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アンカリングの影響で、不動産の売主がなかなか契約できないという話を先日のブログで掲載しました(「不動産売買の売主はアンカリングのせいで契約ができないことがあります」参照)。そして当然不動産を購入しようとしている買主もアンカリングの影響を受けます。このページでは、買主が受けるアンカリングについてお話しします。

過去の成約事例が良く見えすぎると困ります

買主さん側でアンカリングとしてまず影響するのは、過去の成約事例です。もっともこれは一般的な不動産会社では見せてくれないことも多いので、特殊なケースかもしれません。

少し説明しますと、当社:ふくろう不動産では不動産の購入を検討している方々に、過去の成約事例の説明をして、そのエリアの相場を最初に理解してもらうようにしています。現在売りに出ている物件を見るだけですと、相場よりも高い価格で情報公開されている物件が多いため、正確な相場観が身に付きにくいからです。

合意のイメージ

過去の成約事例は相場以上に安く見えることがあります。

そういった意味では本来正しい相場観が身に着くはずなのですが、これが逆に災いし、間違ったアンカリングとして影響を与えることがあります。

それは、成約事例では物件の正確な情報が記載されていないことも多いため、成約した価格だけを見ていますと、本来の相場よりも安い価格で契約していることに気が付かないことがあるからです。

例えば、土地単価が安いと思っていたら実は旗竿地であったり、傾斜が大きな土地であったりということに気が付かない事があります。成約事例には、土地の図面が載っていることもあれば、細かな情報が全く分からないこともあります。確実に分かるのは成約金額と土地の面積くらいなのですが、詳しい情報が分からないため、実はとても問題がある土地であったとしても、それに気が付かず、相場を実際のものよりも安い金額と勘違いしてしまうことがあります。

傾斜地のイメージ

安いと思った土地などは、実はすごい傾斜地だったかもしれません。

あるいは周辺環境に問題があったり、事故物件である可能性もあったりするのですが、成約事例を見ているだけでは詳しい内容が分かりません。

このようなイレギュラーの事例はそれほど多くありませんので、いくつかの成約事例を合わせて見ることで、間違った相場観を付けることを避けるのは可能ですが、たまたまその事例のイメージが強いために、その事例の金額や単価がアンカーとなり、現在売られている物件が高く見えることがあります。

「隣の芝生は青く見える」ように、カタログデータのみを見ていると、既に他の方が購入した物件がとてもよく見えることがあり、かつその価格がたいへん安く感じることがままあります。そしてその金額がアンカリングとして影響すると、実際に見に行く物件がすべて高く感じるようになり、無理な指値をして結局は断られるということを繰り返すことになります。

このような間違ったアンカリングの効果を受けないためには、過去の成約事例を見るときには、なぜその価格になったのかをきちんと考えて理解しなければなりません。その上で、購入を依頼する仲介会社と相談し、そのエリアの相場について、正しい相場観を持っておけば、このようなアンカリングからの影響を小さくすることができます。

知人の不動産購入を参考にしてはいけません

他のアンカリングの例として、知人が購入した物件があったりします。新しく住まいを求める動機の1つに、知り合いが家を購入したから、というものがあります。特に同世代で同じような条件の人が家を買った場合には、自分もそろそろ、と考えるケースが多いようです。

知人の住まい購入のイメージ

知人が購入した住まいは、良い部分しか見えない事が多いのです。

その場合問題になりやすいのは、自分が購入しようとする物件とその知人が購入した物件とをつい比較してしまう事です。そして、知人が購入した不動産よりも良いものを、あるいは同条件で安いものを、強く求める傾向が出ます。

しかし、その知人も通常は一般的な相場のものを購入することが多い訳ですから、それよりも条件が良い物件がそんなにあるはずはありません。さらに、知人が購入した物件に、どのようなマイナス点があったかは知らないまま、大体の金額や物件の情報のみを知り、その内容を基準に自分が選ぶ物件を考えてしまいます。

考えてみれば分かることですが、自分が家を購入し、その家を他の人に紹介する際に、自宅の悪い点をはっきりと言う人はあまりいません。自慢したい部分も入ってきますので、良い部分が強調されて話がされます。その良い部分のみを真に受けて、自分で物件探しをした場合、当然その条件にあてはまる物件は出てきません。

このアンカリングの影響を小さくするには、不動産物件を見る目を養う方法が有効です。ある程度不動産を見る目を持っていれば、知人が購入した家を見ても、知人が話す良い点だけでなく、悪い点にも気が付くようになります。見る目があれば、当初はお買い得だと思っていた知人の家であっても、実はきちんとした相場に近いという事に気が付きやすくなります。

しかし、この見る目を身に付けるのも大変です。不動産の善し悪しの判断は、項目1つ1つについては難しいことがそれほど無いのですが、項目自体の数が多いために、全体的な善し悪しを判断する事は難しいからです。

見る目を養うためには、手前味噌ですが、当社のサイトの中の「失敗しない不動産購入」のページやその子ページが参考になります。これらのページは細かな話もあるため、全部で100ページ以上もあります。全部を読むのは大変だとは思いますが、サイトの右側に出る目次やサイトマップを見て頂き、興味がある部分について読んでもらえればと思います。

契約し損ねた物件のアンカリングには強い影響を受けます

契約や申し込みのイメージ

1度買付を入れてキャンセルとなった物件は、強いアンカリングとして影響を与えます。

これは売り主さん側のアンカリングの際にもお話ししましたが、1度契約の手前までいってキャンセルになってしまったものは、その金額がアンカーとして強い影響を買主さんに与えます。

買付を出したのに、その直前に他のお客様と話がまとまってしまい、契約できなかった物件、あるいは買付を出し1度金額も確定したのに、その後の細かな条件で折り合わず、契約に至らなかった物件などがこれにあたります。

1度このようなことがあると、次に探す物件は以前買付を出した物件が基準となり、それよりも良い条件のものでないと、納得できない、という買主の方が多くなります。そのため自然と、次以降の選定基準が厳しくなります。

契約できなかった、というのは何かしらの悪条件があって契約できなかった訳ですから、これ以降探して契約できる物件であれば、以前のキャンセルとなった物件よりは条件は本来良いはずです。しかし金額や立地などキャンセルとなって物件の他の良かった条件と比較して、マイナス点があるとダメと判断しがちです。

このアンカリングの影響を小さくするのは大変難しいようです。対処策としては、契約に至らなかった原因を何度も思い出し、契約予定金額は忘れるように努力するしかありません。

どんな仲介会社でも存在しない物件は探せません

このようなアンカリングの影響を受けますと、物件探しがとても難しくなります。アンカリングの影響で、この価格でこれだけの条件を満たす物件があるはず、と思い込んでしまうと、物件を見つけるのが難しい、と言うより実際にはほぼ無理となります。

不動産物件はたくさん売りに出ていますが、相場と比べて価格も安く立地も良い、という好条件の物件は存在しません。そして当然ですが、存在しない物件はどれだけ探しても出てきませんし、仲介会社も見つけることはできません。

無いイメージ

存在しない物件は、仲介会社も探すことはできません。

そのため、物件の一覧を見ても気に入る物件が無いか、物件を見た後に無理な指値をして結局は売り主さんから断られ、成約に至らないという事になります。

アンカリングの影響と言うのは大変大きなもので、買主さんの頭の中に1度間違った相場観が身に付いてしまうと、他の方の意見をあまり聞かなくなってしまいます。

買主さんが無理な要求や無理な指値をする事で、買主さんと仲介会社との関係が悪くなり、お互いに信用しなくなるということもあります。そしてこの原因が、買主さんに影響を与えたアンカリングのせいであることが、しばしばあるようです。

正しい相場観を身に付けるのは不動産のプロであっても簡単ではありません。ましてや日常的に不動産取引を行わない一般の方が不動産物件の高い安いを判断するのはなかなか難しいことだと思います。

だからと言って、仲介会社に任せればよいというものでもありません。残念なことに信用できない仲介会社や営業マンもまだまだたくさんいるからです。

不動産の購入を考えているお客様は、このようなアンカリングの罠に引っかからないようにして欲しいと思っています。まずは、このアンカリングの影響があるのだという事を、予め知っておいて頂ければと思います。

このページの話を動画でも説明してみました

このページの話を動画でも説明してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご覧ください。

ふくろう不動産では、お客様が正しい相場観を身に付けられるようお手伝いをしています

当社:ふくろう不動産は売買仲介専門の不動産会社です。そして不動産を買いたいという方のための、代理人として活動することを得意としています。

ふくろう先生のイメージ

買い手のお客様に正しい相場観を身に付けてもらえるよう、アドバイスしています。

代理人として、土地や建物検査に力をかけているのですが、購入金額についても色々とアドバイスをさせて頂いています。そして、このページでお話ししましたアンカリングの罠にお客様が惑わされることが無いように、正しい相場観がお客様の見に付くように、データの見かたや不動産の選び方について、お話ししています。

考え方として、相場よりも安い物件はありません。相場金額の物件と割高の物件があるだけです。そして当社は、割高の物件を選ばないように、様々なアドバイスをさせて頂きます。

詳細については当社:ふくろう不動産までお問い合わせください。ご連絡は「お問い合わせフォーム」のご利用が便利です。ご連絡されたからと言って、当社からしつこい営業を行うことはありませんので、ご安心ください。