こんな建売住宅は買うなという本はよく出来ている本です

私は仕事がら、建築関連の本や不動産関連の本をよく読みます。専門家しか読まない本もあれば、一般の方向けの本を参考までに読むこともあります。今回は一般の方向けの本で、よくできていると思われる本を紹介したいと思います。

バイブル本であったとしても、良い内容が書かれた本は良い本だと思います

今回ご紹介する本は幻冬舎メディアコンサルティングが発行している「こんな建売住宅は買うな」という本です。

こんな建売住宅は買うな表紙

戸建住宅を購入するときの問題点が、ほど良くまとめられた本だと思います。

この本を発行している出版社は幻冬舎メディアコンサルティングです。幻冬舎メディアコンサルティングは一般的に知られている出版社である幻冬舎の企業出版部門を独立させた会社のようです。

企業出版とは通常の出版物と異なり、会社などからお金をもらって本を作るというスタイルですので、いわゆる自費出版と似たような形式の本です。このような形式で出版された本をバイブル本と呼ぶこともあります。

企業出版ではスポンサーが企業となりますから、どうしても作る本は企業の広告本のような本になる事も多くなります。こういった企業本の中には内容が全く無く、ひたすら企業宣伝的な内容が書かれている本もあるのですが、この本はあまり広告色を出しておらず、内容もうまくまとめられています。

正直私は今までこの手の企業本には良いイメージは無かったのですが、どんなタイプの本でも内容が良いものはあるのだという事を改めて思い知らされました。この本の内容には私の考えとは合わない事もあるのですが、それを差し引いても、よくできていると思います。

完了検査や住宅診断では欠陥と不具合は見抜けないのはその通りです

この本では住宅の完了検査や一般的な建物診断では建物の不具合を見つける事はできないと主張しています。これは私もその通りだと思います。

建物検査のイメージ

検査を受けたから絶対に安心と簡単に考えてはいけません。

建物の検査済証を取得している、と言ってもそれは、事前に出されている確認申請図面通りに作られているかどうかをチェックするだけです。設計上の問題を見つける事は出来ても、施工上のミスを見つける事はできません。

また一般の住宅診断は目視のみなので、壁の中の状態を確認することが出来ず、大きな欠陥を見抜くことが出来ないというのもその通りだと思います。

もっともだからと言って、建物の検査済み証を取得したり、住宅診断を受ける事が無意味という話ではありません。明らかに問題がある建物は、目視のみでも判断できる事がありますし、逆に検査機器を使っても発見できない問題があることもあります。

どのレベルまで問題が見通せるかの違いですので、検査や診断が完全に無意味という話では無いのですが、一方で検査を受けたから安心、インスペクションを受けたから安心、とは思わないように、と注意を促すという点では良いと思います。

一部を見て全体を推測する方法は確かに有効だと思います

建物は一度建ってしまうと、判断できることがあまり多くありません。しかし、施工状況の一部を見て、全体の施工精度を判断するという考え方は、とても有効だと思います。

推理するイメージ

問題がある個所を直接見る事が出来なくても、見える部分から推測するという考えはありだと思います。

この本の中でも、巾木の釘の打ち方を見て、雑な打ち方をしている建物は全体も雑に作られている可能性があると主張しています。他にも階段の踏み板と蹴込み板の継ぎ目を見て判断しようなど、ちょっとした見るポイントが書かれています。

実際には完全に打ち込まなければならない釘の頭が出ていたり、階段の板に隙間があったからといって、それがすぐに欠陥となる訳ではありません。一方で同じ大工さんが作っているのであれば、このような雑な仕事をしている人は他の重要な部分でも雑な仕事をしている可能性がある、という考え方は確かにアリだと思います。

昔の住宅であれば、和室の仕上げを見て大工さんの腕の善し悪しを判断したと言われています。今では和室を作らない家が増えていますが、その和室の造作の代わりに、このようなポイントを見ましょう、という点を教えてくれるのは良い内容だと感じました。

不動産業者への対応についても参考になります

この本では建物の見かただけでなく、建売住宅を販売する不動産会社の営業マンへの応対についても書かれています。すべての不動産営業マンに問題がある訳ではないのですが、一方で非常識な人や迷惑と思われる営業を行う人がいるのも確かです。

こういった被害を避けるために、どういった対応をすべきかの考え方について書かれているのは良いと思います。アンケートのような来訪者シートに安易に自分の情報を書かないという点もその通りだと思います。

しつこい営業のイメージ

近くまで来ましたので、と言いつついきなり訪問する営業マンも未だにいるのが現実です。

不動産会社に初めて訪問したのであれば、その会社がどのような方針で活動している会社なのか分かりません。そして相手が分からない会社に、自分の個人情報を詳しく教える必要は確かに無いと思います。

当社でも初回打ち合わせのお客様の情報は名前とメールアドレスしか知らない、という事もよくあります。ですがそれでも打ち合わせや物件のご案内で特に問題になる事はありません。何度か一緒に物件を見て、お客様が本気で購入したいと思える物件が見つかった際に、購入のために必要な情報を得ればそれで済むからです。

少なくとも初めて会ったばかりで、信用できる相手かどうかも分からない段階で、むやみに自分の情報を教える必要はありません。一般的な不動産購入のガイド本であれば、変な営業をしないでください、と伝えておけば自分の情報を書いても大丈夫、と書かれているケースが多いと思います。

ですが現実は、問題がある不動産営業マンも多いことを考えますと、こういった対策では不十分でしょう。それであれば、最初から必要以上に情報を与えない、と主張しているこの本の方が、まっとうな意見ではないかと感じます。

どの意見も絶対的に正しいものでは無いことも理解しましょう

このように、割と役に立つ情報がたくさん書かれていますので、建売住宅に限らず、新築中古を問わず一戸建ての購入を考えている人は、一度この本を読んでみるのは良いと思います。

一方でこの本の内容がすべて正しいかと言えば、必ず正しいとも限らないと思います。間違っているかどうかは別にして、私と考えが違う点もたくさんあります。

うかつな事を言うと、変な批判になり兼ねませんので詳細についてはお話しできませんが、本当にこのやり方で良いのか、この方法は意味が無いのではないか、と思われる部分もいくつかあります。

ただ、すべての内容について完全に正しく書かれている本は無い、と私は思っています。ノウハウ本を読む方の中には、内容が絶対的に正しいか間違っているかのどちらかしかない、と考えられる方も多いかもしれません。

正しいかどうか

すべてが正しいという本は無いと私は考えています。

ですが実際には、情報にはあいまいな部分もあると考えた方が良いと思います。間違っているとは言えないけれども厳密には正しくない、という話や、話は間違っているけれども行動としては正しい、というような話はどの本にもたくさんあります。

こういった書籍は何かしらのプロが書くものですが、プロであってもすべてに100%正しいという事はありません。ではどうすれば良いかと言えば、様々な角度から、様々な立場の人の意見を聞き、何が正しいかは家を買う人自身が判断すべきだと思います。

家のことや不動産の事が分からないからプロに聞いているのに、と思われるかもしれませんが、プロでも判断能力が100%正しいという事はありません。そして判断能力だけではなく、誠意に至っては100%からさらに遠い意見が出る事もあります。

不動産の購入はほとんどの人にとって、人生で一番高い買い物です。その高い買い物に、判断を人任せにしてはいけません。面倒であっても、色々な本を読み、多くの人から意見を聞き、最終的には何が正しいのかを自分で判断すべきだと思っています。

当社:ふくろう不動産も不動産仲介会社ですから様々な物件をご案内します。そしてお客様が判断しやすいように物件に関する多くの情報をお客様に提供します。ですが提供できるデータは100%完璧なものではありません。そしてデータは提出するものの、最終的な判断はお客様に決めてもらうようにしています。私自身が不動産選びはそうあるべきだと思っているからです。

不動産選び、戸建住宅選びには色々な考え方、意見があります。ふくろう不動産ではお客様がより満足できる判断が下せるように、多くの切り口のデータを出せるように、またアドバイスができるような体制を整えています。このページでお話しした内容も、判断材料の1つとして読んでもらえればと思います。

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