居住用の不動産であっても出口戦略を考えるべきです

不動産投資の世界では、出口戦略をどうすべきかという話がよく語られます。不動産投資で言う出口戦略は対象不動産を売却する事で、購入から売却の全期間での収支を考えて、その不動産投資が成功だったか失敗だったかを考えます。

しかし、居住用不動産を購入する人で、この出口戦略を考える人はほとんどいません。永住用に購入するからとか、投資ではないからという理由で、最終的にどうするかを全く考えない方がほとんどです。

ですが、私は居住用不動産であっても、ある程度は出口戦略を考えるべきだと考えています。このページでは、この出口戦略、売却についてどう考えるかについて、お話ししたいと思います。

購入した不動産は最終的には必ず誰かが売却します

居住用の不動産、住まいを購入される方の半数以上は、その住まいを終の棲家だと思って購入します。そのため、売却という意識を全く持っていない方の方が多いでしょう。ですが実際にはその不動産はいつかは誰かが売却します。購入した本人が何らかの理由で売る事もあるでしょうし、購入者にとっては終の棲家であっても、その不動産を相続した人はいつかは売却してしまいます。

不動産売却のイメージ

永住するつもりで購入した不動産であっても、いつか誰かが売却します。

自分が亡くなってしまった後はどうでも良い、という考え方があるかもしれません。しかし、例えばマンションを所有していて、そのマンションがスラム化し、売るに売れなくなってしまった場合、相続した人はどうすれば良いでしょうか。

負の不動産があるが故に、他の財産も含めて相続放棄しなければならない状況になっても、本当に問題は無いでしょうか。このあたりは考え方にもよりますが、私は亡くなった後の処分まで考えた方が、残された人に迷惑をかけずに済むのではないかと思っています。

売却を考えない人の方が破綻のリスクが高いように感じます

現実問題として、永住するつもりで購入した不動産を、途中何らかの理由で手放さなければならないことはよくあります。多いのは、住宅ローンの返済が出来なくなり、不動産を手放さなければならないというケースではないかと思います。

破綻のイメージ

売却時の状況を考えない人の方が、破たんリスクが高いように感じます。

しかしこの場合、売却代金がローンの残高以上でなければ、普通に売る事はできません。不動産の抵当権を外すことができないからです。

ローンの返済がうまくできず、かつローン残高が売却価格よりも高い場合には、競売にかけられるか、任意売却で売らなければなりません。そして、その際に自己破産する方も少なくありません。

私も仕事柄、お客様の購入候補の物件を見に行くことが多いのですが、その中には任意売却物件がある程度あります。そして、価格交渉の際に、ローンを貸し出していた金融機関が了解しないために、指値が効かないという事もあります。その際によく思うのは、なぜこの不動産はこんなに残債が残っているのか、という事です。

当社は、バイヤーズエージェントという不動産購入者の代理として活動していますので、なるべく相場の中で低い金額で指値をしたいと考えていますが、それでも相場と比べてかけ離れた指値をしている訳ではありません。ですが、その指値が全く通らない位、ローン残債が残っている物件だという事が分かると、一体購入時にいくらで買ったのか、またどのようなローンを組んだためにこんなに残債が残っているのか、不思議に思う事がよくあります。

そして、任意売却となっている物件では、豪華な住宅設備が入っていたり、通常ではないデザインが組み込まれていたりという事もよくあります。きっとこのような設備類にお金をかけ、しかし売却時にはそれらの設備には売却価格に乗りにくいために、結果としてローン残債以上の価格で売れない、という事態を招いているように感じます。

豪華施設のイメージ

任意売却物件は変に豪華だな部分がある事があります。

これは統計を取った話ではなく、私の感覚でしかありませんが、不動産の購入時に、売却の事を考えない人の方が、ローン破綻する率が高いように感じます。

そうでなければ、この築年数でなぜこんなにも残高が残っているのかの説明が付かない事が多いからです。少しでも、数年後、10年後に売却する際にいくらになるかを考えていれば、つまり資産価値が付くのかどうかを考えていれば、導入しなかったのではないか、と思われる設備やデザインがたくさんあります。

もちろん新築住宅であれば、気に入った設備を入れたい、気に入ったデザインにしたいと考えるのは当然です。一方で設備やデザインは資産価値にならず、売却時にかけた費用程の値段は付きません。このあたりも最終的には支払い能力などの経済性と、購入後の住生活の快適性のバランスで考えなければなりませんが、このバランスを正しく判断できなかった場合に、ローン破綻が起きているのではないかと思います。

このあたりの話は「2-01.将来破綻しないために知っておきたいことがあります」のページでも説明していますので、よろしければご覧ください。

再建築不可の可能性が高い住まいはお勧めしません

では、売却時に損をする可能性が高いものとして、どのようなものがあるでしょうか。どの物件にも価格下落のリスクはありますが、特にリスクが高いと思われる不動産は、再建築不可の不動産、戸建住宅ではないかと思っています。

建築のイメージ

再建築が出来ない土地はお勧めしません。

再建築不可の不動産とは、購入時点では住宅が普通に建っていますが、将来その建物を壊し、新しく建物を建てようとしても、建物が建てられない土地の事です。

土地の接道に問題があり、建築基準法上の道路に接していない土地がその代表です。また、旗竿地などで、接道が2mあるかどうかが微妙な土地も、将来建物が建てられない可能性があります。市街化調整区域にある土地も、将来建物の建て替えができない可能性があります。

このような問題がある、あるいは問題が出そうな土地であっても普通に販売されています。もちろん販売時に将来建て替えができるかどうかの説明はあるはずですが、これらの説明が正確に行われているかどうかは微妙です。

再建築不可物件の場合、問題が発覚するのは購入時からずっと後です。購入から20年後や30年後となる事が多いでしょう。そのため、意識の低い不動産会社が仲介や販売する場合、とりあえず契約時さえ乗り切ってしまえば後はどうでも良いと考え、説明はおざなりで販売してしまう事もあります。

テレビで紹介される格安で購入した不動産の事例の中に、時々この再建築不可物件が出てきます。確かに購入価格は安く見えるかもしれませんが、資産価値はそれ以下というケースが普通にあります。

出口戦略、売却時にはどうするかという事を強く意識している場合には、このような問題がありそうな物件には手を出さないようになりますし、自分でも注意して調べたりしますので、問題がある物件を選ぶ率が低くなります。

これが今住めれば良い、現状が快適であれば良い、という気持ちが強すぎると、こういった問題を見逃すことになりかねないと思っています。

不動産の将来の可能性を詳しく説明してくれる不動産会社を選ぶべきです

このような問題がある不動産を選ばないためには、自分で勉強して注意すると同時に、詳しく内容を説明してくれる不動産会社を選ぶべきです。単に現状の説明だけでなく、10年後や20年後にその不動産がどのような状況になっているか、20年後に売却する場合にはいくら位になっているかを、ある程度説明してくれる不動産会社が良いと思います。

将来の街のイメージ

資産価値や将来の売却時の話をしてくれる不動産会社を選ぶべきです。

もちろん不動産会社の人も将来予測が確実にできる訳ではありません。ですが、自分で考える将来予測と、不動産会社が考える将来予測を照らし合わせ、相手が信頼できる不動産会社であるかどうかを考えるべきだと思います。

このページの話を動画でも解説してみました

このページの話を、動画でも説明してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

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