと、契約を解除することはできません。雨漏りがあったとしても、壁内にしか水が入っていない場合、生活には問題が無いのではないか、と判断される事もあり得ます。

基本的に契約解除は、その目的が果たせない場合にのみ出来るもので、住むことが出来ないという大きなトラブルでない限りは契約を解除することは難しくなります。

住宅トラブルのイメージ

問題が発覚してもすぐに解約できる訳では無いので、その後のトラブル解決は簡単ではありません。

契約が解除できないとなった場合には、あとは費用の問題になります。ですが、雨漏りの修繕費用がいくらかかるのか、家の傾きを直すのにいくらかかるのかを判断することも、やはり簡単ではありません。このような修繕費用を考える場合には、購入前のような問題があるかどうかの検査では不十分で、更に綿密な調査が必要となります。

ですが綿密な調査には費用がとても高くなります。こう考えますと購入後の検査はあまり現実的ではありません。当社でも不動産購入後の検査を依頼される事がよくあるのですが、購入後の調査では問題が出ませんように、と祈りながら検査している状況です。幸い当社が今まで検査した購入後の建物では大きな問題が出た事がありませんので、大事には至っていません。

しかし、もし重大な欠陥が、例えば雨漏りがあったり、建物が大きく傾いていたりした場合、その後の対応はとても難しくなります。検査会社は基本的に検査結果を伝えるだけですので、その後不動産会社とどう交渉するかはお客様次第となります。しかし相手は不動産取引のプロですので、交渉は簡単ではないでしょう。

このような事を考えますと、不動産売買の契約後の建物検査はあまり得ではありません。問題が見つからなかったという安心を得られるか、解約覚悟でトラブルに巻き込まれるかの2択になる率が高いからです。

不動産の売買契約後の検査については、あるいは既に所有して一定期間が経っている建物の検査については、修繕できる内容や金額が判断できるような検査を行うべきです。雨漏りがあるのであれば、侵入経路が確認できるような検査を、構造に問題がありそうであれば、耐震診断や耐震補強のアドバイスや見積もりが取れるような検査を、本来は行わなければなりません。

見積もりを取るイメージ

補修内容と補修金額が確定しない事には話は進まないでしょう。

しかし実際には、2.と3.の検査について分けて行う会社はありません。原則として2.の考えで進め、3.については、問題が見つからなければそのまま、見つかった場合には別途専門家の検査を入れるという2段階で建物検査が行われているのが実情だと思います。

ふくろう不動産は原則購入前のチェックができる検査ができる体制を取っています

当社:ふくろう不動産は原則2.の検査、つまり購入前のチェックができるような部分に力をかけています。しかし、実際には3.の購入後の検査を頼まれるケースも多いため、なるべく購入後の検査であっても、お客様に納得してもらえるようなレベルの提案ができるよう、少しずつ準備を進めています。

ふくろうマークがある合格袋

ふくろう不動産でも、様々なケースに対応できる検査をしたいと思っています。

この検査会社に対する考え方については、不動産会社や検査会社によっても考え方は異なるでしょう。正直当社も完全にこれだという考えがまとまっている訳でもありません。

ただ、単に検査を行えばよい、というものでは無く、お客様の要望や考え方、状況に応じて、様々なタイプの検査会社が求められると思いますし、検査会社も今後伸びていく会社や淘汰される会社も出てくるのではないかと思います。

まだまだインスペクションという制度が始まったばかりですし、皆様にはまずはインスペクションというものの存在を知って頂きたいのですが、一方でインスペクションの内容、検査内容にも色々とあるという事も知って頂ければと思います。

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